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しおりを挟む――完全に油断していた。
あんなに警戒していた敷島だがトイレでの接触以降、不思議なくらい何事もなかったのだ。
ちょっとした興味本位で自分に絡んできたけど、やはりつまらなくてすぐに飽きたのだろうとすら思っていたのに。
「は、え・・・が、頑張るって何を・・・?」
急に堂々と話しかけられて戸惑う小夏に構わず、敷島が笑いながら続ける。
「ぷっ、ほんと上の空すぎない?俺、出せる音域広いからってさっきパート変えられたんだよ。男子のアルト人数少ないし」
・・・ぜ、全然知らなかった。
キスの事で頭が一杯で適当に授業を受けていた自分を殴りたい気持ちに駆られた。
「あぁ、そうなんだ・・・」
平静を装いつつ、じゃあこれで・・・と小夏はそのままさり気なく前を向き直ろうとしたが、敷島に肩を掴まれグイッと引き戻される。
そして敷島は小夏に顔を近づけると、コソッと耳打ちするように口を開いた。
「・・・君らイチャつくのもいいんだけどさ。ここ学校って事忘れてない?」
「な、な・・・っ!!」
ボンッと爆発するように顔を真っ赤にする小夏を見て敷島がつらつらと続ける。
「うんうん、分かるよ。でもな、君らが見つけた人が来ない場所って俺らにとっても穴場なワケよ。ついこの間も浦野(うらの)さんから誘われて場所探してたら先に君たちが居たからさ~」
小夏はパクパクと口を動かし言葉にならない。
浦野さん=学年一の美女
という事だけがかろうじて小夏の頭に浮かんだ。
「あ、でも安心して!浦野さんは見てないよ。俺、機転効かせて別の所に上手く誘導したから」
ナイスだろ?と親指を立ててグッドサインを決めてくる目の前のヤツを褒めればいいのか、殴ればいいのか。
一気に出される情報量に思考が追いつかない。
「でもうーん、どこがいいかな」
「は・・・?」
「だって木田クン場所に困ってるんだろ?周りキョロキョロそわそわ挙動不審すぎて俺、内心爆笑だったよ」
「お、おま・・・っ!」
お前を警戒してんだよ!
そう叫びそうになって小夏は周囲の視線にハッとして我に返った。
目立つ存在の敷島が、綺麗な顔で爆笑する姿にクラスメイト達の、主に女子の視線を釘付けにしていたのだ。
「いや、なに急に爆笑?お前らうるせーよ」
いつの間にか敷島の横に居た竹田が割って入ったタイミングで全員が定位置に整列し、歌の練習再開となったが小夏の声は震えていた。
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