犠牲を捧げる

ミルクティ

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ここはどこですか?

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「あの」

「はい」

謎の緊張感を称えた間が、二人の間を通り過ぎる。

「ここはどこですか?」

「ここ?」

「はい」

言った…言い切れたことで微妙な安堵が胸に広がった、しかし、安堵できたのも束の間だった。

「ここ、の定義について教えてください、あなたの立場で考えますと、ここという言葉だけでは些か説明不足です。」
彼女は私の立場で考えてくれている、ということなのだろうか。
無機質そうに見えるが、人の気を考えるだけの、優しさに似た感情はあるのかも知れない。

まあそれはさておき、それなら私からしての場所の疑問は二つある。
一つはこの森に囲まれた謎の、魔力的何かが関わる空間であり、もう一つは、この屋敷だ。
どちらから聞けばいい?
主観的に考えて、疑問が詰まっているのは前者の方だ。なので、私はありのままに質問を口にする。

「さっきアドリアナ…?さんと話していた、魔力がどうのこうのっていう意味の、ここです」

少し、気まずさはないものの沈黙が流れる。
「あなたきっと、いいえ、絶対に驚かれますよ。
何しろ、今まで人間界の者に口外すれば、例外なくうるさく騒ぎ立てたのですから。
だから…、驚くのは自由としても、私やアドリアナ様を狂人扱いするのはお控えくださいね?
あなたの体の一部が、無くなってしまうかもしれませんから」
…やっぱり冷徹なのかもしれない。
しかし、そんな脅しは無視すれば、そんなに凄いことなのだろうか。
まあ、魔力だのなんだのが関わっている時点で現実的では無いということは覚悟していたのだが。
まったく実感がない、足元から上へ上へと奇妙な感覚が上り詰めてくる。

それは恐怖に似たような感覚だった。
しかし、対照的に好奇心も浮き立っていた。
さっき魔力がどうちゃら言っていたのを考えると、きっと面白いことなのだろう。
この年頃の子供の血が騒がないはずがない。
どくどくと徐々に強まってくる血の流れを、大きな深呼吸で紛らわす。
そして、アリシアの紅眼を真っ直ぐに見つめて言葉した。
「約束します。」



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