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#31、 もう遠慮はしない
しおりを挟む慌てる奈々江に、ホレイシオがまたいつかのように笑った。
「ふははっ……、やっぱり」
「えっ、あの、え……」
奈々江を見上げた格好のまま、ホレイシオが口を開く。
「ナナエ様が帰国されると聞いたときは、まさかと思ったけれど、やっぱり……」
「あの、やっぱり、とは……?」
ホレイシオが手を離してくれない。
この手をどうするべきなのだろう。
ホレイシオが自嘲するような笑みを浮かべた。
「正直、僕は期待していたのです。
ナナエ様が僕のことを好きだと気がついて戻ってきたのだと」
「え……」
「ずっとお慕いしておりました。
皇太子妃候補として選ばれてからも、僕はあきらめきれませんでした。
毎日毎晩、あなたのことを想っていました」
(ちょ、ちょっと待って……! と、突然すぎない!?)
不意打ちの告白に、さあっと奈々江の頬に血の気が走る。
それを見たホレイシオも、かぁっと顔を赤らめ、わずかに視線を下げた。
ふたりの体温が上がった変化に、チャーリーがとたんに興奮して鳴き始めた。
ホレイシオがまた笑った。
「チャーリー、悪いけど、少しふたりにしてくれないかい」
奈々江の腕からチャーリーを引き取ると、ホレイシオはメイドのひとりにそれを預けた。
戻ってくると、奈々江のそばに来てやはり膝を折った。
「幼いころから僕は、いつかナナエ様が僕の気持ちに気づいてくれると期待していました。
でも、あなたは皇太子妃候補となることをあっさり了承して、グランティア王国に行ってしまった。
僕はどれほど後悔したことか。あなたに想いを伝えなかったことを」
(ちょ、ちょっと待って)
奈々江は素早くこめかみを叩いた。
ホレイシオのラブゲージは八割ほどだ。
薬が効いている。
であるなら、この告白は一体なんなのか。
ホレイシオが続けた。
「僕はもう期待するのを終わりにします。
僕は、あなたが好きです」
真っすぐ見つめるホレイシオの視線の先に、奈々江がいる。
しかも、ホレイシオは本当の幼馴染の早稲田ライルと瓜二つだ。
奈々江が早稲田ライルから告白されているような気になってしまうのは否めない。
「……あ、あの、と、突然すぎて、戸惑っています……」
ホレイシオがまた、いつものように笑った。
「僕はこれまでなんどもあなたにアピールしてきたつもりだったけど、ナナエ様にとってはこれが最初なんですね」
「え、えと……」
すると、ホレイシオが急にぐいっと身を乗り出し、顔を近づけてきた。
思わず、息が止まる。
「これは太陽のエレスチャルのせいだと思っていませんか?」
「えっ……」
「違いますからね。僕は僕の意思でナナエ様を愛しているんです」
「あ、あの、でも……」
奈々江がこわばったように後ろに身を引こうとするが、ソファの背もたれのせいでそれ以上後ろに下がれない。
すると、ホレイシオがすっと身を引いた。
「わかっています。今はまだこの想いがあなたに届いていないということを」
ホレイシオがきりっと顔を向けて、真正面から奈々江を見つめた。
「でも、僕はもう遠慮しませんから。ナナエ様もそのつもりでいてください」
体温が爆上がりだ。
こんな真っすぐな告白を受けるなんて思っても見なかった。
しかも、早稲田ライルとの記憶も相まって、ホレイシオのことはなにも知らないはずなのに、妙に納得を感じてしまう。
重ねて、それが嫌じゃない。
(で、でも、彼はライル君じゃないんだよ?
ライル君との思い出を重ねちゃってるけど、ホレイシオはライル君じゃないからね?)
自分で自分に言い聞かせる。
それでも、ホレイシオの顔を見ると、胸の底から親しみと温かさが湧いてくる。
「とりいそぎ、太陽のエレスチャルはできるだけ早く取り出さなくてはいけませんね。
むやみにライバルが増えるのは好ましくありませんから」
ほほ笑みを浮かべるホレイシオと、繋がれた手の温度。
どくんどくんと奈々江の心臓は大忙しだ。
(何度もいうけど、ライル君じゃないからね……。
でも、でも、これはひょっとして、わたしの願望だったの……?)
