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バトル通学
結果発表!
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コースを見渡してようやく戦況把握する。接戦だな、すぐ後ろに黄色、その横に並びそうな緑。赤はなんで遅れてるんだろ。懸命に走る四人はもう最後のコーナー、こっちに向かってくる。第三走者がバトンを待ち構え、スピードを見極め、今、手渡されて走り出す。
バトンの引き継ぎにもたついたようには見えなかったが、緑がさっきより離されてる。リレーってこういうところあるよな。バトン渡しだけでスピード競ったらコワイことになりそう。
遅れてた赤が追い上げて、青と黄色を追う。あいつ速っえー! って見たら猪瀬くんじゃん! うわ、速っえー! あれ、そんなこと言ってたかなぁ、知らんかった。陸上行ってたら良かったんじゃないの? 言わないけど。
見てる間に最終走者、みんな一番速い奴入れてるはず。と思ったけど、そうでもない。さっきの猪瀬くんたぶん一番速いんじゃないか? まあ各チーム戦略あるだろうけど。
いつの間にか抜かされてた赤を追い抜く、がんばれ栗田! 声援も今が最高潮だ、がんばれがんばれ!
ゴール!
白いテープを切ったのは青、ぃやった────!
その場でぴょんぴょんバンザイして、チームのみんなとハイタッチ! やったぜ!
最後の三年生が始まる前に、急いで席へ戻ると、イェーイ! って全員が手を挙げてて笑いながらハイタッチしまくった。やったぜ────!
『結果を発表します。優勝は、青! 2位、赤、3位────』
「うぉおおおおお!」
もう聞いてなかった。
大騒ぎして誰かれ構わずハグし合って叩き合って腕を振り上げて盛り上がった。泣いてる子もいた。
冷静なアナウンスに従って片付けを始める他のチームが、グラウンドを横切って教室にイスを運び出すあたりで、神田が「そろそろ片付けろ~!」と言い出したので、おれ達はまだ興奮しながらも、荷物をかついでイスを持つ。
どのみち昇降口でイスの足を拭くから、そこで大渋滞してたので、おれ達はまったく急がなかった。
教室に戻ってガタガタ椅子を戻し、形だけのさようならをして解散。
おれはトイレに寄って帰ろうと、バイバイの波から抜けた。
他クラスの人間はもっと早かったから、通り過ぎる教室はほとんど空だったけど、残ってる女子の片方が泣いてる気がして目を背けた。
自分の責任で負けたとか思って泣いている感じかな。そんな訳ないのに。おれ達のチームは優勝したけど、それは色んなことが組み合わさった結果で、たぶん一人一人のがんばりはそこまで影響ないんじゃないか。そりゃがんばったけど、体育祭って祭じゃん。勝ちにこだわるの、別に悪くないけど、一人の力って微々たるもんだよなぁ。
トイレに入ろうとしたら、階段下りてきた丸井先輩と目が合った。
「おっ! 滝夜! 青優勝いえ~い!」
ハイタッチ。そういや先輩も青だっけ。
その向こうに、複雑な表情で通り過ぎる人たちが何人もいる。おれ達は勝ったけど、大多数の人は負けた訳で、なんだか喜び過ぎてる気持ちになった。
「じゃあな!」
手を挙げて去っていく丸井先輩。今日は部活休み。あっても疲れてて練習にはならんよな。
あ~疲れた、早く帰ろう。
バトンの引き継ぎにもたついたようには見えなかったが、緑がさっきより離されてる。リレーってこういうところあるよな。バトン渡しだけでスピード競ったらコワイことになりそう。
遅れてた赤が追い上げて、青と黄色を追う。あいつ速っえー! って見たら猪瀬くんじゃん! うわ、速っえー! あれ、そんなこと言ってたかなぁ、知らんかった。陸上行ってたら良かったんじゃないの? 言わないけど。
見てる間に最終走者、みんな一番速い奴入れてるはず。と思ったけど、そうでもない。さっきの猪瀬くんたぶん一番速いんじゃないか? まあ各チーム戦略あるだろうけど。
いつの間にか抜かされてた赤を追い抜く、がんばれ栗田! 声援も今が最高潮だ、がんばれがんばれ!
ゴール!
白いテープを切ったのは青、ぃやった────!
その場でぴょんぴょんバンザイして、チームのみんなとハイタッチ! やったぜ!
最後の三年生が始まる前に、急いで席へ戻ると、イェーイ! って全員が手を挙げてて笑いながらハイタッチしまくった。やったぜ────!
『結果を発表します。優勝は、青! 2位、赤、3位────』
「うぉおおおおお!」
もう聞いてなかった。
大騒ぎして誰かれ構わずハグし合って叩き合って腕を振り上げて盛り上がった。泣いてる子もいた。
冷静なアナウンスに従って片付けを始める他のチームが、グラウンドを横切って教室にイスを運び出すあたりで、神田が「そろそろ片付けろ~!」と言い出したので、おれ達はまだ興奮しながらも、荷物をかついでイスを持つ。
どのみち昇降口でイスの足を拭くから、そこで大渋滞してたので、おれ達はまったく急がなかった。
教室に戻ってガタガタ椅子を戻し、形だけのさようならをして解散。
おれはトイレに寄って帰ろうと、バイバイの波から抜けた。
他クラスの人間はもっと早かったから、通り過ぎる教室はほとんど空だったけど、残ってる女子の片方が泣いてる気がして目を背けた。
自分の責任で負けたとか思って泣いている感じかな。そんな訳ないのに。おれ達のチームは優勝したけど、それは色んなことが組み合わさった結果で、たぶん一人一人のがんばりはそこまで影響ないんじゃないか。そりゃがんばったけど、体育祭って祭じゃん。勝ちにこだわるの、別に悪くないけど、一人の力って微々たるもんだよなぁ。
トイレに入ろうとしたら、階段下りてきた丸井先輩と目が合った。
「おっ! 滝夜! 青優勝いえ~い!」
ハイタッチ。そういや先輩も青だっけ。
その向こうに、複雑な表情で通り過ぎる人たちが何人もいる。おれ達は勝ったけど、大多数の人は負けた訳で、なんだか喜び過ぎてる気持ちになった。
「じゃあな!」
手を挙げて去っていく丸井先輩。今日は部活休み。あっても疲れてて練習にはならんよな。
あ~疲れた、早く帰ろう。
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