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漫才みたいな掛け合いは見ていて面白かったけど、こうして二人が難しいビジネス用語を使いながら会話をしている姿を眺めていると、この世とは思えないくらい美しい光景だなと思う。
あまりに別次元の素敵さに、自分のことだけど少し他人ごとのように見える。
私が二人の様子を見ていると、私の前にバイト服に着替えた栗栖が座る。
「アンタ、あんなの眺めてて面白いわけ?」
「うん、仕事をしてる男性ってかっこいいよね。特に二人は見た目も素敵だし。」
「確かに。あいつら顔だけはいいもんな。ああやって仕事してる姿は憧れる。スーツいいよな。」
「顔って、栗栖くんも相当美少年だよ?」
「確かに美しいのは否定しないけど、少年とか言うなよな」
子ども扱いがお気に召さなかったのか、栗栖はすこし膨れてしまった。
そんな会話をしているうちに、どうやら条件が合致したようでお互い書類にサインをしている。
自分の事だけに、どんな条件なのか気になるところではある。
ただ、交渉内容については狐崎に一任しているので、私は首を突っ込まないことにする。
まさに「さわらぬ神にたたりなし」だ。
「お待たせ~!板狩ちゃん!」
狐崎が笑顔でこちらにやってくる。たった今、まとまった話を教えてくれるようだ。
「板狩ちゃん、今迷ってはりますよね。」
「正直に言うと、はい。」
「うんうん!何でもお兄さんはお見通しです!なんたってこれでも神に一番近い眷属やからね!
簡単に言うとね、すぐに紫狼のところで働くことにはなりません。勿論、板狩ちゃんが憧れてる会社っていうのは分かってる。
でも、今は僕があやかし街の仲間から貰った依頼も来てるし、自分の力を試しつつ紫狼の会社にバイトで数か月行ってもらう形はどうかと思うんです。
試しで行ってみて、ええ会社と思ったらそのまま就職する。自分で引き受けた仕事をやったほうがええと思ったらリーフ亭経由でフリーランスになったらええと思うんやけど、どうですやろ?」
「ええ!!?そんな贅沢な選択肢、いいんですか?」
「ええよ。紫狼もそこは納得してくれましたし。いざ入ってみてブラックやったら困りますもんね?」
「私の会社は超ホワイト企業だ。ちなみに副業も許可している。狐、変なことを吹き込むな。」
紫狼が狐崎の背後に立ち、静かな圧をかけている。
あまりに別次元の素敵さに、自分のことだけど少し他人ごとのように見える。
私が二人の様子を見ていると、私の前にバイト服に着替えた栗栖が座る。
「アンタ、あんなの眺めてて面白いわけ?」
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「確かに。あいつら顔だけはいいもんな。ああやって仕事してる姿は憧れる。スーツいいよな。」
「顔って、栗栖くんも相当美少年だよ?」
「確かに美しいのは否定しないけど、少年とか言うなよな」
子ども扱いがお気に召さなかったのか、栗栖はすこし膨れてしまった。
そんな会話をしているうちに、どうやら条件が合致したようでお互い書類にサインをしている。
自分の事だけに、どんな条件なのか気になるところではある。
ただ、交渉内容については狐崎に一任しているので、私は首を突っ込まないことにする。
まさに「さわらぬ神にたたりなし」だ。
「お待たせ~!板狩ちゃん!」
狐崎が笑顔でこちらにやってくる。たった今、まとまった話を教えてくれるようだ。
「板狩ちゃん、今迷ってはりますよね。」
「正直に言うと、はい。」
「うんうん!何でもお兄さんはお見通しです!なんたってこれでも神に一番近い眷属やからね!
簡単に言うとね、すぐに紫狼のところで働くことにはなりません。勿論、板狩ちゃんが憧れてる会社っていうのは分かってる。
でも、今は僕があやかし街の仲間から貰った依頼も来てるし、自分の力を試しつつ紫狼の会社にバイトで数か月行ってもらう形はどうかと思うんです。
試しで行ってみて、ええ会社と思ったらそのまま就職する。自分で引き受けた仕事をやったほうがええと思ったらリーフ亭経由でフリーランスになったらええと思うんやけど、どうですやろ?」
「ええ!!?そんな贅沢な選択肢、いいんですか?」
「ええよ。紫狼もそこは納得してくれましたし。いざ入ってみてブラックやったら困りますもんね?」
「私の会社は超ホワイト企業だ。ちなみに副業も許可している。狐、変なことを吹き込むな。」
紫狼が狐崎の背後に立ち、静かな圧をかけている。
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