【完】Nurture ずっと二人で ~ サッカー硬派男子 × おっとり地味子のゆっくり育むピュア恋~【ブルーモーメントオムニバス1~2&5】

国府知里

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【シリーズ5】888字物語 ~青春篇~

# ハーバルキラー ※

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「女の敵! お前なんか死ね!」

 ドスッと背中に痛みが走り、僕は倒れた。

 刺された場所がヤバい。

 血の気が一気に引いていく。

 なんでこんな事に……。


 ………



 数日前、近所の銭湯に入った僕は眼鏡を置いて、いつものように自前のシャンプーを手に浴場に入った。

 美容意識が高いというわけではなく、子供の頃から肌が弱くて、備え付けのシャンプーではカサカサになってしまうのだ。

 軽く体を流し湯に浸かった後、いつもの様に鏡の前に座ってシャンプーを始めた。

 そしてすぐに気づいた。

 何だこれ!? めっちゃ良い匂いする!

 シャンプーボトルをよく見たら、他人の物だった。

 ボトルの色が似ていて間違えたのだ。

 その時、隣に若い人が座った。

 背格好はそう変わらないのに、顔面は僕の十倍くらいかっこいい。



「それ、俺の」

「すいません! 間違えて使ってしまって……」

「別にいいよ」



 その人はさほど気に止めなかったので、僕はホッとした。

 その後、良い香りに包まれながら僕は銭湯を出た。

 心配したけど、品質が良いのか、頭皮の調子は普段より良いくらいだ。



「レン君、お待たせ!」



 銭湯の出口でいきなり女性に腕を掴まれた。

 驚いて振り向いた瞬間、女性の顔が歪む。



「げっ、誰!」



 それこっちの台詞……!

 人違いした女性は、そそくさと謝ると離れていった。

 湯上がりに彼女と待ち合せか。

 羨ましすぎる……。

 僕には縁のない話だ。

 でも、あのシャンプー。

 本当に良さそうだ。

 商品名を聞いておけばよかった。





 それから間もなく、シャンプーをくれた人に再会し、また銭湯で隣になった。



「そのシャンプー、すごく良いですね。商品名教えてもらえませんか?」

「気に入ったならあげるよ」

「えっ、いいんですか!」



 聞けば、男性は美容師で、仕事柄色んな種類を試すらしい。

 ありがたくシャンプーをもらった。

 おおう、やっぱりいい匂いだ!

 もらったシャンプーで髪を洗い、男性にお礼を言って、銭湯を出た。

 そして、僕は刺されたのだ。


 ………



 気が遠くなりながらも女性の叫び声が聞こえる。



「なんで、レン君じゃないの……!?」



 そういう事か……。

 似てたのは見た目だけじゃなかったんだ。

 あの人からもらったシャンプー。

 その香りの せい で……




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