「お前が死ねばよかった」と言われた夜【新章スタート】

白滝春菊

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再婚編

28※

 ヴィクトル様が私を抱き上げると、そのまま静かにベッドの真ん中のシーツの上に横たえ、私の上半身を覆う夜着の紐を指先で迷いなく解いていく。
 夜着が肩までずり落ち、私の薄い胸元が夜の空気と、ヴィクトル様の視線にさらされる。

「あっ……」

 恥ずかしくなってしまい、私が両手で隠そうとするよりも早く、ヴィクトル様の大きな手のひらが私の胸を覆い尽くした。
 ヴィクトル様は私の小さな胸を包み込んだまま、ゆっくりと顔を下げてくると唇が私の肌に触れた。

「……んっ」

 吸い付かれるような感覚に全身が跳ねる。柔らかく、しかし力強く吸われ、舌が弄んでくるたびに言いようのない熱が胸の奥から湧き上がる。
 彼の硬い手のひらが、もう片方の胸を優しく揉みしだくと、快感に私はシーツを握りしめた。

「やはり……薄いな……」

 その最中、彼の口元から、微かな、囁きのような声が漏れた。その感想に私の身体が硬直する。
 やはり、彼は私の胸に物足りなさを感じているのだと、全身の血が引いていくような感覚に襲われたが、ヴィクトル様は構わず愛撫を続ける。

「あっ……ゆび……」

 ヴィクトル様は私の薄い胸を愛撫しながら、私の身体をシーツに深く沈めていき、大きな手が私の下半身へと滑り降りてきた。
 私の下半身を覆う薄い布地、ショーツの上から、私の秘所を指で強く、撫で付けるように刺激し始めたのだ。

「ひっ……んぅ……」

 布一枚隔てているだけなのにその刺激は皮膚の奥まで響くように鮮烈だった。
 私の腰は自分の意志とは無関係に彼の指に擦り寄るように跳ね上がる。
 ショーツは指の熱と私自身から溢れる熱であっという間に湿っていくのがわかった。
 このまま、この布一枚隔てただけの愛撫に全身の理性が溶かされていくのをただ感じているしかなかった。
 ショーツの上から愛撫され続けた場所はすでに限界近くの熱を帯びていた。

「あっ……あっ……やだ……いや……」

 ヴィクトル様は私の身体を、私の意志など気にしないと言わんばかりに翻弄する。
 やめて、と口にしようとすると、ヴィクトル様は私の上半身を支えるように片手で抱きかかえ、私に顔を近づけ、そのまま唇を奪われる。

「んっ……!」

 キスをしながら、下半身への愛撫も止まらない。私は彼の太い首に腕を回してしがみつくことしかできない。快楽が全身を貫き、何も考えられない。
 ショーツがもう用を成していないくらいに濡れている。それでも脱がされないまま、私の中へ指が、今度は指先が、躊躇なくそこに触れた。

「……っ……!」

 布越しとは比べ物にならない、直接的で強烈な刺激に私はキスを止めて息を吐き出した。
 ヴィクトル様は私の過剰な反応を気にする様子もなく、一本の指を使い、私の熱い秘所を円を描くようにゆっくりと、しかし確実に愛撫し始めた。
 彼の指の腹が敏感な所を撫で上げるたびに全身の神経がその一点に集中していく。

「ひっ、んんっ……ヴィクト、ルさま……」

 指が私の内側へとゆっくりと差し込まれてくる。濡れて潤っているはずなのに指の太さにまだわずかな抵抗を感じつつも、指が奥へ、奥へと進んでくる。

 「……んあっ……」

 内側をヴィクトル様の指がゆっくりとほぐしていく。痛みはないけれど、ヴィクトル様の指が私の奥を解していくたび、全身が甘く痺れていくような、そんな錯覚に陥った。

「どうだ……ここ、いいか……?」

その言葉が、耳元に直接注がれる。低い声。耳の奥まで響いて、脳髄まで痺れそうになる。

「はい……んっ……ん……あっ……そこ、は……」

 恥ずかしくて堪らないのに、彼の指先の動きはあまりにも的確で、私はその波に翻弄されるしかなかった。

「そうか……」

 指が内側を広げ、私を見つめる視線に耐えていると、ヴィクトル様は再び顔を下げ、今度は私の片方の胸に熱い唇が吸い付く。

「ふあっ……」

 胸への刺激と、下半身を広げられている内側からの快感が、一気に同時に襲いかかってきた。全身が二重の熱に支配され、私の喉からは制御できない甘い悲鳴が漏れる。
 ヴィクトル様は私の悲鳴など気に留めない。彼は黙々と、片方の胸の先端を吸い上げ、舌で弄びながら、もう片方の手で内側の指を容赦なく動かし始めた。

 内側をほぐしながら、陰核を弄られる。指先が小さな突起を擦るたびに甘い痺れが走る。頭の中が白く霞む。
 私の身体はすでにヴィクトル様の指と舌の支配下にあって、もう、抗うことなどできなかった。

「……っ、ヴィクトル、さま……!」

 胸から唇が離れると私に向かって絶頂を促すようにヴィクトル様が囁くと、私は怖くなって、必死にしがみつき、彼の首筋に顔を埋める。

「んっ……あっ……ああっ……」
「大丈夫だ……そのまま、何も考えず、俺に身を任せていればいい」

 そう言われた瞬間、私の陰核が彼の指によって強く、正確に押し込まれた。

「んっ……あっ……ああっ……」

 全身の神経がその一点に集まり、激しい快感が、私の中を駆け上がった。 声は悲鳴のような吐息に変わり、体の奥底が激しく収縮する。

 視界が白く弾け、全身が痙攣する。私は彼の肩にしがみつき、強く、強く、名前を呼ぶことすら忘れて、ただ快感の渦の中で喘いだ。

「はぁ……はぁ……」

 激しい絶頂の波が去り、私はただ、快感の余韻でぐったりとしていた。身体は鉛のように重く、呼吸もまともにできない。
 そんな私の上半身を支えるようにヴィクトル様がゆっくりと身体を起こした。彼の身体から伝わる熱が私の震える肌を温めている。

 そして、私の身体から離れることなく、彼はズボンの前に手をやった。布が擦れる微かな音。いよいよ、だ。
 視界の端で、露わになった彼の男性器が見えた。熱を帯びた、大きく、逞しいその存在に再びわずかな恐怖が蘇る。私は痛みに備えるようにぎゅっと目を閉じて覚悟を決めた。

 でも、次に起こったのは予想していたような強引な挿入ではなかった。
 ヴィクトル様は静かにベッドに座り直すと、私の身体を優しく抱き起こす。

「……え?」

 私はヴィクトル様の膝の上に跨るような形で座らされた。
 私の腰を支える手にかすかな震えを感じる。 顔を上げると、すぐそこに青い瞳があった。その瞳は情欲だけでなく、不安も含んで私を見つめていた。
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