紫色のラナンキュラスの花束を私にシオンを貴方へ

秋 夕未

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私はお参りに来ていた筈なんだが??

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明け方の気温はやっぱり昼間に比べて低いから涼しくて快適。暑くなる前に起床するのが一番良い。
暑さの中着替えられない。何より汗をかきながら着替えたくはない。
朝の5時に起きて、おばあちゃんと一緒に朝食の準備をする。
朝食に使う野菜や卵を取りに行って、田んぼにいるおじいちゃんを呼びに行く。
おじいちゃん達は一体何時に起きているの?5時に起きたのにすでに家にいなかったよね?

「はい、いただきます。」
「いただきます。」

久しぶりのおばあちゃんの手料理はやっぱり美味しい。
白だしを使っただし巻き卵、自家製のぬか漬け、焼き鮭、ほかほかの白米。日本食最高!
こんなに早い時間に起きるのは祖父母の家にいるときだけ。実家でこんなにも早い時間に起きることなんて絶対にあり得ない。起きるわけが無いのよ。だって冷房が効いている部屋にいるんだから昼間に起きても涼しいもん。
家にいる時なんてだらだらと生活しているもの。お昼まで寝ているとか普通よ。昼夜逆転生活よ。
だからちょっとね、お腹のこの辺がお肉乗っちゃうのよね。つまめるし、贅肉がっ!贅肉がぁぁ!!
大丈夫、一ヶ月もここにいれば絶対に痩せるんだから。おやつは畑で採れるトマトやキュウリを食べるし。
は?野菜はおやつに入らないと??よっしゃそこに座りなさい。お菓子よりも健康的なんだぞ!何より太らない!!

「そういえば瑠璃、お参りには何時位に行く予定なんだ?」
「ん?特に何時に向かうとか決めていないけどどうして?」
「農作業終えたら今日は集会があってな。昼頃から夕方まで家空けるからなぁ。」
「そっか、じゃぁ9時くらいに神社につくように行こうかな。」
「通り道だし、荷台に乗ってけ。瑠璃の事だしだらだらと階段を上る予定だろ??」
「やった♪ありがとう・・・って待ってよ、おじいちゃんちょっと酷くない?」
「途中で豆腐屋さんに行かないとねぇ。」
「お稲荷様だよね確か、油揚げで大丈夫?」
「そうだな、油揚げを買わないと。」

ちょっとここから神社までって距離あるから日傘を差して歩いて行くのは結構つらい。
なので連れて行って貰えるのは本当にありがたい。だらだら階段を上る事も見抜かれていたし。
朝食を食べ終え、おじいちゃん達の農作業を手伝って、途中で油揚げを買って、神社まで送ってもらった。
ここに来れば荷台に立ったまま乗れるからちょっと楽しいんだよねぇ~。田舎最高。
荷台から降りて、おじいちゃん達を見送る。

「それじゃ、じいちゃん達は夕方まで戻らんからな。」
「水分はちゃんと取るんだよ。瑠璃ちゃんは夢中になると水分とか忘れちゃうんだから。」
「注意します~。二人も行ってらっしゃい。帰りは歩いて行くから気にしないでね。」

トラックが見えなくなったところで長~い階段を上っていく覚悟を決める。
一番下から見上げても長い。本当に長い・・・
長い・・・長いよぉ・・・体力無いんだよぉ。どうして山の上なんだ・・・どうしてなの?!
おばあちゃんがどうして上にあるのか話してくれた記憶はあるけど、小さすぎて全然覚えてない。
何だっけ?飢えから村全体を守る為だとかだった気がする。帰ったらまた聞こうかな。
時間が進むにつれてどんどんと気温も上がっていく。暑い。本当に暑い。
じりじりと暑い日差しが容赦なく降り祖注ぐ。溶けちゃう。デロデロに溶けちゃうよ私。
日傘持ってて正解。地面から反射する熱は熱いけど、直で日差し降り注いでないからまだいいかもしれない。

「あ~~~~・・・あっっっっっついよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

階段の途中で一休憩を挟む。大丈夫、ここでどんなに叫んでも近所迷惑とか無いから問題なし。
それにしても本当に良い景色。階段から見える村の景色が結構好き。
家族でここに来たときも何度もここに来るくらいここの景色が好き。
春になれば桜の木、夏は夜の満天の星空、秋は紅葉、冬は雪景色。
四季折々の綺麗な景色を季節ごとにここから見ることができる。

