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第2章 はじめての仲間
第10話 狼人族のミア
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「ゆっくり食べていいからね」
エアリアが狼人族の少女にそういうと俺から水を入れた木製カップを取りに来た。
「なんか訳ありっぽいよね、あの子――」
「そうだな――まずは俺たちを信用してもらうことから、かな。一応食べてはもらってるからそれなりに信用してくれているんだとは思うけど、俺は少し離れてた方が良いだろうな――」
「そう? 雄太なら大丈夫だと思うけど――」
「ま、相手は女の子だしな。男の俺がいるより――」
「でもあの子、雄太が作ったシチュー食べてるんだから大丈夫だよ、きっと」
「そうかな――」
「そうだよ、ほら、いこ?」
「ちょっと待て、それなら俺たちも一緒に食べた方が安心感は得られるんじゃないか?」
「そういえばそうだね――」
俺とエアリアはそれぞれのさらにシチューを入れて狼人族の少女のところに行った。
「お替わりあるから食べてくれると嬉しい」
と、俺は緊張しながらそう言った。
その少女がどうとかというわけではないんだけれども、狼人族を見るとどうしても俺を襲ってきたシャーロットとかいった狼人族の女を思い出してしまうからだった。狼人族がすべてああいう人たちだとは思ってはいないんだけれども、俺の中ではどうしても――ね。
「あの――ご、ゴメンナサイ――」
突然、狼人族の少女が俺に謝罪すると涙をこぼした
「え? なんで?」
「雄太がよそよそしいからだよ」
とエアリアは言うけれどもやっぱり、狼人族を見ると思い出しちゃうんだよ――違う人間だとわかってるんだけどね――
けど、それでも俺から何かを感じた目の前の女の子が泣いているのは事実だから何とかしたい。
シャーロットは死んだんだ! だからこの子はシャーロットじゃない、別の狼人族なんだ!
自分に言い聞かせてから他になにかできることはないか思案してみるのだが――ぶっちゃけ女の子となんて高校の時に半年くらい付き合ったことがあるだけでそれ以降は全く――恋人同士のあんなことやそんなことなんてことも経験ないからぶっちゃけ女の子の扱い方がよくわからないというのが正直なところ。
――あ? DT? それがどうした?――
涙を流す女の子に、どうしようかとオロオロしていると、
「ワタシ、あなたたちに、迷惑、かけてる――」
と少女がそんなことをボソッとつぶやいた。
「迷惑なんて、そんなこと言わないでほしい。これは俺たちがやりたくてやってること。誰だって目の前で倒れられたら看病する。キミだってそうだろ?」
俺は頭から直結でそう言っていた。
別に間違いじゃないし、倒れてたのが男だったとしてもきっと助けてたし看病もしてた。
「でも、ワタシ――」
そう言って少女は再び泣き出してしまった。
俺は彼女のそばに行くと彼女の手から皿を取りエアリアに渡すと、彼女を落ち着かせようと彼女の背中を撫でた。
「大丈夫だから。俺たちはキミのこと迷惑だなんて思ってないから」
おれはもう一度、今度はあやすようにやさしく彼女に言った。
「そうだよ。逆にアナタが倒れたのが雄太の前でよかったよ。他の男だったらどうなっていたかわからないよ?」
というエアリア。
いや、言わんとしてることはわかるんだけども、言い方どうにかならんかったのか?――
「あ、あの――」
ほら、ビビっちゃってるじゃん――
どうしようかなあ――と考えていると、女の子が俺を見て「ありがとうございます――」と言ってきたので、
「あ、えと――どう、いたしまし、て?――」
「雄太、なんで疑問形なの?」
とエアリアが噴き出した。
そんなエアリアにつられるように、女の子もクスクスと笑っている。
「はじめて笑ったね」
そう俺が女の子に言うと、女の子は笑顔のままできょとんとすると、
「アナタ、笑った顔の方が何百倍も可愛くていいよ!」
とエアリアが女の子に抱き着いて自分の頬と女の子の頬をすり合わせる。
女の子は一瞬戸惑ったようだったけれども、「はい!」と返事すると再び笑顔になった。
しばらくエアリアと笑っていた女の子は笑いながら涙を流し始めた。
「ど、どうしたの?――」
どうしていいかわからずも、とりあえず声をかけてみたところ、
「あの、もしかして冒険者の方ですよね?――」
と女の子が聞いてきたので、「そうだけど――」と俺が答え、エアリアは俺と女の子に交互に視線を移して、いったん女の子から離れるエアリア。
すると、女の子は俺にグイっと迫るように前のめりになり、
