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第2章
イヴァンカ国の建物
馬車が止まり、外に出ると大きな邸がたっていた。
ここはフレッドが知り合いから借りてくれたというカシクロン侯爵家の別邸。普段はほとんど使われていないと言っていたけれど、そうは思えないほどに綺麗にしている。
それにイヴァンカ国の建物は見ているだけでも心が楽しくなる。
私たちの国は邸や建物と言えば、壁が白や茶色などが当たり前だけど、この国ではまるで各家が主張するように様々な色になっている。水色や、緑、黄色やピンクの家もある。国が違えばこんなところも違うのだとウキウキしてしまうのだ。
そして目の前の邸は空のようなとても綺麗な青色の壁の中に黄色の可愛らしいドアがついている。綺麗な色で壁を彩れるのは高位貴族の証拠。下位になればなるほど高位貴族の家とかぶることがないように少しくすんだ色になっていくそうだ。
ドアをくぐれば、邸の持ち主の感性の良さが分かってしまう。外はまるで見てみてと主張しているのに、ひとたび中に足を踏み入れるとそこは落ち着いた雰囲気になっていた。それでも様々な色が目につくのは多くの植物が飾られているから。
「「旦那様、奥様、おかえりなさいませ」」
私たちが入ってくるのを玄関のそばで待ち構えてくれていたのはアンとチャールズ。
チャールズはフレッドの一つ下の伯爵家の3男。学校でフレッドと仲良くしていた彼は、フレッドが我が家で暮らすようになってから、フレッドの執事として働くようになった。
成績はいつも10位以内であり、役人としての将来も望まれていた。
だが
「あんな狸おやじしかいないような所でずっと働くのはやだ」
その一言を告げ、フレッドの執事として働くことになったそうだ。
権力や役職にはなんの興味もないとの事で、とても嬉しそうな顔をしてやってきたのをよく覚えている。
だが実際に働くようになって、勉強とは違う難しさに彼はかなり疲れていた。
執事と言えど、家の中の管理だけではない。主人のスケジュール管理はもちろん、取引先の把握、連絡や、社交界への連絡を行い、使用人の管理。それとは別にそして当家では代々筆頭執事が土地・領地の管理を行っている。だから王都にいても領地にいる土地管理人とも密に連絡を取り合わなければいけないのだ。一つの事をまとめる時はその他の事を考えながらまとめ上げなければならない。
一度だけ「多分役人の方が楽だった…」そうぼやいているのを聞いてしまった。
でもそんな風に思っていても、一度も辞めたいなんて口に出したことはない。それどころかナシェルカ家の執事トムに何かと引っ付いていき、やり方を覚えるといって意気込んでいた。
こんな彼だからフレッドは彼の事を自分付きの執事として雇ったのだろう。
そして他国の知識もあるに越したことはないと、息抜きを兼ねてついてきて貰った。
ここはフレッドが知り合いから借りてくれたというカシクロン侯爵家の別邸。普段はほとんど使われていないと言っていたけれど、そうは思えないほどに綺麗にしている。
それにイヴァンカ国の建物は見ているだけでも心が楽しくなる。
私たちの国は邸や建物と言えば、壁が白や茶色などが当たり前だけど、この国ではまるで各家が主張するように様々な色になっている。水色や、緑、黄色やピンクの家もある。国が違えばこんなところも違うのだとウキウキしてしまうのだ。
そして目の前の邸は空のようなとても綺麗な青色の壁の中に黄色の可愛らしいドアがついている。綺麗な色で壁を彩れるのは高位貴族の証拠。下位になればなるほど高位貴族の家とかぶることがないように少しくすんだ色になっていくそうだ。
ドアをくぐれば、邸の持ち主の感性の良さが分かってしまう。外はまるで見てみてと主張しているのに、ひとたび中に足を踏み入れるとそこは落ち着いた雰囲気になっていた。それでも様々な色が目につくのは多くの植物が飾られているから。
「「旦那様、奥様、おかえりなさいませ」」
私たちが入ってくるのを玄関のそばで待ち構えてくれていたのはアンとチャールズ。
チャールズはフレッドの一つ下の伯爵家の3男。学校でフレッドと仲良くしていた彼は、フレッドが我が家で暮らすようになってから、フレッドの執事として働くようになった。
成績はいつも10位以内であり、役人としての将来も望まれていた。
だが
「あんな狸おやじしかいないような所でずっと働くのはやだ」
その一言を告げ、フレッドの執事として働くことになったそうだ。
権力や役職にはなんの興味もないとの事で、とても嬉しそうな顔をしてやってきたのをよく覚えている。
だが実際に働くようになって、勉強とは違う難しさに彼はかなり疲れていた。
執事と言えど、家の中の管理だけではない。主人のスケジュール管理はもちろん、取引先の把握、連絡や、社交界への連絡を行い、使用人の管理。それとは別にそして当家では代々筆頭執事が土地・領地の管理を行っている。だから王都にいても領地にいる土地管理人とも密に連絡を取り合わなければいけないのだ。一つの事をまとめる時はその他の事を考えながらまとめ上げなければならない。
一度だけ「多分役人の方が楽だった…」そうぼやいているのを聞いてしまった。
でもそんな風に思っていても、一度も辞めたいなんて口に出したことはない。それどころかナシェルカ家の執事トムに何かと引っ付いていき、やり方を覚えるといって意気込んでいた。
こんな彼だからフレッドは彼の事を自分付きの執事として雇ったのだろう。
そして他国の知識もあるに越したことはないと、息抜きを兼ねてついてきて貰った。
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