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本編 第1章

皮肉にも不死身になりました。

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「さよなら、今までありがとう母さん、父さん。」

「…こんな俺で本当にごめんなさい。」

そう呟く男、27歳 七宮 生(ななみや いきる)は
30階建てのビルの屋上を囲む柵の外に立っている。
彼は今、自殺を試みようとしている。
高層ビルの屋上だけあって彼は誰にも気づかれていない。

「起業をして失敗、借金まみれで妻と子どもに逃げられて もう俺には何も無い…。来世では王様にでも生まれたいな…。」

「…さよなら…」

両膝を曲げて軽く跳躍、そのまま手を広げて高層ビルから飛び降りる。

生は体に強い風を感じながら
人生を振り返っていた。

「…これが走馬灯か。」

「…俺もあんな笑顔の時があったんだ…」

刹那、
「それで良かったのか?」
ふとそんな声が聞こえた。

「え?…だれ

グシャッ!!!!!!

彼の体が地面に強く打ち付けられた。
30階建てのビルの屋上から飛び降りたのだ。普通なら即死。

…のはずだった。

「…あれ、生きてる?」

確かに足や腕はよからぬ方へ曲がっている。
だが、痛みは全く無い。

七宮 生 ビルから飛び降り、不死身になった瞬間だった。
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