「あの――お願いがあるんです! ワタシも、ワタシも一緒に連れて行ってください!」
と言ってきた。
別にここで別れるつもりはなかったし、一応街まで連れて行って、そこで彼女の処遇をどうするか考えるつもりでもいた。
それに彼女は確認はとってないけれども姿から狼人族だろうこともわかっているし、本当に狼人族ならば、俺を襲ってきたシャーロットというあの暴漢の1人の女と同じ攻撃力も持ってるはずだし。
それに彼女が仲間になってくれたら攻撃力も増すから車での体当たりが使えなかったりそもそも車が使えないような場所ではきっと強いメンバーになるはずだし――
エアリアはどう思っているんだろうか、とエアリアを見ると、
「アタシはいいと思うよ? 雄太は精霊使いだしね」
と言ってきた。
「ん? 精霊使い?――」
「そ! だからアタシと契約できたんだよ?」
「そ、そうなのか――」
「もしかして?――」
「はじめて知ったぞ――」
「あれま――知ってると思ってた――」
と、とにかく――俺は精霊使いという職種らしい――ってステータスにそんなこと書いてあったっけ?――と、ステータスを見てみる事にする。
「えと――ステータスオープン――」
と言うと、目の前に半透明のステータス画面が開く。その画面の右上にしっかり「職種:精霊使い」と書かれてあった。しかも結構大きな字で――
「あ、書いてある――つか全く見えてなかったよ――」
「い、いや――普通最初に見るっしょ――」
「知るか、んなもん!」
とちょいやけを起こしてみる俺。
そんな俺とエアリアの漫才のようなやり取りを見ていた女の子が再びクスクスと笑っている。
「お二人とも、仲が良いんですね――それから『契約』って言っていたようですが――」
と女の子が俺とエアリアを交互に見ながらそう言ってくる。
「あ、そうそう! アタシ、エアリアっていうの。実は風の精霊なんだ。今こうしていられるのは雄太がアタシを召喚してくれてるから」
とエアリアが答えてくれたんだが――
「え!? 風の精霊様なんですか!?」
と目をまん丸くして驚くエアリアを見て驚く女の子、そして俺も見てくる。
「それで――あなたがこのエアリア様と契約されているんですよね?」
この子もエアリア様なのか――
「ま、まあね――俺は岡崎雄太。名前が雄太だから『雄太』って呼んでくれればいいよ」
「雄太さん――は、名前と族名が逆なんですね。東方連邦の方なんですか?」
「え? いや、まあ――」
「あ、でも東方連邦の方だと腰に細身の剣を差して、髪もちょんまげという独特な髪形にしていると聞いていますが、雄太さんは普通の髪形ですよね?」
「アハハ――ま、まあそうだね――」
東方連邦って江戸時代の日本に近いのか?――行ってみたいけれども――しかし、行くとなんかフラグ踏みそうだからやめておこう――
「雄太は、ちょっと特殊なんだよ」
俺がどう説明しようか思案していると、エアリアが助け舟を出してくれた――サンキュー、エアリア!
「あ、失礼しました! ワタシまだ名乗ってませんでしたね――ワタシはミア・レオナルドです。見てお分かりだと思いますが、狼人族です」
とミアが名乗った後、ミアが俺がエアリアと契約しているということに話を戻してきた。
「雄太さんって、エアリア様と契約されているんですよね!? 確かここ何年か精霊と契約でしたという人はいなかったはずですが――」
「いや、まあ――成り行きで――」
なぜかすごく興奮しているミア。そして俺はエアリアと契約したときのことを思い返していた。
「でも、凄いですよ。そんな人のパーティに入るとか、ワタシ場違いですよね」
と、なぜかパーティ入りを躊躇し始めるミア。
確かにエアリアの力はすごいけど、俺の力なんて全然だしミアが入ってくれる方が何倍も安心感が増すんだけどな――
「ちょっと聞いてほしいんだけどね――」
と前置きをして、俺はグレイソン達3人との対人戦でのエアリアがその力で3人を消滅させてしまったこと、そしてエアリアの力はそのまま使えばあとで後悔するような気がしていることから、なるべくエアリアの力を借りない方向で進めていることを話した。
「精霊様のお力はすごいとは聞いていました。でもその力を使わずにというのは――ワタシは勿体ないと思います。せっかく精霊様と契約できたのだからその精霊様のお力を使用することは別に問題ないのでは?」
ミアは興奮気味にそういってくるのだけれども――
「ミアの考えはわかった。けど、エアリアの力に頼り切っていたとしたて、もしエアリアの力が使えない場合どうするのかってことも考えなきゃいけないんじゃないかと思うんだよね、あくまで俺の考えなんだけどね――」
