15 / 55
密売じゃありません!ミツバイギフトで最高に美味しい果物作ります!
■303 無茶振りがひどい!
ちょっと待って、なんで~っ!
この世界の礼儀を知らない私に、貴族の相手ができるわけない。
そんなこと、子どもでも、ばかでもわかるでしょう!?
不興を買って切り殺されでもしたらどうするのっ!?
お父さん、お母さんっ!
無茶振りがひどいよ――っ、なんとかいって~っ!
お父さんとお母さんに必死に救命の視線を送ると、おずおずとふたりがやってきた。
よかった……。
「グレイス、しっかりご案内するんだよ」
えっ!?
「あなたなら大丈夫よ」
ちょっ、なにいってるの!?
そういいながら、ぐいぐいと私の背中を押す両親。
ひい~っ、やめて、うそでしょ、なんで!?
あきらめて、死んで来いってこと!?
地面にずるずるとミミズのような足跡をつけながら、生贄のようにブランドン・セラニーの前に押し出された。
あ……、もうだめだ。
誰も私を守ってくれないんだ……。
そのとき、空気が割れたように笑い声が響いた。
「あっはっはっ! 案ずるな。教養なきそなたらにまで不敬を言い渡すような狭量ではない。いつも通りの振る舞いでよい。とはいえ、案内が子どもひとりとは心もとないな」
そ、そーでしょ、そーですよ!
誰か別の大人に替わってもらいましょうよ!
「いえ、この村の果樹のことなら、グレイスをおいて他に右に出る者はいません」
そんちょう~~っ!!
そのとき、お父さんとお母さんのうしろから声がする。
「お、俺が、つ、つきそいます」
トーマス!!
おにぃちゃぁん、今世はお兄ちゃんだけが頼りですう~っ!!
「ほう?」
「グレイスの兄です……。ト、トーマスといいます」
信頼と安堵の目線で振り向いたとき、トーマスを見て愕然とした。
う……、トーマスの顔色、めちゃくちゃ悪い……。しかも、肩震えてる。
トーマスだって、怖いに決まってる。
ついてきてくれたら心強いけど、でも最悪の場合、私だけでなくトーマスまでも……。
む、無理無理、だめだめ!
生産と販売と両方を担っているトーマスにまでなにかあったら、うちはやっていけないよ……!
「だっ、だ、大丈夫……! わ、私、ひとりでも案内できる……よ……」
「でも……っ」
「そうよ、トーマス。グレイスならちゃんとやれるわ」
「ああ、これはグレイスの役目だ」
あうう……。
色を失ったトーマスのうしろでは、いつの間にかエリーゼとジュリアとカーネルが心配そうにこっちを見ていた。
お父さんとお母さんの硬い表情。
そうか……、お父さんたちはいつかこんな日が来るんじゃないかって、きっと予想していたんだ。
見渡すと、村人たちもどこかそんなふうに見えた。
わかってなかったのは、私だけ……?
「ふむ……? グレイスとやらは、子どもながらに信頼を得ているのか? まあよかろう。とにかく一通り見せてくれ。そなたらはその間祭りを楽しむといい」
……こ、こうなったら、前世の記憶をフル活用して、なんとか生き延びるしかない。
この村では使い道のなかった知識チートの総動員だ……っ!
「それで、グレイス、まずはどこへ行く?」
「ひゃいっ!」
しょっぱなから声が……。
ふ、ふう~。胸に手を置いて深呼吸、深呼吸。
「で、では、まずはレモンから……。どうぞ、こちらです」
「うむ」
ひえ~、ブランドン・セラニーのあとから騎士たちがガチャガチャぞろぞろついてくる。こ、こわ……。
「ここがレモン畑です。レモンの苗は、ベゼルさんが町から買ってきました」
「実はなっていないようだな」
「収穫はもう終わりましたので、果実は共同倉庫に保管してあります」
「わかった。それで、アグリ村のレモンは甘いと聞いたが、本当か?」
「はい。そちらもあとで倉庫にて、ご試食いただけます」
そう答えると、ブランドン・セラニーが妙な顔つきでこちらを見下ろしてきた。
え、なに……、もう地雷?
なに、なに? 怖い。
「そなた……、どこでそのような口の利き方を覚えたのだ?」
「へ?」
あ……っ!
