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第一章 『転生』

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あれから3時間歩き続けている。
特にもうスキルを手に入れる方法も思いつかないので、ノンストップで歩いているが、意外と疲れない。
前世であれば、もう1時間歩いただけでも足が痛み始め、3時間も歩いたら死んでしまうような体だったが、今これだけ歩いてきてもほとんど痛みはないし、辛いとも思わない。

もしかしたらこれもスキル効果なのかもしれないのかな。

というかこの世界に来てからほとんど歩いている。約70%は歩いてるね。

俺がこの世界に転生してからもう6時間弱経過しているので、辺りも少々暗くなってきた。
どうやら大体昼の12時頃にこの世界に来たとすると、今は18時頃になるのかな?
時間とかの設定が前世と同じとは限らないけど、なんか体感的には近いものがあると思う。

暗くなってくると、何も持っていない、何も分からない俺には沢山の問題が発生してしまう。

例えば夜中活発になるであろう、魔物たちの動き。
いやね、俺も魔物みたいなものなんだけど、やっぱり1日前まで人間だったから絶対夜は眠くなるはずなんだよ。
眠くなってその辺で寝たら、もう二度と目覚めれないとか嫌だし、よく分からない獣の腹の中に細切れにされて入るのも勘弁なので、どうするべきか…

正直1日程度なら徹夜も考えることが出来るが、明日確実に安全に寝れる保証があるかと言われたら全くそんなことは無い。

むしろ今きっちり寝れなかった場合、明日の昼に俺は細切れで食べられてしまう可能性だってある。

そんなことは絶対に嫌なので、しっかり寝ておきたいところだが…


「あ、そうだ」

ついいい案を閃いてしまった事によりこえがでてしまった。

この声は俺のイメージであり、実際でた声はただの唸り声みたいなものなのだが。

閃いたいい案というのは、名付けて『ガチャでなんか良さげなやつを引こう大作戦』である。

いかにも頭の悪そうな考えだと思っている皆さん。確かにその通りであります。

ただ俺に取れる策はもうこれが一番まともなんだよね。

木の上で寝るとか、洞窟を探すためにこの道から逸れるとかも考えたんだけど、木の上で寝るには、落ちないようにハンモックみたいなものも必要になるし、第一そんなもの持ってないし作れない。

道を逸れて洞窟を探す案は、道の近くに洞窟があればいいが、なければ道に迷う原因にもなるし、洞窟の中が安全かどうか確かめなければならない。

ということで俺が取れる手段はもうガチャ(運)だよりしかないのだ。

幸いなことに、ガチャは日付けが変わった瞬間に引けるようになるため、そこまで夜更かしをする必要も無い。

これぞ完璧な作戦である。
万が一いいのが出なかったら、もうその時は諦めて適当な所に穴を掘って地下で眠るしかないと思っている。

自らの墓を掘るみたいで、できることならしたくない。
頼むぞ俺のガチャ運。














ということで、あれからさらに6時間ほど経過しました。
あれからずっと歩き続けたのか??とか、それだけ歩いて何も見つからないのおかしくない??とか気になる点はあるでしょうが、その辺は俺が1番気になってるんですよね。

あの後時間ほど、また木を殴って、スキルアップを図ろうとしたが、スキルアップはすることは無かった。

ずっと殴り続けてた訳ではなく、グダグダ休憩しながらだったからかもしれないが。


というか、この小さな体のせいで、歩幅が前世より格段に狭いため、歩いても歩いても進んでいる気がしない。
若干周りの木が太くなっていってるような感じがして、もしかしたら森の中へ中へと、進んでいるのかもしれないと一瞬思ったが、そんな絶望的なことは考えるのは辞めた。

そんなこんなでほぼ歩き続けた転生初日が終わり、この世界に来てから二度目のガチャを引くことができるようになっている。

正真正銘、俺の命運をかけたガチャになる。
昨日会った神様の姿をはっきりと思い浮かべ祈る。

どうかレアでこの状況を打破出来るスキルを下さい、お願いしますなんでもします。

一生のお願い的なものを使ってでもいいスキルを引きたい。

目を血走らせながら俺は覚悟を決め、『回す』と念じた。
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