と俺の考えを話したところ、ミアは目をはっとしたように目を丸くした。
「それは、考え付きませんでした――精霊と契約された方はなぜか短命だったのってもしかして――」
おいおい精霊使いって短命なのかよ! シャレにならんぞそれ――
その時、エアリアが「ちょっといいかな」と会話に参加してきた。
「アタシもそのあたりの詳しいことってわからなくて、今2人の会話を聞きながらお姉ちゃんたちに聞いてみたのね――そうしたら精霊の力が封じられてしまって、精霊使いが何もできなくて命を落としていったみたいなのね――」
「そ、そうなのですか?――」
「うん、それでね。アタシたち精霊ってさ、契約した人間が死ぬと、契約した精霊も消滅するんだよね――」
「え!?――」
エアリアの説明にミアが驚いた。まるで初めて知ったかのような、そんな感じだった。
俺は、まああっちの国ではファンタジーな本や漫画があり増えれてたからなあ。そういうこともあるんだろうなとは思ってたけれども――
「精霊使いが短命って言われるのってそういうところなんだと思うんだ。だからね、アタシは雄太の考えはお姉ちゃんたちも他属の精霊たちもすごい納得してたりするんだよ。だって、契約したけどその人間が早めに死んじゃうとアタシたちも消滅しちゃうからね」
「そう、なんですか――消滅――」
「うん、そういう理由があるから、精霊も契約したいけど二の足を踏んじゃうんだと思うんだ」
エアリアはそう言って俺を見る。
「そんな理由があるから精霊と契約する人ってなかなか現れないんですね――」
とミアが得心したように言う。
まあ、俺もエアリアの話には十分納得できるところがあるんだよね。せっかく生まれた命なんだから早々にたたき売るつもりは毛頭ないし、平和が一番だしね。
「その――消滅、するかもしれないのに、エアリア様は雄太さんと契約されたんですか?――」
「それはね、お母さんからね、『きっと面白い旅になる』って言われたから、かな」
「おい、それ初めて聞いたんだけど?――」
「え?――」
エアリアの「面白い旅になる」というところに反応した俺に、ミアが驚いた。
「もし『面白い旅になる』から契約しようって言われて、雄太は契約した?」
「え? いや、うーん――なんかアブナイやつだと思って避けてたかも――」
「でしょ? それにアタシは雄太と契約してからすごく楽しい日を過ごしてるよ? 冒険者ギルドのギルマスのレイナもそうだし個々の領主のヴィクターだって面白い人間だし、雄太と一緒に魔物倒したりとか、ギルドの冒険者たちに雄太がいじられるところとか――」
「おい、なんだその俺がいじられるところって――」
「あ、いや――だって、おもしろいんだもん。しょーがないじゃん?」
とてへぺろをしてくるエアリア――
「まあ、あの人たちに悪気がないことはわかってるけどさ。さすがにいじられてるところが面白いとか言われてもなあ――」
「それだけ雄太が愛されてるってことだよ」
「誰がうまくまとめろといった?」
と、俺は人化したままのエアリアの両頬をつまんで上下左右につねる。
「い、いひゃい! いひゃいっては! ごめんなひゃい!」
エアリアの顔があっちへこっちへと歪んで、これは結構楽しい!
「いじられてるのが面白いといった口はこの口か?」
俺は楽しくなってエアリアの頬をつねまくる。
「ご、ごめんなひゃい! いひゃいい!」
少し気晴らしできたのでエアリアの頬から手を放すと、エアリアはつねられた両頬を両手でさすりながら涙を流している。
「雄太ってさ、意外とサディスティックだよね――」
「まあ、マゾではないわな――」
「マゾな雄太も見てみたい――あ、魔法で雄太をマゾに変えてみるとか――」
「やめれ――」
「雄太も見てみたくない? マゾな雄太――」
「自分をどうやって見るんだよ」
と再びエアリアの両頬をつまんで上下左右につねる。
「い、いひゃい! ごめんなひゃいー!」
あまりやってると本当にエアリアに魔法をかけられそうなのでここらへんでやめておく。
「やっぱりサディスティックだよ――」
「魔法で俺をマゾに変えたら――」
「や、やりません! ゴメンナサイ!」
と顔の前で両手を合わせて「ごめん」のぽーずを取りその手を左右こすり合わせるようにして謝ってくるエアリア。
「アハハハ――! 2人ともすごく仲が良いんですね――」
そんな俺たちのやり取りを見ていたミアがおなかを抱えて笑い出した。
「ま、まあ――いい相棒だと思ってるよ?」
「なぜに疑問形なの? 雄太!」
「いや、実際いい相棒だよ。 なあミア?」
またおなかを抱えて笑っているミアに話を振ってみる。
