異世界征服 ~異世界に転移したので略奪スキルで商人を目指していたら世界を掌握していた件~

甘夢

文字サイズ
小 中 大 特大
8 / 23
第一章

座って食べる

 私たちは武器や防具を売ることによって百グルトを手に入れる事に成功した。
 百グルト、これだけあれば三日間は食べていけるらしいが。
 おそらくそれはあくまで食べ物に換算した話であってその他の生活費も計算すれば三日どころか一日で潰える量である。
 それにライセンスも取得せねばならんのだから道のりはまだまだ困難を極める物だろう。
 だが、そうでなくては困る。噛みごたえの無いステーキなど美味しくはあるまい。肉は我が舌だけでなく歯でもって味わうべきなのだ。


 という訳でお腹が空いた私たちは近くにあった酒場で料理を頂こうという話になったのだが……。

 「ボクは今、異様な光景を見ているよ……」
 「奇遇だな。私も君に同意見だ」

 店内は木々で構成されているものの、どこか洒落た雰囲気が漂っている。
 店員は全員メイド服ではあるが、それは客の目を引いて商売を繁盛させようとしているのだろう。
 ここまでは別に私の知っている店とあまり大差が無いように見える。
 だが、問題はこの店にテーブルと椅子が無い事だ。
 人々は地べたにちょこん、と座ってサンドイッチなどを食べており、その顔は渋くなっていて、とても楽しんでいるようには思えない。

 私自身、食事を取ることは三大欲求の一つでしかないと考えている。そこに楽しみなどは必要ない。
 しかし同時に苦しむような物でもないと思うのだが。

 「はあ、なんなんだい……これは。ここの人たちは服が汚れても平気だっていうのかい」

 半目になりながら嫌そうにその光景を見るケーレス。
 今回は私もこの光景には疑問しか抱けなかったので一人の店員に聞いてみる事にする。

 「すまない……少しいいかな?」
 「はい何でしょうか」

 私の言葉に反応した女店員がすぐにこちらにやってくる。
 整った顔立ち、少し大きな胸に青色の髪。瞳は碧眼になっていてエメラルドのようだった。

 「いえ、ここには椅子やテーブルが見掛けないようなので疑問に思いまして」
 「イス? テーブル? そんな言葉、聞いたことがありませんが……」

 質問に対して本当に分からないのか申し訳なさそうに首をかしげる。
 その様子に横に居たケーレスが物凄く嫌な顔をした。

 「……この世界にはイスやテーブルの概念は無いみたいだね。困ったものだよ、ボクはイスに腰掛け無いと食べる気が起きないんだ」

 「地べたで食事など遠足ではないのだから、私としても遠慮したいね」

 イスに座って食べる。これが出来ないのはナチュラルに問題だと思う。ここは何か打開策を考えねばあるまい。

 「……一つ方法がある」
 「本当かい……ちゃんとした席で食べられるんだね?」
 「ああ。ちゃんと代用品を用意しようじゃないか」

 ◇

 という訳で私たちは一旦、店を出てから例の物を用意すると再び店に戻ってきた。
 店内に居るのは少数の客とケーレスと薄い笑みを浮かべた私だけだ。
 そして私の笑みとは対照的にケーレスはなんとも言えない渋い顔をしていた。

 「これを使うのは……どうかと思うよ」
 「他にないのだから仕方ないさ。座るにはこれを使うしかあるまい」
 「それは分かってるんだけどね」

 浮かない顔のまま。だけどもそれ以外に方法は無いことも知っていて死神はため息を吐いた。

 「仕方ないね……ボクもお腹が空いたし、文句を言ったところでどうにかなるわけでもない。諦めようじゃないか」
 「では……料理を注文しよう。コレを持ったままなのは疲れてしまうからね」

 私はそう言ってカウンターのところまで行く。すると先程の青髪の少女がこちらに駆け寄って注文を尋ねて来た。

 「ご注文は何になさいますか?」
 「特に決めてないが、オススメを教えてくれると助かる」
 「当店のオススメは蛙の串焼きでございます」
 「ううっ……それは遠慮しときたいかな」

