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第一章 『転生』

村長

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他のゴブリンよりひときわ大きいゴブリンは、この村の村長だということが話をしていて分かった。
なんでも、ゴブリンの上位種である、ホブゴブリンに進化した後、急成長して今の姿になったらしい。
いきなり進化が始まり、朝起きたらこの姿になっていたため、なぜ自分が進化したのかという理由はわからないようだった。

もし進化する条件が分かれば俺もより人間に近い姿になれたかもしれなかったのにな…。
急ぐ旅でもなければ、具体的な目的もないため、その辺はゆっくりと自分で探していこう。


村長とは他にも、俺がなぜ助けたのかという理由の話と、今後もこの村で生活しないかという誘いのお話をした。
助けた理由は本当にただ目の前で戦っていたからでしかないので、そう伝えたところ、目を丸くして驚いていたようだった。
自分の命も危なくなる可能性がある相手に、そんな単純な理由で助けるやつなんかいないと教えられ、確かに見ず知らずのゴブリンが劣勢の時にわざわざゴブリンを助けるために参戦するバカはいないな、と自分でも少し思った。


そしてこの村で生活しないかというお誘いを俺は受けることにした。
ただでさえこの世界に関する情報が少ないし、情報を街ですんなりと集められる見た目でもないので、おとなしくお言葉に甘えてここで生活させていただくことになった。
村長は断られてもおかしくないと思っていたようで、俺がここで住むと伝えた時はニタっと見る人が見れば凶悪に見える笑顔で喜んでいた。

ここのゴブリンたちは俺に対して少なからず尊敬してくれているだろうし、きっとよくしてくれるはずだ。










さて、村の中を紹介してもらい、一通りこの村で生活する準備は整った。
家は空き家があったため、その家をもらうことになり、今日の夜の分と明日の朝の食事は取りにいかずとも用意してくれるらしい。
ただ、村の人口はどんどん増えていくため、俺も一生遊んで寝て暮らしていいわけではなく、定期的に狩りに出て欲しいとお願いされた。
元々俺も遊んで暮らすつもりはなく、ここで生活していく間、毎日手に入る何かしらのスキルと、鍛錬することで手に入るスキルを調べていきたいと思っていたので、ちょうどよかった。


ひとまず今日はゆっくり過ごしてかまわない伝えられたので、礼を村長にして、これから過ごす家の中へと入った。
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