別人だと承知しているにもかかわらず、奈々江は思わず口を開いた。
「あの、いつから……」
ホレイシオがまた少し笑った。
「ワーグナー家の近くにあったバトン家の別荘に僕が移ることになったのは四歳のときです。
そのころ僕は少し気管が弱くて、空気のいい地方で過ごすように医者に勧められたことはご存知ですよね」
(……ライル君も肺が弱くて、都市部から引っ越してきたんだよね……。
そこも同じなんだ……)
「両親や兄弟から切り離されて、僕はとても寂しい日々を過ごしていました。毎日家族のもとに帰りたいといって、使用人に縋りついて困らせていたのです。
ですが、ナナエ様が現れてから、僕の生活は変わりました。
ナナエ様が僕の寂しさをすっかり埋めてくれたからです。
代わり映えのない孤独な療養の日々、ナナエ様だけが僕の人生を色づけてくださったのです」
思い出してみれば、奈々江と早稲田ライルにも近い思い出がある。
引っ越ししてきたばかりの早稲田ライルはインターナショナル教育を受けており、同年代の子どもたちの中では少し異色だった。
奈々江たちの暮らす地域に当時それに相対する教育を受けられる幼稚園はなく、代わりに、早稲田ライルは自然と触れ合うことに重きを置く山保育園に入れられたのだ。
体の丈夫ではない早稲田ライルにとってはこの上ない環境ではあったが、これまでの状況と全く異なる価値観の世界に投げ込まれ、早稲田ライルは幼心に大きく戸惑っていた。
同じ保育園に通う奈々江はそうとは知らず、近所のよしみで早稲田ライルと行動を共にすることが多かった。
改まって考えたこともないが、早稲田ライルが環境になじめるようになったのは、奈々江の助けがあったからともいえるかもしれなかった。
(そうか……、ここでもわたしの記憶が少なからず影響しているんだ……。
確かに、全然知りもしないゲームのキャラクターより、ライル君にそっくりのホレイシオのほうがずっと親しみを持てる。
これはゲームの夢だけど、わたしの夢の世界でもあるから、これはこれで素直に受け入れていいのかもしれない。
それに、この流れに任せていけば、ホレイシオルートをクリアできるかもしれない……)
奈々江はホレイシオを見つめ直した。
「わかりました、ホレイシオ様。わたし、前向きに考えてみます」
ホレイシオの顔が見る間に輝いた。
「ほ、本当ですか……!? ナナエ様……!」
「はい」
そう答えると、背後からよかった、と声が聞こえた。
振り向くと、クレアが柱の陰からこちらを見守っていた。
「あら、ごめんなさいね……。立ち聞きしていたわけじゃないのよ……。
でも、これで安心したわ。ホレイシオ様、ナナエのことをどうかよろしくお願いいたします」
「はい、クレア様」
「お母様……」
どうやら、クレアの願った通りの展開になったらしい。
母親なら当然の娘の先行きについて心配していただろう。
皇太子妃候補として国を出たのに、いろいろに好ましくない噂の尾ひれがつけて戻ってきてしまったのだ。
縁遠くなるのは必然だと踏んでいたところ、幼馴染のホレイシオの存在が急浮上した。
ホレイシオとの間がうまくいくようにと、母親心に願うのは当然のことだった。
「ナナエ、こんないいお話は他にありませんよ。きっと陛下も喜んでくださるでしょう」
「あ、あの……。でも、まだ了承したわけでは……、前に向きに考えるといっただけで……」
「まあ、なにをいっているの?」
クレアが大きく眉を上げた。
「ナナエ、あなた、今この国でどんな評価を受けているかわかっているの? 皇太子妃候補となりながらも自殺未遂をして国へ戻ってきてしまった曰く付きの皇女よ。
あなたは魔法学校の在籍期間も短く、社交界でもそれほど顔を知られていない。私に力がないせいでもあるけれど、皇女とはいえ利権も財産もないあなたには婚姻における魅力はさほど多くはないの。
そんなあなたをバルト侯爵家のご嫡男であるホレイシオ様が引き受けてくださるといっているのよ。これ以上のお話はないのよ」
(え……、つまり、ホレイシオと結婚しろっていうこと……?)
