ちるらむ ちるらむ

喜島 塔

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「嗚呼……私が、殺したのか……」

 「死」よりも恐ろしいものの正体が分かった私は、ぼそりと呟いた。

 何かの気配を感じ、後ろを振り返ると、顔がぐちゃぐちゃになった血塗れの長い黒髪の少女が立っていた。氷漬けにされた魚のように躰が凍てついた私は指一本動かすことができなかった。少女は、ぬちゃり、ぬちゃりと赤い雫を垂らしながら一歩一歩私に近づき、私を抱きしめ、耳元で、

「ソウダヨ オモイダシテクレテ アリガトウ イオリ」
 と囁き、躊躇うことなく、体温を失った赤い両掌で私を突き落とした。

朽ちたフェンスとともに下へ堕ちていく私の視界に映し出されたのは、見事な枝垂桜の花火と、あの日と同じように血の色の眼でぎらりと私を睨めつける、変わり果てた姿になった、かつての私の親友だった。



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