「え? ワ、ワタシですか?――」
「会って間もないミアに振ってもしょーがないでしょお!?」
とミアが俺の胸を拳槌でポカポカと叩いてくるけど痛くもない。
「いや、何か答えてくれるかなあ、と」
「雄太ってホント意地悪だよね」
「そうか? 俺優しいと思うけど?」
「ふーん?――ちょっと雄太をマゾに変えて色々やってみようかなあ――」
と顔の位置まで上げたエアリアの右手の掌がポオっと緑色に光る。
「あ、ごめん! やりすぎました!」
「アタシ結構いじられたんだけど?――」
「あ、エアリア、お前の母さんが見てるぞ!」
とエアリアの後ろを指さしてそう言ったところ――
「え? お母さん!? やばい! お母さん、これは違うの! ちょっとした遊びで!――」
とくるっと後ろを向いたエアリアがサッと土下座をして叫ぶようにしてそう言った。
「嘘だよ」
と俺が笑いながら言うと、エアリアが涙を流しながら俺を「うー!」と恨めしそうに見る。
その表情が何とも言えない面白くてつい噴き出してしまった。
「雄太がイジメる――」
「でも、エアリアの母さんならきっとどこでも見てるんじゃないのか? なんたって風の大精霊様なんだろ?」
「え!? エアリア様のお母さまって風の大精霊様なんですか?」
「そうらしいよ」
「もしかしたらエアリア様のお母さまにも会える日が来るかもしれないんですね!」
「え? いや――そう簡単に出てくるのかねえ――」
「お母さん? たぶん雄太がいうようにどこでも見てるかも。けどお母さんの姿を見えるのってお母さんと契約した人間か精霊のアタシたちくらいだよ」
「どこでも見てるんだったら、エアリアは色々と気を付けた方が良いんじゃないの?」
「う!――言い返せないぃぃ――」
とシュンとして言うエアリアに、俺もミアも噴き出してしまった。
「まあ、そうそう簡単に会えないくらいにすごい精霊ってことなんだよな――」
「そうですよね――そうそう簡単に会えないから、風の大精霊様の威厳が損なわれますよね」
「ま、そういうことなんだろうね」
「ちょっと残念ですけど、風の精霊のエアリア様にこうして会えるというだけでもすごいことですから――」
「こいつが?」
と俺がエアリアを親指で差すと、
「雄太ぁぁ――1回精霊のすごさを味わってみる?」
と背中に「ゴゴゴ……」という擬音を纏ったような感じでエアリアが顔のあたりに持ってきた右手を光らせる。
「いや、だから――」
「問答無用!」
「ちょっ!――うわあ!:
俺の周りにつむじ風が起きた。
完全に飛ばされないまでも体が浮きそうになるくらいに凄まじい風の威力。かなり威力は抑えられているのはわかる。
それは、目の前でグレイソン達3人を一瞬で消し去ってしまうというエアリアの本当の力を見ているから。
なので、これはお遊び。でもこの威力。
つむじ風は数秒で消えた。
「風の精霊様の力を受けた感想は?」
「すみませんでしたー!」
と腰から90度くらいに状態を曲げてエアリアに謝る俺。
でも、これもエアリアとのお遊び。
「よろしい!」
と「フンっ!」と鼻息を出しながらふんぞり返るエアリア。
しかし、ミアはオロオロとしていた。
「あ、あの!――消滅――」
ミアは「契約者が死ぬと精霊も消滅する」という事があるからなんだろうな。
「ミア、これはお遊びだよ」
「そうそう! 実際アタシが本気出したら雄太とアタシは一瞬で消滅しちゃうし」
「え!?――」
あ、ミアが固まった。
仕方ないので、もう一度グレイソン達に襲われたときのことを話した。
すると――
「あ、そういえばそんなこと言ってましたよね――」
「そ、だからあれはお遊びなんだよ」
「雄太がそれを理解してくれてるから、アタシはああやって遊べるんだよ」
「はぁ――ワタシ、その雰囲気になじめるのでしょうか?」
「慣れるよ。きっと慣れてエアリアが遊んでも大丈夫だと思ったらあんなことしてくるよ」
「え!?――」
エアリアが遊んでくるというところにミアがビビってる。
「大丈夫だよ。そこらへんはエアリアも理解してるよ」
と俺がミアをなだめていると、
「雄太ー! なんかアタシがそこら中に魔法ぶっ放すダメな精霊みたいに聞こえるんですけどお?――」
「え? しないの?」
「しないよ! というかミアみたいにかわいい子にはそんなひどいことしないもん!」
と、エアリアがミアに抱き着いて俺に舌を出してアッカンベーをしてくる。
「ミアみたいな子にはそよ風送って涼しくしてあげるんだもんね!」
「俺には?」
「雄太は意地悪だからダメー!」
「マジか?――」
「マジです!」
「即答かよ――」
そんなこんなで、ミアが俺たちの仲間になることが決まった。
