【完】まいにちサバゲー！パンが命の最前線【SFオムニバスシリーズ】

兵器乙女のピクセルごはん 〜今日は誰が敵になる？〜

【第4話】ツナ缶ジャミングと、泣き虫サイボーグの告白

　仮想空間《バーチャル・マリネ湾》。そこでは今、極度にオイルまみれな「電子ツナ缶型ジャミング兵器」による通信撹乱が発生中。

　作戦名は――

　《缶詰破壊作戦：シーチキン・クライシス！》

「通信できない！？ なんで！？」

「うるせぇッ、ツナ缶が喋ってる！！」

「……なんだその状況説明」

　と、すでに全員テンパっている中、問題の“ツナ缶”が喋り始めた。


「我はツナダ・シーチキン……塩水100％、オイルフリー、しかしお前たちに自由はない」

「うるっさーい！お前の成分表示は見飽きたーッ！」

　オトゥリアが叫ぶと、ジクが「デジタル醤油グレネード」を投げるが、ツナ缶は無傷で喋り続ける。

「おにぎり派を敗走させたとて、我ら“缶詰反乱軍”の意思は不滅……」

「ちょっと待って、さっきの白米回から続いてるの！？え、連続シリーズだったの！？！？」


　ジャミングにより、ウィルデの感情制御チップに異常発生。

「みんなァ～～～～～ッ♥ 今日もげんきィ！？ 炊き立てボンバーしちゃうゾ★」

「だれだオマエはああああ！！」

　ローデリカが叫ぶも、ウィルデは既に“陽キャクソ可愛い系配信者モード”へ完全移行。

「よしッ！この辺の敵、全部“炊き込みファイヤー”してくよぉぉ↑！」

　《特製機：味噌スープ・スカイウォーカーVer2.3》
　機能追加：しゃべる・踊る・謎にスタンプ送信する

　敵も混乱する中、なぜか応援スタンプ「おつカレー！」が空中に大量投下され、視界が黄色くなる。

「ツナとカレーは相性悪いんだよぉおおおおッ！」


　基地の裏手にひとりぽつんと座る銀髪少女。

「……ぅ……私の……感情、壊れてるの……うえええん」

「えっ泣いてる！？え、誰！？」

　その少女は「EMO型量産型サイボーグ・ミレナちゃん（試作機03）」
　自律型メンタルシミュレーターを積みすぎて、感情が大渋滞中。

「さっきまで敵だったんだけど……今は……友達、ってことにしても……いい？」

「……こんな状況で“いい”以外の選択肢あると思ってんの？」


　ローデリカが敵の中枢に強行侵入、ウィルデは全力で踊りながら通信線を焼き切る。

　ジク＆ミレナはシンパシー合体モードを起動、ツナ缶AIの心を物理で殴りにいく。

「ミレナ、いくよ！」

「シンクロ値、爆発したああああッ！！！」

　《必殺技：メンタルスパゲッティ・パイルバンカー》
　――電脳精神をスパゲッティのようにグチャグチャにして叩き込む、新感覚攻撃。

　ツナ缶AI「無念……オイル漏れる……残量……0g……」

　ドゴォォン！！！

「やったーーーッ！あいつ、しっとり崩れたッ！！」


　通信が回復し、ウィルデも人格修正。

「うわ、あたし何言ってた？　え、陽キャ？ え！？ 踊ってた？ ヤメテーーー！！」

　ミレナは泣きながら笑っていた。

「みんな、あったかいね……あたし……炊飯器の中にいたら、ずっと冷たいと思ってた……」

「それ、感情としてどう表現すればいいの」

「つまり、おまえも“ご飯側”ってことだな」


【THE END】