 店員の言葉を聞いて白髪の少女は顔を青くする。中世ではカエルは食材として一般的だったが、なるほど、それは異世界も同義らしい。
 だが私はともかく彼女にとってカエルはあまり食べたい物ではないだろう。

 「今日はカエルの気分じゃなくてね、悪いがソーセージを頼みたい」
 「はい、畏まりましたっ!」

 元気そうな挨拶を残し、店員は厨房へと入っていく。
 その間に私は店の隅っこの方に例の物を置いた。
 それは木箱だった。丁度、椅子と同じ大きさをしており座るのには申し分ない。
 そしてそれらを置き終わると今度は更に一回り大きな木箱を置く。これはテーブルの代用品として使う。
 「さ、料理ができるまで座ろうじゃないか」
 「…………あれだね、なんというか恥ずかしいものがあるね」

 少し、頬を赤らめながらそれにちょこんと座る。その仕草が何だか人形のようだ。

 「君は座らないのかい……?」
 「ケーレスが可愛くて見とれていたんだ」
 「君は……その、恥じらいというものは無いのかっ! そうやって……ナチュラルに可愛いなんて」

 勿論、恥ずかしいと感じる事はある。だが、彼女に対して可愛いと言うことが恥ずかしいとは思わない。
 優れた芸術品をあるいは優れた音楽を綺麗だ、美しいと感じ、言葉にするのに恥じらいが無いように。
 彼女という素晴らしき存在を可愛いと感じることの何が恥じらいなのだろう。

 「だ、大体だ。ボクは消費期限切れの売れ残ったコンビニ弁当のような存在なんだ。可愛いなんて事あるか」
 「コンビニ弁当? それは何ですか?」
 「うわぁ!?」

 私たちが二人で話していると突然、横から声を掛けられる。
 振り向くとそこには女店員が料理を運びに来ていて、その事にケーレスは驚いている様子だった。
 店員が料理を持ってくるのは当たり前だろうに

 「なにを話していたんですか?」
 「え、えっと……ボクの存在価値について……かな?」

 戸惑い気味に少し誤魔化しながら呟くケーレス。

 「なかなか哲学って感じですね。はい、注文の料理ですよ」

 そう言って二つのトレイをそれぞれに渡す。テーブルに置けば良いだろうに。
 やはりこのテーブルが何か分かっていないのだな。

 「それじゃ、ごゆっくり!」

 キラリとしたダイヤモンドの笑みを浮かべてそのまま厨房へと向かう女店員。
 それを見送りながら私は食事を始める。

 「な、なんだコイツら木箱に座って食べているのか」
 「それだけじゃないぞ……! 食事も木箱の上に乗っけている!」
 「本当ね、余裕があって何だかかっこいいわ。こんな方法を思い付くなんて、凄い発想力だわ!」



 「…………どうしてだろう。何故か視線を感じるよ」
 「気にしすぎだ。今は食事に集中だけしていればいいさ」

 「そうだね……ううっ」

 もぎゅもぎゅと口を動かして食べる少女。元から量もそんなに多くなくて、あっという間に食事は終わった。

 「そろそろ店を出るか」
 「そうだね……」

 そう思って私たちは席を立ったその時だった。先程の女店員がこちらにやって来て。

 「あ、あの……! それはどうされたのですかっ!」
 「それ……とは。この木箱の事かな?」
 「そうです。私、それに座って食べる人を始めて見ました。だけど、これなら服も汚れなさそうで……」
 「なら、君も座って見るといい」

 その言葉に店員は嬉しそうな顔を浮かべて。

 「い、いいんですかっ!? 座っても!」
 「…………ああ、構わないが」
 「ありがとうございます! 貴方は優しい人なんですねっ!」

 その喜びように私もケーレスも顔を見合せて同時にため息を吐いた。

 「良かったらそのまま置いてもいいが。後で捨てようと思っていた所だったからね」

 元々は先程の部具店のいらないものを私が譲り受けただけの事、この店が引き取ってくれるのならば、それはそれで手間が省ける。

 「そんな……本当に何と礼を言っていいのやら…………」
 「それなら礼の代わりにこの技術を広めて欲しい。さすがに立ったまま食事をするのはキツイからね」
 「元よりそのつもりでした。これで誰も食事の時に筋肉痛にならなくて済みます」
 「そうか、では私たちはこれで……」