あとは街に戻ってミアの冒険者登録が決まれば、晴れてミアは俺たちのパーティの仲間になるのだ。
エアリアが狼人族の少女にそういうと俺から水を入れた木製カップを取りに来た。
「なんか訳ありっぽいよね、あの子――」
「そうだな――まずは俺たちを信用してもらうことから、かな。一応食べてはもらってるからそれなりに信用してくれているんだとは思うけど、俺は少し離れてた方が良いだろうな――」
「そう? 雄太なら大丈夫だと思うけど――」
「ま、相手は女の子だしな。男の俺がいるより――」
「でもあの子、雄太が作ったシチュー食べてるんだから大丈夫だよ、きっと」
「そうかな――」
「そうだよ、ほら、いこ?」
「ちょっと待て、それなら俺たちも一緒に食べた方が安心感は得られるんじゃないか?」
「そういえばそうだね――」
俺とエアリアはそれぞれのさらにシチューを入れて狼人族の少女のところに行った。
「お替わりあるから食べてくれると嬉しい」
と、俺は緊張しながらそう言った。
その少女がどうとかというわけではないんだけれども、狼人族を見るとどうしても俺を襲ってきたシャーロットとかいった狼人族の女を思い出してしまうからだった。狼人族がすべてああいう人たちだとは思ってはいないんだけれども、俺の中ではどうしても――ね。
「あの――ご、ゴメンナサイ――」
突然、狼人族の少女が俺に謝罪すると涙をこぼした
「え? なんで?」
「雄太がよそよそしいからだよ」
とエアリアは言うけれどもやっぱり、狼人族を見ると思い出しちゃうんだよ――違う人間だとわかってるんだけどね――
けど、それでも俺から何かを感じた目の前の女の子が泣いているのは事実だから何とかしたい。
シャーロットは死んだんだ! だからこの子はシャーロットじゃない、別の狼人族なんだ!
自分に言い聞かせてから他になにかできることはないか思案してみるのだが――ぶっちゃけ女の子となんて高校の時に半年くらい付き合ったことがあるだけでそれ以降は全く――恋人同士のあんなことやそんなことなんてことも経験ないからぶっちゃけ女の子の扱い方がよくわからないというのが正直なところ。
――あ? DT? それがどうした?――
涙を流す女の子に、どうしようかとオロオロしていると、
「ワタシ、あなたたちに、迷惑、かけてる――」
と少女がそんなことをボソッとつぶやいた。
「迷惑なんて、そんなこと言わないでほしい。これは俺たちがやりたくてやってること。誰だって目の前で倒れられたら看病する。キミだってそうだろ?」
俺は頭から直結でそう言っていた。
別に間違いじゃないし、倒れてたのが男だったとしてもきっと助けてたし看病もしてた。
「でも、ワタシ――」
そう言って少女は再び泣き出してしまった。
俺は彼女のそばに行くと彼女の手から皿を取りエアリアに渡すと、彼女を落ち着かせようと彼女の背中を撫でた。
「大丈夫だから。俺たちはキミのこと迷惑だなんて思ってないから」
おれはもう一度、今度はあやすようにやさしく彼女に言った。
「そうだよ。逆にアナタが倒れたのが雄太の前でよかったよ。他の男だったらどうなっていたかわからないよ?」
というエアリア。
いや、言わんとしてることはわかるんだけども、言い方どうにかならんかったのか?――
「あ、あの――」
ほら、ビビっちゃってるじゃん――
どうしようかなあ――と考えていると、女の子が俺を見て「ありがとうございます――」と言ってきたので、
「あ、えと――どう、いたしまし、て?――」
「雄太、なんで疑問形なの?」
とエアリアが噴き出した。
そんなエアリアにつられるように、女の子もクスクスと笑っている。
「はじめて笑ったね」
そう俺が女の子に言うと、女の子は笑顔のままできょとんとすると、
「アナタ、笑った顔の方が何百倍も可愛くていいよ!」
とエアリアが女の子に抱き着いて自分の頬と女の子の頬をすり合わせる。
女の子は一瞬戸惑ったようだったけれども、「はい!」と返事すると再び笑顔になった。
しばらくエアリアと笑っていた女の子は笑いながら涙を流し始めた。
「ど、どうしたの?――」
どうしていいかわからずも、とりあえず声をかけてみたところ、
「あの、もしかして冒険者の方ですよね?――」
と女の子が聞いてきたので、「そうだけど――」と俺が答え、エアリアは俺と女の子に交互に視線を移して、いったん女の子から離れるエアリア。
すると、女の子は俺にグイっと迫るように前のめりになり、
「あの――お願いがあるんです! ワタシも、ワタシも一緒に連れて行ってください!」
と言ってきた。
別にここで別れるつもりはなかったし、一応街まで連れて行って、そこで彼女の処遇をどうするか考えるつもりでもいた。
