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第2章
人命救助
しおりを挟むお目当ての子猫ちゃんと感動の初対面と洒落込むとしようか。
隠れてないで出ておいで。
何処だァぁ??!?何処に隠れてやがる……そこかっ!!クワッと見据えた先に居たのは死にかけのゴブリンだった。
「……ンギッギッ……ッップッシャーー!」
ここはグランドゼロ。
死者の楽園。俺は遠い目をして緑色のをプシャらせた。
胸元で十字を切り冥福を祈った。
未だ冷めやらぬ熱気と土煙が視界をこれでもかと遮り、俺の行く手を阻む。
足元に色々な物が転がっているので二足歩行ではバランスを崩し怪我をする恐れがあるな。
フレキシブルな俺は直ぐに四足歩行へとモードチェンジ。追跡モードだ。
地べたギリギリまで頭を下げて子猫ちゃんの痕跡を探す。
こっちか?クンクンクン。むせ返る死臭に俺は何度も吐いた。
「た、助けてくれ……」
ゲーゲーやっていると所々から呻き声や弱々しい声が聞こえる。
実はキョロキョロ辺りを伺う前から聞こえていたのだが、全て男の声だったので無視していた。
しかし俺の吐瀉物がかかった その声の主は諦める事なく、うわ言を繰り返していた。
「俺は災害ボランティアをしにきたのではない。」
声の主はガクリと頭を吐瀉物の中に落とし静かになった。
吐き気も落ち着きその場から離れる。四足歩行の子猫ちゃん捜索はもうヤメだ。
臓物を踏み足が汚れたので早々にロドリゲスの所へ戻る事にした。
※ ※ ※
「ロドリゲス、こりゃあダメだ。足の踏み場が無い。危ないし汚い。何より臭い。生存者ゼロ。このミッションは失敗だ。帰るぞ。」
勢いでそのまま撤退する事を伝えた。
「ちょ、戻って来るの早いよ!!
ここからでも助けを求める呻き声が聞こえるよ!」
「ぜ、絶対面倒臭くなっただけですー!!助けやがれですー!!鬼畜ですー!!シリアルキラーですー!!」
ピョンコピョンコと跳ねて抗議するガキンチョを払い退け、ため息混じりにこう答えた。
「そうか。それならロドリゲス。お前の出番だ。行って来い。」
俺の手をガキンチョが本気で噛み付いてきた。
それを振りほどき、かじられていた場所をベロリと何度も舐め回し
ニヤリとガキンチョを見やる。
「リトルレディー。現場は酷い事になってるから見ちゃダメだよ?分かったかい?
何があるか分からないから彼と一緒にここで隠れててね。」
「ヒッ…!!コイツと一緒に居る方が危険ですぅ!!ロドリゲスさん置いて行かないでですー!!怖いですー!!」
ウダウダ暴れるガキンチョの首根っこを掴み
俺はその場にゴロリと寝転び鼻糞をほじった。
※ ※ ※
しばらくロドリゲスの動向をボンヤリと眺めていた。
手際良く生き残りの騎士達に応急処置を施したらしく次第にその数は増えていった。
手負いのゴブリン達が最後の力を振り絞りロドリゲスや騎士に飛びかかるも
次々とロドリゲスに景気良く殴り飛ばされ
ゴブリンの飛び散る脳漿がキラキラと陽射しに反射していた。
俺は「汚ねぇ花火だ」と呟き目を瞑った。
一方、木陰をそよぐ風と柔らかな木漏れ日の下の俺たちはまどろみに襲われていた。
ガキンチョは既にグースカいびきをかいて夢の中。幸せそうな顔をしてやがる。
寝顔が妙に可愛かったのでイラッとした俺は
ガキンチョの口の中に鼻糞を放り込んでやった。
平和だ。本当に平和だ…スヤァ…
※ ※ ※
俺が寝ている間に話はまとまったらしく、
生き残った騎士達と共に近くの村まで半壊した馬車を押して行く事になっていた。
「ロドリゲス、これは一体どーゆー事だ?」
「ブラザー。僕達はあの洞窟から逃げ出した逃亡奴隷で、
あの洞窟はゲシュタルト王国の手がかかっている。
ここまでは大丈夫かい?ギガスの話を覚えているよね?わかるよね?
このままゲシュタルト王国内を逃げ回っていてもいづれ捕まるだろうね。
国外脱出は容易ではないんだ。本当に難しいんだ。
僕達は身分を証明する物が何も無いからね。
だけど彼ら騎士様達と一緒ならゲシュタルト王国も手は出せないはずさ。
そしてそのままシェーン王国へ亡命し、僕等は向こうで人生をやり直すのさ。
身に付ける物や食事も用意してくれるって言ってるよ?
……王国の騎士様達はさぞや美味しい物を食べてるだろうね……それでもダメかい?」
「良くやった。ロドリゲス。我が心の友よ。」
「とんでもない。ブラザーの操縦方法だけがやたらとスキルアップしている気がするよ。」
※ ※ ※
パチリと目を覚ましたガキンチョ。
周囲に集まったボロボロの騎士達の顔を見て安心したのか泣き出した。
「エリスとクリスが居ないのですーー!!」
ギャーギャー泣き喚くガキンチョを尻目に俺は騎士達に尋ねる。
「エリスとクリスってのは何処だ?」
しかし騎士達は雁首そろえて「わかりません…」とか抜かしやがる。
俺の事をチラ見しながらヒソヒソと「あの猿の獣人 態度デカくね?」「馬鹿!ミンチにされるぞ!」とか言ってる奴もいる始末。
村まで馬車を運ぶ人夫が減るのはアレだが余程プシャりたいと見える。
見せしめに殺そうと思った丁度その時————
ドシーンドシーンドシーンドド…ドシーン
少し離れた森の方から揺れる木々と共に何か大きな物が近づいてきていた。
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