幼い子が父に会いたいと夫を訪ねてきました。この国は不倫はご法度の国。これから先起こることは全部ご自身のせいですよ?

暖夢 由

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僕は……(ジョシュエル)②

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そして極めつけは
「彼の胸の少し上あたりに赤い印がある。この間彼が来た時に残したばかりだからまだ消えていないはず」と。

それを聞いてうちの専属弁護士のダグラスが確認しにきた。

やばい!こいつはやばい!とにかく頭が回るダグラス。こいつに証拠を握られでもしたらもう逃げられない!

そう思って必死に抵抗して見せないようにしたのに、護衛が加勢に来たらもう無理だった。
なんでこんな逃げられなくなることばかりをこの女は言うんだ!不貞取締法を知らないのか!!!

だから俺は必死にステファニーに向かって言ったんだ。
「一瞬の気の迷いだったんだ」と。
「1晩だけの関係だ」と。
だが、ステファニーは汚いものでも見るような目で私を見て、

「一晩だけの関係だというのなら私が信じられるように口を開かないで頂けますか」と。

どうしたらいいんだ。
いつも優しいステファニーなら私がリリアンに騙されて一晩関係を持ったというだけなら赦してくれるかもしれない。
なにか上手い言い訳をしなければ。
頭の中でそんなことを必死に思っていると、いつもの優しいステファニーの声が聞こえた。
だがその声は僕にではなく………リンダに向かっていた。

「あなたのお父様を教えてくださいますか?」と。

やばいやばいやばい!!!!
最近リンダはちゃんと覚えられたと僕の名前を何度も何度も繰り返していた。
「おとうしゃまはジョシュエル・トリアーノ」と。

そしてそれをステファニーに告げた。
どうして僕はリンダが僕の名前を誇らしげにいっているときに外では言わないようにと止めなかったのか……

その一言で周りの貴族たちはざわざわ騒ぎ出した。

ああ……ダメだ。逃げられない。
ステファニーに赦してもらうしかもう方法がないんだ。

絶望しかない僕の頭の上でリリアンの声が聞こえる。
「ほら、子どもがジョシュの子どもだって理解できたでしょう?
いい加減ジョシュにしがみついていないで早く離縁なさい!」と。

ああ……僕はなんてばかな女と関係を続けてしまったんだ。
もう少し頭がいい女性なら……もう少し慎ましやかな女性なら……

僕が打ちひしがれていると更に酷い一言が頭の上から降ってきた。
「このような状況で夫婦でいるのは不可能。こちらの書類にサインしてください」と。

まってくれ…そんなことになってしまったらきっとダグラスが不貞取締法に基づき手続きをしてしまう…そうすれば僕は破産だ……
侯爵家に入ってからも金を貯めたことなんてない。もし追い出されたらどうやって生活するんだ?どうやって……

何も言えずただただ頭を横に振った。いやだ…いやなんだ…これからはステファニーを大事にする。大事にするから…

頭をただ振っていた僕の横で誰かの足が止まった。ステファニー!?

「ジョシュエル、ステファニーを傷つけてこのままのうのうと暮らせると思うな。早くサインしろ!さもなくばキルン伯爵夫人、お前が交流を持っていた夫人が妊娠中だとこの場で言うぞ。そうすればキルン伯爵にも伝わるぞ」

そんな言葉が頭に響いた。
なぜっ!?なぜダグラスがマリーとの関係を知っているんだ?

やばい…やばい…これはやばい…
キルン伯爵はマリーのことを溺愛している。もしお腹の子が僕の子だなんてことになったら……

心臓がうるさいほどにバクバクと音を立てる。
考えただけでも恐ろしいことに素早くサインした。
これで黙っていてくれる。そう思って。
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