それに彼女は確認はとってないけれども姿から狼人族だろうこともわかっているし、本当に狼人族ならば、俺を襲ってきたシャーロットというあの暴漢の1人の女と同じ攻撃力も持ってるはずだし。
それに彼女が仲間になってくれたら攻撃力も増すから車での体当たりが使えなかったりそもそも車が使えないような場所ではきっと強いメンバーになるはずだし――
エアリアはどう思っているんだろうか、とエアリアを見ると、
「アタシはいいと思うよ? 雄太は精霊使いだしね」
と言ってきた。
「ん? 精霊使い?――」
「そ! だからアタシと契約できたんだよ?」
「そ、そうなのか――」
「もしかして?――」
「はじめて知ったぞ――」
「あれま――知ってると思ってた――」
と、とにかく――俺は精霊使いという職種らしい――ってステータスにそんなこと書いてあったっけ?――と、ステータスを見てみる事にする。
「えと――ステータスオープン――」
と言うと、目の前に半透明のステータス画面が開く。その画面の右上にしっかり「職種:精霊使い」と書かれてあった。しかも結構大きな字で――
「あ、書いてある――つか全く見えてなかったよ――」
「い、いや――普通最初に見るっしょ――」
「知るか、んなもん!」
とちょいやけを起こしてみる俺。
そんな俺とエアリアの漫才のようなやり取りを見ていた女の子が再びクスクスと笑っている。
「お二人とも、仲が良いんですね――それから『契約』って言っていたようですが――」
と女の子が俺とエアリアを交互に見ながらそう言ってくる。
「あ、そうそう! アタシ、エアリアっていうの。実は風の精霊なんだ。今こうしていられるのは雄太がアタシを召喚してくれてるから」
とエアリアが答えてくれたんだが――
「え!? 風の精霊様なんですか!?」
と目をまん丸くして驚くエアリアを見て驚く女の子、そして俺も見てくる。
「それで――あなたがこのエアリア様と契約されているんですよね?」
この子もエアリア様なのか――
「ま、まあね――俺は岡崎雄太。名前が雄太だから『雄太』って呼んでくれればいいよ」
「雄太さん――は、名前と族名が逆なんですね。東方連邦の方なんですか?」
「え? いや、まあ――」
「あ、でも東方連邦の方だと腰に細身の剣を差して、髪もちょんまげという独特な髪形にしていると聞いていますが、雄太さんは普通の髪形ですよね?」
「アハハ――ま、まあそうだね――」
東方連邦って江戸時代の日本に近いのか?――行ってみたいけれども――しかし、行くとなんかフラグ踏みそうだからやめておこう――
「雄太は、ちょっと特殊なんだよ」
俺がどう説明しようか思案していると、エアリアが助け舟を出してくれた――サンキュー、エアリア!
「あ、失礼しました! ワタシまだ名乗ってませんでしたね――ワタシはミア・レオナルドです。見てお分かりだと思いますが、狼人族です」
とミアが名乗った後、ミアが俺がエアリアと契約しているということに話を戻してきた。
「雄太さんって、エアリア様と契約されているんですよね!? 確かここ何年か精霊と契約でしたという人はいなかったはずですが――」
「いや、まあ――成り行きで――」
なぜかすごく興奮しているミア。そして俺はエアリアと契約したときのことを思い返していた。
「でも、凄いですよ。そんな人のパーティに入るとか、ワタシ場違いですよね」
と、なぜかパーティ入りを躊躇し始めるミア。
確かにエアリアの力はすごいけど、俺の力なんて全然だしミアが入ってくれる方が何倍も安心感が増すんだけどな――
「ちょっと聞いてほしいんだけどね――」
と前置きをして、俺はグレイソン達3人との対人戦でのエアリアがその力で3人を消滅させてしまったこと、そしてエアリアの力はそのまま使えばあとで後悔するような気がしていることから、なるべくエアリアの力を借りない方向で進めていることを話した。
「精霊様のお力はすごいとは聞いていました。でもその力を使わずにというのは――ワタシは勿体ないと思います。せっかく精霊様と契約できたのだからその精霊様のお力を使用することは別に問題ないのでは?」
ミアは興奮気味にそういってくるのだけれども――
「ミアの考えはわかった。けど、エアリアの力に頼り切っていたとしたて、もしエアリアの力が使えない場合どうするのかってことも考えなきゃいけないんじゃないかと思うんだよね、あくまで俺の考えなんだけどね――」
と俺の考えを話したところ、ミアは目をはっとしたように目を丸くした。
「それは、考え付きませんでした――精霊と契約された方はなぜか短命だったのってもしかして――」
