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しおりを挟む「・・・っはぁ、ごめん、パス練習続かなくて」
小夏は腕にボールを抱え、途中まで後ろからボールを一緒に追いかけてくれたクラスメートに小走りで近づくと息を切らしながら謝った。
「おまえさ、上の空すぎ!」
図星をつかれて小夏の胸が痛む。
「つーか、あいつは?いつも一緒に居ただろ。なんで学校来ねーの?」
「・・・せっかくペアになってたのに、俺が邪魔してごめん」
「いやいや、質問の答えになってねーし。皆川来ないのなんで?」
改めて聞かれた質問に、小夏の目がわずかに泳ぐ。
「あ・・・遥は、えっと・・・心身の調子が優れないからって先生が・・・」
それは本当で、遥が来なくなった数日後に担任が朝の会で皆の前で話していた事だ。
「表向きはだろ?」
「・・・え?」
小夏は咄嗟に彼の体操着にある胸元の名前に視線を移し、聞き返す。
「えっと・・・敷島くん、それってどういう・・・?」
「俺、全部知ってるよ」
「ぜ、全部って何が・・・」
小夏から敷島(しきしま)、と呼ばれた彼の形の良い唇が僅かに上がった。
「あれって、確か夏休み明けてすぐだったよな?あの時は放課後で、お前ら以外、図書室誰もいなくてさー。俺図書委員で月当番だったから、施錠しないといけなかった訳よ」
「ち、ちょっと待っ・・・」
ペラペラと話し出す敷島を小夏は制止しようとするが、それに構わず敷島は続ける。
「早く帰ってくんねーかなって思ってたら、お前ら急に密着し始めてさ―・・・」
「ま、まさか・・・」
動揺する小夏を横目に、ニッコリと敷島が綺麗な笑みを作る。
「そーだよ、ぜんぶ見てたんだよ。お前がキスされながら胸弄られてよがってるのを―・・・」
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