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3:サンドイッチになった俺(3)
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アイリーンがメイリーンの手を取って、ぎゅっと握った。必死な顔で俺を見る。
「わたしもメイリーンも頑張ります! だからわたしたちをトモヤ様のお側においてください! それに、今は満足できなくても自分好みに育ててるのが、幼妻をもらう楽しみというものなんです。わたしたち、数年後には必ずトモヤ様好みの女になって、いっぱい楽しんでいただけるようになりますから……!」
だーっ! もう、子どもがそういうこと言うんじゃありませんっ! 先生でもないのに、ですます調が出ちまっただろうが。そういうセリフを聞かされて国から送り出されたんだろうが、しかし、俺にはこんないたいけな子どもの口からこれ以上もう聞くに堪えん。
立ち上がってふたりの前に進み出て、俺は膝を折った。視線を合わせれば、ふたりが真剣だということはすぐにわかった。どれだけ小さくても、自分がなんのためにここに来たのか理解しているのだ。
「アイリーン、メイリーン、お前たちに一番優しかった男の人は誰だ? 父ちゃんか、兄ちゃんか?」
「トウチャン……?」
「ニイチャン……?」
「ああ、えーと、つまり父上か? 兄上か?」
「ちちう…お父様…は……厳しくてちょっと怖いときもあるけど……」
「……シュルツお兄様はよく一緒に遊んでくれました……」
「うん、そう、シュルツお兄様はご本も読んでくれます。わたしたち一番好き。ね?」
「うん……!」
「それじゃあ、俺はそのシュルツ兄ちゃんの次に優しい兄ちゃんだと思え」
「へ……?」
「え……?」
「俺のいた国ではお前たちのような幼い子どもと俺のような大人が結婚することは許されてないんだ。お前たちはここにいていい。結婚もしてやる。だけど、お前たちが大きくなるまでは、俺はシュルツ兄ちゃんの次に優しい兄ちゃんだ。わかったか?」
「シュルツニイチャンの次に、優しいニイチャン……」
「ふたりとも、結婚してくれるの……?」
「ああ。結婚しても、お前たちがここにいる三妃のように大きくなるまでは、俺はお前たちと遊んだり本を読んだりする優しい兄ちゃんだ。わかったな?」
ふたりの目に理解と親しみの光が灯った。
「アイリーンと遊んでくれるの? トモヤ様!」
「おう」
「メイリーンにご本読んでくれる……?」
「おう」
さっきまでの責務とやらの重たい空気が一瞬で消え去り、ふたりに年相応の子どもらしい笑顔が輝いた。突然ふたりがぎゅっと俺の両腕にしがみついた。
「アイリーンねぇ、虫取り大好きなの! 蝶々一緒に捕まえる?」
「お、おう……」
「メイリーン、ユニコーンのお話好きなの……。読んでくれる……?」
「お、おお……」
ニコニコ顔の双子美少女に懐かれたのはいいが……。……遊んでやるとか、早まったか……? そっと三妃を振り向くと、なごみとも牽制ともつかない、あるいは俺に向けられた同情と憐れみかもしれないが、なんとも微妙な生暖かい微笑みが帰ってきた。地球では万年ゲームしか趣味のない冴えないおっさんだった俺に八歳の子守なんかできるのか……? 早まったか……早まったな……。
そのとき、両側から子ども特有の匂いが寄せてきて、両頬にピトッと温かいものが張り付いた。アイリーンとメイリーンのほっぺチューのサンドイッチだ。やばい、これは照れる……。いい歳こいて結婚もできなかった俺には当然子どもなどいるはずもなく、これはかなりの衝撃だった。初めて知った……。子どもの純粋な好意って、こんなにピュアなのか。娘にほっぺチューされるのって、もしかしたらこんな気分かもな……。
「アイリーンねぇ、トモヤ様だいすき~っ!」
「メイリーンも、シュルツお兄様の次に……だいすき……」
これは、きゅんか……? これは、きゅんだな……。今ならプリキュア買ってホクホク顔で帰る親父さんの気持ちがわかるぞ……。
よしよし……。俺もお前らが好きだぞ……。これからいっぱい虫を取って、いっぱい本を読め。ナディアのいう子どもでいられる時間を思う存分楽しんでくれ……!