おいおい精霊使いって短命なのかよ! シャレにならんぞそれ――
その時、エアリアが「ちょっといいかな」と会話に参加してきた。
「アタシもそのあたりの詳しいことってわからなくて、今2人の会話を聞きながらお姉ちゃんたちに聞いてみたのね――そうしたら精霊の力が封じられてしまって、精霊使いが何もできなくて命を落としていったみたいなのね――」
「そ、そうなのですか?――」
「うん、それでね。アタシたち精霊ってさ、契約した人間が死ぬと、契約した精霊も消滅するんだよね――」
「え!?――」
エアリアの説明にミアが驚いた。まるで初めて知ったかのような、そんな感じだった。
俺は、まああっちの国ではファンタジーな本や漫画があり増えれてたからなあ。そういうこともあるんだろうなとは思ってたけれども――
「精霊使いが短命って言われるのってそういうところなんだと思うんだ。だからね、アタシは雄太の考えはお姉ちゃんたちも他属の精霊たちもすごい納得してたりするんだよ。だって、契約したけどその人間が早めに死んじゃうとアタシたちも消滅しちゃうからね」
「そう、なんですか――消滅――」
「うん、そういう理由があるから、精霊も契約したいけど二の足を踏んじゃうんだと思うんだ」
エアリアはそう言って俺を見る。
「そんな理由があるから精霊と契約する人ってなかなか現れないんですね――」
とミアが得心したように言う。
まあ、俺もエアリアの話には十分納得できるところがあるんだよね。せっかく生まれた命なんだから早々にたたき売るつもりは毛頭ないし、平和が一番だしね。
「その――消滅、するかもしれないのに、エアリア様は雄太さんと契約されたんですか?――」
「それはね、お母さんからね、『きっと面白い旅になる』って言われたから、かな」
「おい、それ初めて聞いたんだけど?――」
「え?――」
エアリアの「面白い旅になる」というところに反応した俺に、ミアが驚いた。
「もし『面白い旅になる』から契約しようって言われて、雄太は契約した?」
「え? いや、うーん――なんかアブナイやつだと思って避けてたかも――」
「でしょ? それにアタシは雄太と契約してからすごく楽しい日を過ごしてるよ? 冒険者ギルドのギルマスのレイナもそうだし個々の領主のヴィクターだって面白い人間だし、雄太と一緒に魔物倒したりとか、ギルドの冒険者たちに雄太がいじられるところとか――」
「おい、なんだその俺がいじられるところって――」
「あ、いや――だって、おもしろいんだもん。しょーがないじゃん?」
とてへぺろをしてくるエアリア――
「まあ、あの人たちに悪気がないことはわかってるけどさ。さすがにいじられてるところが面白いとか言われてもなあ――」
「それだけ雄太が愛されてるってことだよ」
「誰がうまくまとめろといった?」
と、俺は人化したままのエアリアの両頬をつまんで上下左右につねる。
「い、いひゃい! いひゃいっては! ごめんなひゃい!」
エアリアの顔があっちへこっちへと歪んで、これは結構楽しい!
「いじられてるのが面白いといった口はこの口か?」
俺は楽しくなってエアリアの頬をつねまくる。
「ご、ごめんなひゃい! いひゃいい!」
少し気晴らしできたのでエアリアの頬から手を放すと、エアリアはつねられた両頬を両手でさすりながら涙を流している。
「雄太ってさ、意外とサディスティックだよね――」
「まあ、マゾではないわな――」
「マゾな雄太も見てみたい――あ、魔法で雄太をマゾに変えてみるとか――」
「やめれ――」
「雄太も見てみたくない? マゾな雄太――」
「自分をどうやって見るんだよ」
と再びエアリアの両頬をつまんで上下左右につねる。
「い、いひゃい! ごめんなひゃいー!」
あまりやってると本当にエアリアに魔法をかけられそうなのでここらへんでやめておく。
「やっぱりサディスティックだよ――」
「魔法で俺をマゾに変えたら――」
「や、やりません! ゴメンナサイ!」
と顔の前で両手を合わせて「ごめん」のぽーずを取りその手を左右こすり合わせるようにして謝ってくるエアリア。
「アハハハ――! 2人ともすごく仲が良いんですね――」
そんな俺たちのやり取りを見ていたミアがおなかを抱えて笑い出した。
「ま、まあ――いい相棒だと思ってるよ?」
「なぜに疑問形なの? 雄太!」
「いや、実際いい相棒だよ。 なあミア?」
またおなかを抱えて笑っているミアに話を振ってみる。
「え? ワ、ワタシですか?――」
「会って間もないミアに振ってもしょーがないでしょお!?」
とミアが俺の胸を拳槌でポカポカと叩いてくるけど痛くもない。
「いや、何か答えてくれるかなあ、と」
