上 下
124 / 304
なつ

ダスダスダスダス=3

しおりを挟む
「ただいまー」

 人ん家に黙って入るのはナンだったので、言ってみた。
 誰が迎えてくれる訳でもなく上がって、部屋の襖を開ける。

 誰もいねえ。
 何故だ。

 仕方なく女子部屋をノック(襖を叩いても、コンコンとは鳴らない)。

「は~い」

 あ、誰かいた。

「男子部屋誰もいないんだけど」

 スッと襖が開いて、服部さんが顔を出した。

「みんなプール行ってる」


 ななな、なんだって~!!!?(DFP超極太ゴシック)


「お風呂入るって言ったら、バーベキューで臭くなるから、じゃあプールは? ってなって。わたし達は行かなかったの」

 奥に座って本読んでるマコちゃん妹、モコちゃんが見えた。なるほど。

「残ってる人は二人だけ?」
「ハルたんと小猫ちゃんはいるはず」
「ありがと」

 なんてこった!
 なんてこった!
 なんてこった!

 寺とか超地味なスポット行ってる場合じゃなかった!

 プール行ってるなんて!
 マジかよ呼んでくれよもー!

 もー! もー! もー!

 ダスダス階段を上がってガラッ! と戸を開けた。

「みんなプールなんだって?」

 布団は片付けられてるけど同じ場所に分厚いマットが敷かれてて意味ないとこに、ちんまり陽太。そして周りに色んなモノが散らばってる。

「行きたかった? いつでもいいよ?」
「明日みんな帰るじゃん」
「あはは」
「笑うな」

 駄々こねてる気がしてきた。
 ヤダ恥ずかしい。

「だいたい水着いるって言ってた?」
「レンタル」
「あ゛ーッ」

 ダミ声で悔しがったらだいたい気が済んだ。

「じいちゃんに会った?」
「会った!」

 そうそれ!

「ぜんっぜん似てないな!」
「そこ? 似てないけどさ」
「めっちゃカッコ良かった!」
「えへへ」

 なんだコイツ照れてんのか可愛いな。

「明日から習う!」
「そうか~がんばってね~」
「陽太習ったことある?」
「そりゃあるよ。生まれた時刀贈られたくらいだもん」

 うひゃあ、武家みたい。
 脳内に赤ちゃん陽太が刀持ってる姿が余裕で再生されたけど、うん、アニメかよ。

「じゃあ一緒にできるね」
「何言ってんだよ、やるわけないでしょ。よく見てよ」

 はい、どこもかしこもぷちょっとした柔らかそうな手足、筋肉の姿は見えませんな。

「もったいない」
「あはは、向き不向きはしょうがないよ」
「それはあるよな。やりたいって思うかも」
「そ。やりたいことやらない人生なんてバカらしいよ」

 わ、ここにもいたリア充。
 そりゃ何でも許されてるからできるんだろ。
しおりを挟む

処理中です...