「よっしゃ、あと少し頑張ろう。」

両頬をパンッと叩いて気合いを入れ直す。
お茶を鞄に入れて階段を上っていく。
疲れ切って引き返す前にどんどんと階段を上る。すでにもう心が折れそうだけど。
何なら半分折れてる。夏に来るところじゃないんよ。絶対に。絶対に夏に来るところじゃ無い。

「・・・ついたぁぁ!!」

最後の一段を上りきって背伸びをする。振り返ると村を一望できる。
風が気持ちいい・・・階段は結構キツいから神社に来ることは遠慮したいけど、ここからの景色も綺麗なんだよねぇ。
・・・そんなこと考えている余裕は無いのよ。今の私は疲労が蓄積されまくっているのよ。日傘を畳み鞄にしまう。折りたたみで良かった。

「お参りして、油揚げをお供えして、ゆっくりと散歩にでも行こうかな。」

お賽銭を入れて、お参り完了。
お賽銭箱にいつも私は15円入れる。これはおじいちゃん達からの豆知識。
語呂合わせみたいなもので『充分にご縁がありますように』っていう語呂合わせ。
おじいちゃん達の豆知識って聞いているだけでも楽しいんだよね。
後は豆知識でも無いけど、おみくじ結果の受け取り方とか。
余談だけど、私は基本吉よりいい結果が出たことが無い。
凶とか大凶の方が多いもの。高校受験の時に大凶引いたときは本気で泣いたなぁ・・・
修学旅行で京都の清水寺で大凶が出たの。100円入れたら一枚出てくるおみくじだったんだけど、二枚出てきたの。二枚も出れば違うものが出ると思うじゃ無い。
一枚目が凶で二枚目が大凶だったの。おかしくない?
大凶ってそんなにホイホイ出てくるものなのかって本気で考えた。
おみくじを結ぼうとしたら結ぶ為に紐に引っかけて輪っかに通して、ゆっくり引っ張ったら破れたの。
たまたまいた神主さんに『お祓いしますか?』って言われたんだよ?あり得なくない?
その時の神主さん優しい眼差しで可哀想にってなんとも言えない表情だったし。
お守りを買って鞄につけたのにその日に紐が切れるとか縁起悪すぎるんよ。
修学旅行から帰った日におじいちゃん達にお土産を送った事と一緒に、そのおみくじ結果を話したの。
そしたらおばあちゃんがこう言ってくれたの。
『凶ってね?芽が出るって事なのよ。大丈夫、これ以上悪いものは無いよ』って。
ものは考え方次第だよねぇって改めて実感したよ。
お守りの事は言えなかったけど・・・言える訳が無いのよ!!

さて、話が脱線したね。私の運が悪い話はこれくらいにしておこう。
境内をぐるっと散歩して鳥居の下で少し座って休憩していたら、激しい頭痛に襲われた。
頭を抑えて下を向くと、砂嵐のような視界が広がりブツブツと途切れ途切れの映像が流れる。
これは私の記憶なのか、それとも違う何かの記憶なのか・・・こんな記憶私は知らない。

「・・・そういえば一度この村で迷子になったみたいなんだよね。」

私自身は覚えていないけど・・・村総出で探していたって聞いたけど、帰ってきた記憶もその時に何があったのかも何も覚えていない。村の人たちは神隠しに遭っていたんじゃ無いかって話してたけど・・・

「なぁ~んも覚えていないんだよねぇ・・・そこの記憶だけがすっぱりと抜け落ちているし・・・」

そもそもそんなにも綺麗に一部の記憶が抜け落ちるとかありえんだろ。
でもそれが現実に起きているんだから不思議だよねぇ。結局どうやって帰ってきたんだろ私は。

「今は10時かぁ・・・確かちょっと離れたところに川があったよね。そこに向かおうかな。」

おじいちゃん達が家にいないからゆっくり歩いて帰って寄り道しながらのんびり帰ろう。
立ち上がって本殿の方に一礼してから階段を一段降りた。
鳥居をくぐった時に一瞬ゾワッと寒気がしたけど、気のせいだと思い込んだのがまず間違いだった。
この時点で私は違う世界に迷い込んでいたことに気がついていなかった。
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