まさか母親から結婚を強要させられるとは思ってもみなかった。
空気を読んで、ホレイシオが間に入ってくれた。
「クレア様、僕はナナエ様が前向きに考えるとおっしゃってくれただけでも幸せです。
これからは、僕たちのペースで互いのことをもっと理解し深め合いたいと存じます」
「ホレイシオ様、お気遣いいただき感謝いたしますわ。
ナナエにはよく言って聞かせます。陛下にも、私からお話を通しておきますから」
(えっ、えっ、ちょっと、待って)
信じられない。
奈々江は母親とそっくりのクレアを見つめた。
須山日夏だったら、間違ってもこんなことは口にしたりしないはずだ。
この夢の世界を素直に受け入れてもいいかもしれないと思ったばかりだったが、これは違う。
クレアはやはりクレアで、奈々江の母親須山日夏ではないのだ。
それに、ホレイシオのことを好きになって結婚するのならまだしも、両想いになる前に結婚するとなっては、ゲームクリアはどうなるのか?
それとも、結婚した後に両想いになればいいのだろうか?
ありえなくもなさそうだが、乙女ゲームとしてそれはありなのか?
確か、チュートリアルでは両想いでクリアだといっていた。
もしも、結婚したにもかかわらず、ホレイシオを好きになれなかった場合はどうなるのだろうか。
困惑しながら奈々江はクレアとホレイシオを交互に見た。
すると、ホレイシオが難なくクレアに頭を下げる。
「はい、ありがとう存じます。では詳細はその後に」
「えっ? え、ホ、ホレイシオ様……。
今、わたしたちのペースでお互いのことを理解するって……」
ホレイシオがぎゅっと奈々江の手を取り握った。
にこっとほほ笑むと、ホレイシオはいとも当然のようにいった。
「もう遠慮はしないともいったはずです」
「……」
ホレイシオが再び奈々江の手に口づけをする。
一度目の口づけは奈々江に驚きと興奮をもたらしたが、二度目の口づけは不安のほうが大きかった。
(こ、これでいいの……?
これが正規のホレイシオルートなの……?)
十二人いる攻略キャラの中で、十二番目の最後のキャラクター、ホレイシオ。
他のキャラクターたちがグランティア王国出身である中、唯一のエレンデュラ王国の出身のキャラクターで、しかも幼馴染。
あいにく、システム担当外だったホレイシオルートのことは奈々江はほとんど知らない。
エレンデュラ王国出身のせいで、他のキャラたちとの兼ね合いもほぼなく、推測できるほどの情報もない。
さっきホレイシオのラブゲージは八割ほどだった。
太陽のエレスチャル効果は魔法薬のお陰で目減りしている。
しかし、ホレイシオは奈々江に告白をした。
告白は乙女ゲームでいえば、一番の盛り上がりであり、最期のイベントであるはずだ。
ラブゲージが百パーセントではないのにラストイベントが発生するとなると、これは魔法薬が足らなかったとみるべきなのだろうか。
それとも、ともに過ごした時間があらかじめに設定されている幼馴染だからなのだろうか。
(だめだ、考えたところでわからない……。
だけど、他のルートがない今のわたしには、ホレイシオルートを断る余地がない……。
クレアのいうことが本当なら、今後グランティア王国の攻略キャラどころか、エレンデュラ王国のサブキャラとでさえ両想いは難しいかもしれない。
しかも、太陽のエレスチャルの効果なしでは……)
ホレイシオに応えきれずに逡巡している奈々江の肩に、ぐっと強い力が加わった。
クレアの手だった。
「ナナエ、心を決めなさい」
「お、お母様……」
母にそっくりな顔が、見たこともない圧を奈々江にかけてくる。
両手はホレイシオに、肩はクレアに押さえられ、奈々江は完全に動きを封じられていた。
ホレイシオを見たが、今度は助けてくれるつもりはないようだ。
遠慮はしないというのは、本気のようだ。
「あ、あの……、わたし……」
ふたりの強調圧力にはさまれながら、じわじわとそれにむしばまれる。
跳ね返すだけの材料がない。
かといって、はいと気持ちよくいえるだけの直観もない。
(ま、前向きに考える、それだけじゃだめなの……?)
そのとき、メイドのひとりが来客を告げた。
「クレア様、ブランシュ様がお見えになりました」
(ブランシュ……! いいところに……!)
「あらまあ、ちょうどいいわ、お通しして」
(えっ、まさか)
まさか、ブランシュもホレイシオとの縁談に賛成するのだろうか。
考えてみたら、以前それに近いことをいっていたし、反対する理由がない。
これ以上の協調圧力にさらされたら、それこそ承諾しないわけにはいかない。
奈々江は焦った。
だが、焦ったところでどうしようもない。
「先に帰らせてすまなかったな、ナナエ。確認しておきたいことがあったのだ」
ブランシュが部屋に通されるなり、奈々江は身を縮めた。
もはや、ホレイシオとの結婚は逃れられない、そう思うしかなかった。
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