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放課後──。
久しぶりに一人になることが出来たセシリアは、学園内の図書館にいた。そして、館内の一番奥の窓側の席に腰掛け、そこに来るまでに借りてきた魔術書とノートを開いた。
勉強をはじめてから二時間ほどがたっただろうか?ずっと座りっぱなしだったセシリアは誰も周囲にいないことを確認してから、大きく伸びをする。
『.....恥.......れ!』
『....の.....がっ!』
...っ!
誰もいなかったと思ったのに、どこからか聞こえた人の声に見られてしまったかもしれないと思い、焦るセシリア。
しかし、声はどうやら外から聞こえてきていたようで、図書館の二階にいるセシリアのことは見えていなかったと気づき一安心する。その一方で、外から聞こえる声に違和感を感じる。それもそのはず、セシリアは誰も通らず静かだからこそ、この場所でいつも勉強しているのである。この下は学園の整備されている道からは外れているし何より木が茂っているため死角になる。
なにか嫌な予感がしたセシリアは、勉強を中断し席を立った。
ーーーーーー
確か声がしたのはこの辺りだったはず.....。
「このっ、裏切り者が!」
「せいぜい魔術科でも痛い目を見るんだな!」
「っ.....!なにをしているのですか!」
珍しく声を張り上げるセシリア。あまりにも目の前で起こっていることが衝撃的で、普段の落ち着いた言動も少し乱れてしまう。
そこでは、一人の男子生徒を複数人の男子生徒が囲み暴行を行うという極めて卑劣な行為が行われていた。
死角になっているこの場所で行っていたのだから、彼らも人に見られたくはなかったのだろう。私が声をかければ暴行を加えていた生徒は慌てて立ち去ろうとする。しかし、それをみすみす逃がすセシリアではない。すかさず、魔術で捕らえようとする。しかし、それは、失敗に終わる。
「...っま、待って下さい!」
他でもない、彼らに暴行を加えられていた男子生徒の言葉によって──。
「...どうして、止めたのですか?」
どんな理由があっても、こんなことをする生徒を見逃す訳には行かなかった。思わず吐いてしまいそうな溜息をぐっと堪え、被害者である生徒に向き直る。
「えっと...それは.....」
言い淀む男子生徒を前に彼が怪我をしていたのを思い出す。それに制服も土まみれでとても見ていられる状態では無い。
「とりあえず、傷を見せてください」
「え?あっ、はい」
傷を治す魔術と、ついでに水の魔術で制服の汚れを落とし、風の魔術でそれを乾かす。
男子生徒はすごいと自身の治っていく傷と綺麗になった制服をみて感心している。制服のクロスタイの色は緑。
この学園では男女関わらず、騎士科は赤、魔術科は緑のネクタイをつける規則になっている。また、初等部はリボンタイ、中等部はクロスタイ、高等部はネクタイと決まっている。
つまりこの生徒は恐らく魔術科の中等部の生徒だ。
そして逃げていった生徒達のクロスタイの色は赤。つまり騎士科の生徒が魔術科の生徒を複数で暴行していた、ということだ。
「で、話を聞かせて下さいますか?」
どのような事情があったにせよ、決して許容できない行為をしていた騎士科の生徒をみすみす逃すことになったセシリアは、笑顔を浮かべてはいるものの少しばかり気が立っていた。
そしてその笑顔の圧に負けた魔術科の生徒は、今まで何があったのかをポツリポツリと話しはじめた。
久しぶりに一人になることが出来たセシリアは、学園内の図書館にいた。そして、館内の一番奥の窓側の席に腰掛け、そこに来るまでに借りてきた魔術書とノートを開いた。
勉強をはじめてから二時間ほどがたっただろうか?ずっと座りっぱなしだったセシリアは誰も周囲にいないことを確認してから、大きく伸びをする。
『.....恥.......れ!』
『....の.....がっ!』
...っ!
誰もいなかったと思ったのに、どこからか聞こえた人の声に見られてしまったかもしれないと思い、焦るセシリア。
しかし、声はどうやら外から聞こえてきていたようで、図書館の二階にいるセシリアのことは見えていなかったと気づき一安心する。その一方で、外から聞こえる声に違和感を感じる。それもそのはず、セシリアは誰も通らず静かだからこそ、この場所でいつも勉強しているのである。この下は学園の整備されている道からは外れているし何より木が茂っているため死角になる。
なにか嫌な予感がしたセシリアは、勉強を中断し席を立った。
ーーーーーー
確か声がしたのはこの辺りだったはず.....。
「このっ、裏切り者が!」
「せいぜい魔術科でも痛い目を見るんだな!」
「っ.....!なにをしているのですか!」
珍しく声を張り上げるセシリア。あまりにも目の前で起こっていることが衝撃的で、普段の落ち着いた言動も少し乱れてしまう。
そこでは、一人の男子生徒を複数人の男子生徒が囲み暴行を行うという極めて卑劣な行為が行われていた。
死角になっているこの場所で行っていたのだから、彼らも人に見られたくはなかったのだろう。私が声をかければ暴行を加えていた生徒は慌てて立ち去ろうとする。しかし、それをみすみす逃がすセシリアではない。すかさず、魔術で捕らえようとする。しかし、それは、失敗に終わる。
「...っま、待って下さい!」
他でもない、彼らに暴行を加えられていた男子生徒の言葉によって──。
「...どうして、止めたのですか?」
どんな理由があっても、こんなことをする生徒を見逃す訳には行かなかった。思わず吐いてしまいそうな溜息をぐっと堪え、被害者である生徒に向き直る。
「えっと...それは.....」
言い淀む男子生徒を前に彼が怪我をしていたのを思い出す。それに制服も土まみれでとても見ていられる状態では無い。
「とりあえず、傷を見せてください」
「え?あっ、はい」
傷を治す魔術と、ついでに水の魔術で制服の汚れを落とし、風の魔術でそれを乾かす。
男子生徒はすごいと自身の治っていく傷と綺麗になった制服をみて感心している。制服のクロスタイの色は緑。
この学園では男女関わらず、騎士科は赤、魔術科は緑のネクタイをつける規則になっている。また、初等部はリボンタイ、中等部はクロスタイ、高等部はネクタイと決まっている。
つまりこの生徒は恐らく魔術科の中等部の生徒だ。
そして逃げていった生徒達のクロスタイの色は赤。つまり騎士科の生徒が魔術科の生徒を複数で暴行していた、ということだ。
「で、話を聞かせて下さいますか?」
どのような事情があったにせよ、決して許容できない行為をしていた騎士科の生徒をみすみす逃すことになったセシリアは、笑顔を浮かべてはいるものの少しばかり気が立っていた。
そしてその笑顔の圧に負けた魔術科の生徒は、今まで何があったのかをポツリポツリと話しはじめた。
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