しまった、まずかった!?
あなたにおすすめの小説
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
【完結】うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。
かの
ファンタジー
孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。
ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈
私の作るおにぎりが、騎士団の士気を異常に上げています(犯人は副団長)
星乃和花
恋愛
おにぎりを配っただけで、騎士団の士気が異常値になりました。
団長は警戒、監察部は呪術検査、国まで動きかけるのに――副団長だけが平然と断言。
副団長「彼女のご飯は軍事物資です」
私「えっ重い」
胃袋で落ちた策略家副団長の“最適化溺愛”に巻き込まれ、気づけば専属補給係(=婚約)寸前!?
ほのぼの爆笑&甘々の騎士団ラブコメです。
(月水金21:00更新ー本編16話+後日談6話)
異世界でホワイトな飲食店経営を
視世陽木
ファンタジー
定食屋チェーン店で雇われ店長をしていた飯田譲治(イイダ ジョウジ)は、気がついたら真っ白な世界に立っていた。
彼の最後の記憶は、連勤に連勤を重ねてふらふらになりながら帰宅し、赤信号に気づかずに道路に飛び出し、トラックに轢かれて亡くなったというもの。
彼が置かれた状況を説明するためにスタンバイしていた女神様を思いっきり無視しながら、1人考察を進める譲治。
しまいには女神様を泣かせてしまい、十分な説明もないままに異世界に転移させられてしまった!
ブラック企業で酷使されながら、それでも料理が大好きでいつかは自分の店を開きたいと夢見ていた彼は、はたして異世界でどんな生活を送るのか!?
異世界物のテンプレと超ご都合主義を盛り沢山に、ちょいちょい社会風刺を入れながらお送りする異世界定食屋経営物語。はたしてジョージはホワイトな飲食店を経営できるのか!?
● 異世界テンプレと超ご都合主義で話が進むので、苦手な方や飽きてきた方には合わないかもしれません。
● かつて作者もブラック飲食店で店長をしていました。
● 基本的にはおふざけ多め、たまにシリアス。
● 残酷な描写や性的な描写はほとんどありませんが、後々死者は出ます。
ダンジョン銭湯 ~鎧は脱いでお入りください~
こまちゃも
ファンタジー
祖父さんから受け継いだ銭湯ごと、ダンジョンに転移してしまった俺。
だがそこは、なぜか”完全安全地帯”だった。
風呂に入れば傷は癒え、疲れも吹き飛ぶ。
噂を聞きつけた冒険者たちが集まり、宿やギルドまでできていく。
俺には最強の武器もスキルもないがーー最強のヒーラーや個性豊かな常連たちに囲まれながら、俺は今日も湯を沸かす。
銭湯を中心に、ダンジョンの中に小さな拠点が広がっていく。
――ダンジョン銭湯、本日も営業中。
家族に忘れられていた第五王子は愛され生活を送る
りーさん
ファンタジー
アズール王国の王宮には、多くの王子や王女が住んでいる蒼星宮という宮がある。
その宮にはとある噂が広まっていた。併設されている図書館に子どもの幽霊が現れると。
そんなある日、図書館に出入りしていた第一王子は子どものような人影を見かける。
その時、父である国王にすら忘れられ、存在を知られていなかった第五王子の才覚が露になっていく。
追放料理人とJKの異世界グルメ無双珍道中〜ネットスーパーは最強です〜
音無響一
ファンタジー
【第一章完結】
【第二章完結】
【第三章学園編スタート】
【学園編に伴い表紙絵をリニューアル】
わーい、異世界来ちゃった!
スキルスキル〜何かな何かな〜
ネットスーパー……?
これチートでしょ!?
当たりだよね!?
なになに……
注文できるのは、食材と調味料だけ?
完成品は?
カップ麺は?
え、私料理できないんだけど。
──詰みじゃん。
と思ったら、追放された料理人に拾われました。
素材しか買えない転移JK
追放された料理人
完成品ゼロ
便利アイテムなし
あるのは、調味料。
焼くだけなのに泣く。
塩で革命。
ソースで敗北。
そしてなぜかペンギンもいる。
今日も異世界で、
調味料無双しちゃいます!

