日本ワインに酔いしれて

三枝 優

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第1章

ワイナリーに行こう! 出発

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まだ県境をまたいだ移動は推奨されていません。
あくまで落ち着いたという設定です。
ですので、県外へのお出かけはご遠慮ください。

◇◇◇◇◇◇
やんわりと断ろうとした。

車で片道4時間かかる・・・とか
行ったところで、観光できるようなところには行く予定は無い・・・とか
夏なので紫外線が・・・うんぬん

「え~、楽しそうじゃないですか。一緒に行っちゃだめですか?」
おい、ずいぶんぐいぐい来るな・・・

アラフォーのおじさんと、名前も覚えていない、どう見ても20代の女の子。
困った・・・

思わず、ほかの常連に助けを求めて視線を向ける。

おい・・・なんでみんな目をそらす。
おまいら、この間さしいれたワインを飲んでたじゃないか。

「明日、何時集合にします?」

美容師っぽい彼女の連れの女の子にも、アイコンタクト。
やれやれといった感じで言ってくれた。
「美月、アタイは行かないよ。なんか大変そうじゃない。」
ナイスフォローです。
「でも、早乙女さんっておいしいワイン知ってそうじゃない。」
「えーやだよぉ」
「じゃあ。早乙女さんと私の2人だけで行くからいいよ。」
ころころと笑う。

まじですか?

「えー、向こうにつく時間を考えると7時には出発したいんだけど・・」
「いいですよ。じゃあそこのコインパーキングで待ち合わせでいいですか?」

最後のあがきで、常連どもにアイコンタクトすると全員目をそらしやがった。
まじかよ?

・・・・
・・・

朝6時40分。
待ち合わせのコインパーキングに行くと、もう待っていた。
ほんとに行くのか・・・・
「え?これが早乙女さんの車なんですか?」
「どうしました?」
「すごい・・・・」
「いや、すごくないですよ?」
ちょっと古いBMW。
実は中古だと結構安いのだ。
「ほんとに行くんですね・・・大丈夫ですか?」
「もちろん行きますよ。楽しみです。」
「美月さん・・・でしたっけ?」
「あはは、そういえばちゃんとあいさつしたことがなかったですよね。
 瀬戸美月です。今日はよろしくお願いします。」
「早乙女健司です。よろしくお願いします。 じゃあ行きましょうか。」

助手席のドアを開け、案内する。
本当に大丈夫だろうか・・・
隣でニコニコと笑う笑顔が、逆に不安を掻き立てる。

はぁ、では出発しましょうかね。
悩んでいてもしょうがない、なるようになるさ。

そうして、瀬戸美月とのドライブをスタートさせたのであった。

◇◇◇◇◇◇
◇◇◇◇◇
◇◇◇◇

くどいですけど。
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