命売りの少年

喜島 塔

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 季節は移り変わり、千時丸帝国には灰色の雲が重く垂れ下がっていた。帝都やその周辺の区域では初雪が降るのではないかと人々が騒ぎ立てていた。体の芯が凍て付くような寒さに身震いをしながら、手袋を忘れて外出した人々が冷えた手をこすり合わせたり、吐き出した息で暖を取ったりしていた。

 この日、帝都から少し離れた南一区の『桜井医院』に紺色の制服に学生のような帽子を被った郵便配達人が一通の手紙を届けに来た。宛名は院長の桜井昇さくらい のぼる。差出人は四童子鬼灯しどうじ ほおずきだった。嫌な予感がした桜井は急いで封を開け手紙を読んだ。手紙を読み終えた桜井は、妻を呼んで至急人力車を手配するように頼んだ。そして、インバネスコートを羽織り、実弟であり『桜井医院』の副院長である桜井悟さくらい さとるに指示を出し、西一区にある、とある店へ向かった。
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