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第8話 新たな出会い――氷の魔導士は契約を望む
「……完全にやり切ったわね」
ダンジョンを出た後。
セリスが肩を回しながら言った。
「スッキリしただろ?」
「まあね」
軽く笑う。
「でも――」
セリスの視線が、街の方へ向く。
「これで終わりじゃないわよ」
「分かってる」
俺も同じ方向を見る。
ざまぁは終わった。
だが――
「ここからが本番だ」
配信も、装備も、すべてが規格外。
このまま静かにしていられるはずがない。
「もう“見つかってる”からな」
「ええ」
セリスが頷く。
「強い連中にね」
⸻
◇
⸻
冒険者ギルド。
中に入った瞬間、空気が変わった。
「……あれが」
「本物かよ」
「配信のやつだろ?」
視線が集まる。
ざわめきが広がる。
「……完全に有名人ね」
「だな」
少し苦笑する。
だが、悪い気はしない。
「レイン様」
受付嬢が駆け寄ってくる。
明らかに態度が変わっていた。
「ギルドマスターがお呼びです」
「……早速か」
予想通りだ。
「行くか?」
「当然でしょ」
セリスが即答する。
「面白そうだし」
⸻
◇
⸻
ギルド最上階。
重厚な扉の前に立つ。
「入れ」
中から低い声。
扉を開けると――
「よう、話題の新人」
椅子に座っていたのは、壮年の男。
鋭い目、鍛えられた体。
只者じゃない。
「ギルドマスターか」
「まあな」
男は軽く笑う。
「お前の配信、見せてもらった」
「どうだった?」
「……規格外だな」
率直な評価だった。
「特に“ドロップ”」
「だろ?」
俺は肩をすくめる。
「で、呼び出しの理由は?」
「単刀直入に言う」
空気が引き締まる。
「お前に“上位ダンジョン”の攻略を依頼したい」
「上位?」
「この街の外にある、危険度Sクラスの領域だ」
セリスが口笛を吹く。
「いきなり飛ばすわね」
「それだけの価値があるって判断だ」
ギルドマスターの目が鋭く光る。
「報酬も相応に出す」
「……悪くない話だな」
だが。
「条件がある」
「ほう?」
「俺のやり方でやる」
「配信も含めて、か?」
「ああ」
少しの沈黙。
そして――
「構わん」
即答だった。
「むしろ、その方が都合がいい」
「宣伝になるからか」
「それもある」
ニヤリと笑う。
「だが一番は――」
視線が俺に突き刺さる。
「お前がどこまでやれるか、見てみたい」
「……いい目してるな」
俺も笑う。
嫌いじゃない。
「話は決まりだな」
「契約成立だ」
⸻
その時だった。
「――待って」
静かな声。
扉の方からだった。
振り向く。
そこにいたのは――
銀髪の女。
透き通るような肌、冷たい瞳。
そして、圧倒的な魔力。
「……誰だ?」
「私はリゼ」
短く名乗る。
「魔導士よ」
空気が変わる。
明らかに強い。
セリスと同格、いやそれ以上かもしれない。
「用件は?」
俺が聞く。
リゼはまっすぐ俺を見た。
「あなたに興味がある」
「光栄だな」
「違う」
即座に否定。
「その力」
視線が鋭くなる。
「“確定ドロップ”」
完全に把握している。
「それ、本物?」
「どう思う?」
「本物ね」
迷いがない。
「だから来た」
「で?」
「契約して」
空気が止まる。
「……は?」
思わず聞き返す。
「私をパーティに入れて」
淡々と言う。
「その代わり――」
リゼの周囲に、氷の魔力が渦巻く。
「最強の火力を提供する」
圧。
明らかに本気だ。
「……どうする?」
セリスがニヤニヤしながら小声で言う。
「強そうよ、この子」
「見れば分かる」
俺はリゼを見る。
強さは本物。
そして――
「……面白いな」
口元が自然と上がる。
「条件は?」
「ない」
即答。
「あなたの下で戦う」
「……随分あっさりだな」
「合理的なだけ」
感情が薄い。
だが、嘘はなさそうだ。
「いいだろ」
俺は手を差し出す。
「組むか」
リゼは一瞬だけ目を細め――
その手を取った。
「契約成立」
冷たい手だった。
だが、その奥には確かな熱があった。
⸻
「……これで三人ね」
セリスが笑う。
「ますます面白くなってきたわ」
「だな」
俺も頷く。
新たな戦力。
新たな舞台。
そして――
「次は“Sランクダンジョン”か」
笑う。
完全に、次のステージだ。
「全部、引き当ててやるよ」