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「わたしもメイリーンも頑張ります! だからわたしたちをトモヤ様のお側においてください! それに、今は満足できなくても自分好みに育ててるのが、幼妻をもらう楽しみというものなんです。わたしたち、数年後には必ずトモヤ様好みの女になって、いっぱい楽しんでいただけるようになりますから……!」
だーっ! もう、子どもがそういうこと言うんじゃありませんっ! 先生でもないのに、ですます調が出ちまっただろうが。そういうセリフを聞かされて国から送り出されたんだろうが、しかし、俺にはこんないたいけな子どもの口からこれ以上もう聞くに堪えん。
立ち上がってふたりの前に進み出て、俺は膝を折った。視線を合わせれば、ふたりが真剣だということはすぐにわかった。どれだけ小さくても、自分がなんのためにここに来たのか理解しているのだ。
「アイリーン、メイリーン、お前たちに一番優しかった男の人は誰だ? 父ちゃんか、兄ちゃんか?」
「トウチャン……?」
「ニイチャン……?」
「ああ、えーと、つまり父上か? 兄上か?」
「ちちう…お父様…は……厳しくてちょっと怖いときもあるけど……」
「……シュルツお兄様はよく一緒に遊んでくれました……」
「うん、そう、シュルツお兄様はご本も読んでくれます。わたしたち一番好き。ね?」
「うん……!」
「それじゃあ、俺はそのシュルツ兄ちゃんの次に優しい兄ちゃんだと思え」
「へ……?」
「え……?」
「俺のいた国ではお前たちのような幼い子どもと俺のような大人が結婚することは許されてないんだ。お前たちはここにいていい。結婚もしてやる。だけど、お前たちが大きくなるまでは、俺はシュルツ兄ちゃんの次に優しい兄ちゃんだ。わかったか?」
「シュルツニイチャンの次に、優しいニイチャン……」
「ふたりとも、結婚してくれるの……?」
「ああ。結婚しても、お前たちがここにいる三妃のように大きくなるまでは、俺はお前たちと遊んだり本を読んだりする優しい兄ちゃんだ。わかったな?」
ふたりの目に理解と親しみの光が灯った。
「アイリーンと遊んでくれるの? トモヤ様!」
「おう」
「メイリーンにご本読んでくれる……?」
「おう」
さっきまでの責務とやらの重たい空気が一瞬で消え去り、ふたりに年相応の子どもらしい笑顔が輝いた。突然ふたりがぎゅっと俺の両腕にしがみついた。
「アイリーンねぇ、虫取り大好きなの! 蝶々一緒に捕まえる?」
「お、おう……」
「メイリーン、ユニコーンのお話好きなの……。読んでくれる……?」
「お、おお……」
ニコニコ顔の双子美少女に懐かれたのはいいが……。……遊んでやるとか、早まったか……? そっと三妃を振り向くと、なごみとも牽制ともつかない、あるいは俺に向けられた同情と憐れみかもしれないが、なんとも微妙な生暖かい微笑みが帰ってきた。地球では万年ゲームしか趣味のない冴えないおっさんだった俺に八歳の子守なんかできるのか……? 早まったか……早まったな……。
そのとき、両側から子ども特有の匂いが寄せてきて、両頬にピトッと温かいものが張り付いた。アイリーンとメイリーンのほっぺチューのサンドイッチだ。やばい、これは照れる……。いい歳こいて結婚もできなかった俺には当然子どもなどいるはずもなく、これはかなりの衝撃だった。初めて知った……。子どもの純粋な好意って、こんなにピュアなのか。娘にほっぺチューされるのって、もしかしたらこんな気分かもな……。
「アイリーンねぇ、トモヤ様だいすき~っ!」
「メイリーンも、シュルツお兄様の次に……だいすき……」
これは、きゅんか……? これは、きゅんだな……。今ならプリキュア買ってホクホク顔で帰る親父さんの気持ちがわかるぞ……。
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