 さっきの会話を聞くに、きっとすぐに椅子とテーブルの技術は量産されるだろう。ならば後はそれを気長に待つだけだ。

 「金はちゃんとテーブルの上に置いてあるから安心してくれ」
 「な、なるほど……この大きいのがテーブル。分かりました、ありがとうございました」

 そう言ってお辞儀をする女店員。それに私たちは何と返していいのか分からないまま店を出た。
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~ 表紙

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。
恋愛 完結 ショートショート
文字数 9,943
スキルを奪われてお詫びチートをもらったので余生を楽しく……過ごさせてくれ 表紙

スキルを奪われてお詫びチートをもらったので余生を楽しく……過ごさせてくれ

 異世界に召喚されたその日、巻き込まれた青年に俺が得るはずだったスキルを奪われた。  お詫びとしてチートスキルを授かった俺は、第二の人生くらい好きに生きようと旅に出る。 行き着いた先は、寂れた町の場末の酒場だ。  なぜか客は男ばかりだが、日雇い冒険者や恐妻家の肉屋たちとの気楽な毎日は悪くない。  ……ただ一人、どう見ても貴族のような美青年がこの地味な酒場へ通ってくる理由だけは、さっぱりわからない。 「お前らツケはやめろ」  そんな穏やかな日々を送っていたはずなのに、ある日、酒場へ厄介な依頼が舞い込んできた――。  他サイトでも掲載しています。  不定期更新です。
ファンタジー 連載中 長編 R15
文字数 64,015
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。 表紙

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

厳酷な父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと人生を諦め、淡々とした日々を送っていた清泉。 夏休みの補習中、4人の生徒と共に異世界に召喚されてしまう。 召喚直後、職業がクズだから要らないと国外追放を言い渡された清泉だったが、同じく国外追放を言い渡された2人の生徒に異常なほど執着されてしまう。 追放前にスキル封印の処置をすると聞かされ、王都の通行門で部屋に閉じ込められた清泉は、生徒たちと兵士たちから逃れるためにユニークスキルを発動し………………目が覚めると子どもの姿になっていた。 容姿のせいで子どもの頃から嫌な思いをたくさんしてきた清泉。 父親に厳しく叩き込まれた剣道も、身を守るために身につけた護身のための武術も、力のない小さな体ではほとんど役に立たない。 可愛い女の子にしか見えない子どもになってしまった清泉を襲うトラブルはまだまだ続くようで…… 楽しんでいただけたら、嬉しいです。 ※画像はAIに描いてもらいましたが、小説はAI不使用です。
ファンタジー 完結 長編
文字数 194,611
俺だけ異世界転移していないらしい 〜異世界で俺と結婚した三人の嫁が、転移前の俺を必死に攻略してくる 表紙

俺だけ異世界転移していないらしい 〜異世界で俺と結婚した三人の嫁が、転移前の俺を必死に攻略してくる

俺――御神巧、17歳。 帝理高校に通う、ごく普通の高校二年生。 家は貧乏。 放課後は喫茶店でバイト。 趣味はアイドルの推し活。 クラスでは陰キャオタク扱い。 そんな俺の日常が、二年生になった春から急におかしくなった。 人気アイドル女子高生の水原真希。 学校一の金持ち大和撫子、黒峰麗華。 喫茶店の看板娘でモテギャルの黄瀬エミリ。 昨日まで俺のことなんて眼中になかったはずの三人が、なぜか俺に異常なほど構ってくる。 クラスメートたちも妙だ。 昨日まで犬猿の仲だった奴らが、まるで昔からの親友のように笑い合っている。 俺だけが知らない、何かがある。 そして俺は、まだ知らない。 ――クラスメート全員が、十年前に一度「異世界転移」していたことを。 魔王と戦い、仲間を失い、世界を救った十年間。 その中心にいたのは、俺――御神巧だった。 異世界で「深皇」と呼ばれ、三人の美女とエンゲージを結び、仲間たちを導き、皆を助ける為、愛する三人の妻を守る為、命を散らした英雄。 しかし、女神が彼らの願いを叶えたことで、全員は異世界へ召喚される直前の時間へ戻された。 既に異世界で死んでいた一人を除いて。 その一人である俺だけは――十年間の記憶を持たない。 つまり今の俺にとって、彼らはただのクラスメート。 そして彼らにとって俺は――命を懸けて守り、愛した「親友」であり「英雄」。 記憶を失った俺と、俺を知り尽くしているクラスメートたち。 これは、 「俺だけが何も知らない」 そんな状態から始まる、二度目の異世界と青春の物語。
ファンタジー 連載中 長編 R15
文字数 154,694
転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜 表紙