「雄太ってホント意地悪だよね」
「そうか? 俺優しいと思うけど?」
「ふーん?――ちょっと雄太をマゾに変えて色々やってみようかなあ――」
と顔の位置まで上げたエアリアの右手の掌がポオっと緑色に光る。
「あ、ごめん! やりすぎました!」
「アタシ結構いじられたんだけど?――」
「あ、エアリア、お前の母さんが見てるぞ!」
とエアリアの後ろを指さしてそう言ったところ――
「え? お母さん!? やばい! お母さん、これは違うの! ちょっとした遊びで!――」
とくるっと後ろを向いたエアリアがサッと土下座をして叫ぶようにしてそう言った。
「嘘だよ」
と俺が笑いながら言うと、エアリアが涙を流しながら俺を「うー!」と恨めしそうに見る。
その表情が何とも言えない面白くてつい噴き出してしまった。
「雄太がイジメる――」
「でも、エアリアの母さんならきっとどこでも見てるんじゃないのか? なんたって風の大精霊様なんだろ?」
「え!? エアリア様のお母さまって風の大精霊様なんですか?」
「そうらしいよ」
「もしかしたらエアリア様のお母さまにも会える日が来るかもしれないんですね!」
「え? いや――そう簡単に出てくるのかねえ――」
「お母さん? たぶん雄太がいうようにどこでも見てるかも。けどお母さんの姿を見えるのってお母さんと契約した人間か精霊のアタシたちくらいだよ」
「どこでも見てるんだったら、エアリアは色々と気を付けた方が良いんじゃないの?」
「う!――言い返せないぃぃ――」
とシュンとして言うエアリアに、俺もミアも噴き出してしまった。
「まあ、そうそう簡単に会えないくらいにすごい精霊ってことなんだよな――」
「そうですよね――そうそう簡単に会えないから、風の大精霊様の威厳が損なわれますよね」
「ま、そういうことなんだろうね」
「ちょっと残念ですけど、風の精霊のエアリア様にこうして会えるというだけでもすごいことですから――」
「こいつが?」
と俺がエアリアを親指で差すと、
「雄太ぁぁ――1回精霊のすごさを味わってみる?」
と背中に「ゴゴゴ……」という擬音を纏ったような感じでエアリアが顔のあたりに持ってきた右手を光らせる。
「いや、だから――」
「問答無用!」
「ちょっ!――うわあ!:
俺の周りにつむじ風が起きた。
完全に飛ばされないまでも体が浮きそうになるくらいに凄まじい風の威力。かなり威力は抑えられているのはわかる。
それは、目の前でグレイソン達3人を一瞬で消し去ってしまうというエアリアの本当の力を見ているから。
なので、これはお遊び。でもこの威力。
つむじ風は数秒で消えた。
「風の精霊様の力を受けた感想は?」
「すみませんでしたー!」
と腰から90度くらいに状態を曲げてエアリアに謝る俺。
でも、これもエアリアとのお遊び。
「よろしい!」
と「フンっ!」と鼻息を出しながらふんぞり返るエアリア。
しかし、ミアはオロオロとしていた。
「あ、あの!――消滅――」
ミアは「契約者が死ぬと精霊も消滅する」という事があるからなんだろうな。
「ミア、これはお遊びだよ」
「そうそう! 実際アタシが本気出したら雄太とアタシは一瞬で消滅しちゃうし」
「え!?――」
あ、ミアが固まった。
仕方ないので、もう一度グレイソン達に襲われたときのことを話した。
すると――
「あ、そういえばそんなこと言ってましたよね――」
「そ、だからあれはお遊びなんだよ」
「雄太がそれを理解してくれてるから、アタシはああやって遊べるんだよ」
「はぁ――ワタシ、その雰囲気になじめるのでしょうか?」
「慣れるよ。きっと慣れてエアリアが遊んでも大丈夫だと思ったらあんなことしてくるよ」
「え!?――」
エアリアが遊んでくるというところにミアがビビってる。
「大丈夫だよ。そこらへんはエアリアも理解してるよ」
と俺がミアをなだめていると、
「雄太ー! なんかアタシがそこら中に魔法ぶっ放すダメな精霊みたいに聞こえるんですけどお?――」
「え? しないの?」
「しないよ! というかミアみたいにかわいい子にはそんなひどいことしないもん!」
と、エアリアがミアに抱き着いて俺に舌を出してアッカンベーをしてくる。
「ミアみたいな子にはそよ風送って涼しくしてあげるんだもんね!」
「俺には?」
「雄太は意地悪だからダメー!」
「マジか?――」
「マジです!」
「即答かよ――」
そんなこんなで、ミアが俺たちの仲間になることが決まった。
あとは街に戻ってミアの冒険者登録が決まれば、晴れてミアは俺たちのパーティの仲間になるのだ。
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