上 下
4 / 25
本編 第1章

60階建てビルから飛び降りろ。

しおりを挟む
歩るくこと10分、生はシャンサインビルに到着した。

「ここは60階建てのビル。さっきのビルの2倍の高さだ。ラッキーで生き延びる事はもうさすがに無いだろう。」

エレベーターに乗り、ビルの屋上へ来たのは良いが問題が発生した。

「こ、ここ水族館なのか…人が大勢いるな…騒ぎになれば自殺するまえに止められてしまう…どうしようか。」
しばらく考え混んでいると足元に石が転がっている事に気づいた生はある作戦を思いついた。

「よし、ミスディレクション作戦。スタートだ。」

ミスディレクションそれは視線誘導の事。まずは屋上の水族館を囲む柵のそばまで近づく。そして子どもに風船を配っているスタッフの持つ風船の束を目掛けて石を投げる。
飛ばされた石はいくつもの風船を割り、その大きい音に水族館に居る人は注目する。皆んなの視線が集まっている隙に柵の外へ出てビルからジャンプ!!
こうして自殺完了。

…の、はずだった。

「とりゃ!」
石は放物線を描き飛んでいく。
しかしそれは風船の方向ではなく魚の水槽の方へ飛んで行った。

「な!俺の下手くそめ…作戦失敗か。」
もう無理かと思ったその時だった。

「ピ、ピラニアの水槽が割れて中からピラニアが出てきたぞ!逃げろぉ~!」
「え?ピラニア?!キャーーー!!!」
投げた石がピラニアの水槽を割り、中のピラニアが大量に飛び出したようだ。
客とスタッフは一瞬にしてパニック状態。

「結果オーライ。よし、今がチャンスだ!」
生は柵を乗り越え、60階建てのビルからジャンプして飛び降りた。

落ちながら生はこの世に別れを告げる。

「もう一度言うけど、お母さんお父さん。今までありがとう。」

「…そしてさようなら。」

普通なら人生でなかなか経験する事は出来ないであろう2度めの走馬灯を見る。

「中学であの子に告白しとけば良かったな…。」
「起業した時もっと俺が会社を引っ張れたら倒産はしなかったのかもな…。」
などと後悔ばかりを口にしていると

「いや、死ねないよ?」
どこからかそんな声が聞こえた気がした。

みるみる地面が近づいてくる。
生は物凄いスピードで落ちている。


そして生は地面に衝突!!!!!
しおりを挟む

処理中です...