転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜

大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。 そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?! しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...? ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...? 不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。 拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。 小説家になろう様でも公開しております。
ファンタジー 完結 長編 R15
文字数 410,592
元大学生の異世界辺境伯ライフ-1-〜神のミスで全加護を得た俺、ステータス偽装で目立たず別世界の神の侵略を食い止める冒険記〜 表紙

元大学生の異世界辺境伯ライフ-1-〜神のミスで全加護を得た俺、ステータス偽装で目立たず別世界の神の侵略を食い止める冒険記〜

平凡な大学生だった俺は、ある日突然、神のミスによって命を落としてしまう。 そのお詫びとして異世界へ転生することになったのだが、なぜか二度目の神のミスまで重なり、世界中の神々から"ありえない数の加護"を授かってしまった。 転生先は、辺境伯家の少年・アッシュ。 六歳で加護を授かるこの世界で、俺は規格外すぎる力を手に入れることになる。 しかし、その力はあまりにも危険だった。 だからこそ俺は、ステータスを偽装し、「少し優秀な六歳児」を演じながら、平穏な辺境伯ライフを送ることを決意する。 ……そのはずだった。 王都への旅、個性豊かな仲間との出会い、次々と巻き込まれる騒動。 そして、この世界の裏で静かに動き始める、誰も知らない大きな脅威。 目立ちたくない最強少年が、知らぬ間に世界の運命へと巻き込まれていく――。 これは、最強なのに平穏を望む少年・アッシュが紡ぐ、爽快異世界ファンタジー。
ファンタジー 連載中 長編
文字数 453,522
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~ 表紙

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
ファンタジー 完結 長編 R15
文字数 276,737
【老化返却】聖女の若さは俺の寿命だった〜回復魔法の代償を肩代わりしていた俺を追放した報いだ。回復のたびに毛が抜け、骨がスカスカになるが良い〜 表紙

【老化返却】聖女の若さは俺の寿命だった〜回復魔法の代償を肩代わりしていた俺を追放した報いだ。回復のたびに毛が抜け、骨がスカスカになるが良い〜

「寿命を削って回復してやってたのに……感謝すらしないんだな」 聖女パーティの荷物持ち兼回復術師だった俺は、ある日突然パーティを追放された。 理由は「回復魔法のコストが寿命で、もうすぐ死ぬ無能はいらない」という勝手な思い込み。 だが、彼らは知らなかった。 俺の正体が、この世界の生命を司る世界樹の根源そのものだったことを。 俺の寿命は無限であり、俺がパーティにいたからこそ、彼らは「若さ」と「健康」を維持できていたのだ。 「俺がいなくなったら、誰が君たちの老化を止めるの?」 俺がいなくなった途端、聖女たちの身体に異変が起きる。 回復魔法を唱えるたびに、自慢の金髪はバサバサと抜け落ち、肌は土色に。 若さに溺れていた彼女たちは、骨がスカスカになり、杖なしでは歩けない老婆のような姿へと変わり果てていく。 一方、解放された俺は隣国の美少女皇女に拾われ、世界樹の力で枯れた大地を森に変える「現人神」として崇められていた。 「今さら戻ってきて? ……悪いけど、そのハゲ散らかした老婆、誰だっけ?」 すべてを失ってから「俺」の価値に気づいても、もう遅い。 これは、恩を仇で返した連中が、自らの美容と健康を代償に破滅していく物語。
ファンタジー 完結 長編
文字数 152,741