この力で。
すべてを。
⸻
■第8話 終
ダンジョンを出た後。
セリスが肩を回しながら言った。
「スッキリしただろ?」
「まあね」
軽く笑う。
「でも――」
セリスの視線が、街の方へ向く。
「これで終わりじゃないわよ」
「分かってる」
俺も同じ方向を見る。
ざまぁは終わった。
だが――
「ここからが本番だ」
配信も、装備も、すべてが規格外。
このまま静かにしていられるはずがない。
「もう“見つかってる”からな」
「ええ」
セリスが頷く。
「強い連中にね」
⸻
◇
⸻
冒険者ギルド。
中に入った瞬間、空気が変わった。
「……あれが」
「本物かよ」
「配信のやつだろ?」
視線が集まる。
ざわめきが広がる。
「……完全に有名人ね」
「だな」
少し苦笑する。
だが、悪い気はしない。
「レイン様」
受付嬢が駆け寄ってくる。
明らかに態度が変わっていた。
「ギルドマスターがお呼びです」
「……早速か」
予想通りだ。
「行くか?」
「当然でしょ」
セリスが即答する。
「面白そうだし」
⸻
◇
⸻
ギルド最上階。
重厚な扉の前に立つ。
「入れ」
中から低い声。
扉を開けると――
「よう、話題の新人」
椅子に座っていたのは、壮年の男。
鋭い目、鍛えられた体。
只者じゃない。
「ギルドマスターか」
「まあな」
男は軽く笑う。
「お前の配信、見せてもらった」
「どうだった?」
「……規格外だな」
率直な評価だった。
「特に“ドロップ”」
「だろ?」
俺は肩をすくめる。
「で、呼び出しの理由は?」
「単刀直入に言う」
空気が引き締まる。
「お前に“上位ダンジョン”の攻略を依頼したい」
「上位?」
「この街の外にある、危険度Sクラスの領域だ」
セリスが口笛を吹く。
「いきなり飛ばすわね」
「それだけの価値があるって判断だ」
ギルドマスターの目が鋭く光る。
「報酬も相応に出す」
「……悪くない話だな」
だが。
「条件がある」
「ほう?」
「俺のやり方でやる」
「配信も含めて、か?」
「ああ」
少しの沈黙。
そして――
「構わん」
即答だった。
「むしろ、その方が都合がいい」
「宣伝になるからか」
「それもある」
ニヤリと笑う。
「だが一番は――」
視線が俺に突き刺さる。
「お前がどこまでやれるか、見てみたい」
「……いい目してるな」
俺も笑う。
嫌いじゃない。
「話は決まりだな」
「契約成立だ」
⸻
その時だった。
「――待って」
静かな声。
扉の方からだった。
振り向く。
そこにいたのは――
銀髪の女。
透き通るような肌、冷たい瞳。
そして、圧倒的な魔力。
「……誰だ?」
「私はリゼ」
短く名乗る。
「魔導士よ」
空気が変わる。
明らかに強い。
セリスと同格、いやそれ以上かもしれない。
「用件は?」
俺が聞く。
リゼはまっすぐ俺を見た。
「あなたに興味がある」
「光栄だな」
「違う」
即座に否定。
「その力」
視線が鋭くなる。
「“確定ドロップ”」
完全に把握している。
「それ、本物?」
「どう思う?」
「本物ね」
迷いがない。
「だから来た」
「で?」
「契約して」
空気が止まる。
「……は?」
思わず聞き返す。
「私をパーティに入れて」
淡々と言う。
「その代わり――」
リゼの周囲に、氷の魔力が渦巻く。
「最強の火力を提供する」
圧。
明らかに本気だ。
「……どうする?」
セリスがニヤニヤしながら小声で言う。
「強そうよ、この子」
「見れば分かる」
俺はリゼを見る。
強さは本物。
そして――
「……面白いな」
口元が自然と上がる。
「条件は?」
「ない」
即答。
「あなたの下で戦う」
「……随分あっさりだな」
「合理的なだけ」
感情が薄い。
だが、嘘はなさそうだ。
「いいだろ」
俺は手を差し出す。
「組むか」
リゼは一瞬だけ目を細め――
その手を取った。
「契約成立」
冷たい手だった。
だが、その奥には確かな熱があった。
⸻
「……これで三人ね」
セリスが笑う。
「ますます面白くなってきたわ」
「だな」
俺も頷く。
新たな戦力。
新たな舞台。
そして――
「次は“Sランクダンジョン”か」
笑う。
完全に、次のステージだ。
「全部、引き当ててやるよ」
この力で。
すべてを。
⸻
■第8話 終
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