1 / 1
出オチて!!マジカルヴァージン
しおりを挟む
「バイバ~イ!!」
「またね~!!」
中学校の帰り道、花園花梨は手を振りながら友達に別れの挨拶をした。
いつもの様にひとり、ポニーテールを揺らしながら自宅へ向かう路地を歩いて行く。
登下校時に必ず前を通る公園に差し掛かった時、花梨は柵越しに砂場に妙なものが落ちているのに気付いた。
「あれは何かしら…!?」
好奇心に負け、公園に入り砂場へと足を運ぶ…近づくとそれは掌に載りそうなほど小さな馬のぬいぐるみであった…いや、額から角と背中から羽根が生えているのでこれはユニコーンだ。
花梨はそのぬいぐるみを手に取った。
「…ここは…地獄か…?俺はもう駄目だ…」
「きゃっ…!!何…!?」
やたらと渋い声で呻くそのユニコーンのぬいぐるみ…しかし普通のぬいぐるみがしゃべるはずも無く、花梨はとても驚きユニコーンを放り出してしまった。
「み…みずをくれ…」
「ミミズ!?私、ミミズなんか触れないよ…」
「中々やるな…何か飲ませてくれ…ウォータープリーズ…」
「ああ~水が飲みたいのね!?ちょっと待って!!」
ピント外れなやり取りの末、花梨はカバンにぶら下げていたペットボトルホルダーからペットボトルを取り出すとキャップを外しユニコーンの口にあてがった。
「…ありがとう…ぶふぉっ!?何だこれは!?」
「アゴダシソーダだよ、トビウオの出汁が効いていておいしいでしょう?」
自販機に必ず一つはあるハズレ飲料…何故か花梨はそういう物を好んで買っていた。
「ゼイ…ゼイ…味はとんでもなかったが取り敢えず水分は補給できたぜ…礼を言う」
「どういたしまして~」
胸の前で手を合わせ満面の笑みを浮かべる花梨。
ユニコーンは何とか立ち上がり花梨を見上げ、話しかけてきた。
「俺の名はジョージ…アンタは?」
「あっ…はい、私は花梨…花園花梨です」
「そうか…花梨には俺の姿が見えて声も聞こえるんだな?これは素質ありと見た…」
「えっ?それはどういう事?」
ジョージの言っている事がさっぱり分からない花梨…するとジョージはドヤ顔でこう言った。
「花梨…君には魔法処女、『マジカルヴァージン』になる素質があるんだよ!!」
「ええっ!?魔法少女!?」
「いや違う…魔法処女だ…ちょっと違うから気を付けな…これテストに出すから」
魔法処女…?魔法少女ではないの…?そんな疑問が花梨の口をつく。
「聞きなれないよな確かに…まあ百聞は一見に如かずだ…取り敢えずこれを持ってみてくれ」
花梨の目の前に光が瞬き、やがて収まると一本のマジカルステッキが現れ空中に浮かんでいた…思わずそれを手に取ってしまう。
「さあそれを天にかざして『マジカルヴァージンコンバージョン』と叫ぶんだ!!」
「…そうすれば魔法が使える…?」
花梨の様子が少しおかしい…何かに魅入られた様な虚ろな目だ。
「ああ約束しよう…さあ!!」
じっと手に握られたマジカルステッキを見つめていた花梨だが、やがて意を決して手を上に伸ばす。
「『マジカルヴァージンコンバージョン』!!」
呪文を唱えると花梨の身体が眩い光に包まれた…その光の中で彼女の服は飛び散り、その代わり布地のやたらに少ないビキニ水着の様なコスチュームが身体を包んでいた…というか全然包まさっていないのだが…。
「きゃ~~~~っ!!!何この恥ずかしい格好!!?」
咄嗟にしゃがみ込み身体を腕で抱きしめる様に隠す。
花梨の身体は同級生に比べて若干発育が遅れていたのだ。
「おおっ…!!これは中々犯罪的な…じゃなかった神々しい姿だ!!」
目を爛々と輝かせるジョージ…するとどうだろう、花梨の身体から虹色に輝く光が滲み出したかと思うと、その光はジョージの方に移っていき、やがてすべてがジョージに吸収されてしまったではないか。
花梨の手からはマジカルステッキも消えていた…しかしコスチュームはそのままだった。
「なっ…何が起こったんですか…?」
何が何やら全く分からず呆然とする花梨…その疑問にキメ顔のジョージがこう答えた。
「『マジカルヴァージン』は魔法を使った事が無い少女にのみなる事を許される存在だ…だから変身魔法を使った途端に少女はその資格を失うのさ…言うなれば魔法の処女を失ったと言う事…」
「えっ…!?」
「要するに花梨はもう『マジカルヴァージン』にはなれない…一回こっきりの変身だって事…」
「何よそれ!!魔法を使えるようになるって言ったのに!!」
「使えたろう…?一回だけ変身できたじゃないか…そうだろう?」
「………」
憤慨する花梨を一蹴するジョージ。
「だが悪く思わないでくれよ?俺は少女が『マジカルヴァージン』に変身した時に発生する『ヴァージンエナジー』を吸収し続けなければ死んでしまうんだ…お陰でもう少しだけ生きていられるよ…」
悪びれもせず堂々と言い放つジョージ。
「じゃあ俺は次のカワイ子ちゃんの元へ行くぜ!!じゃあな花梨ちゃん!!」
そう言い捨て、ジョージは何処ともなく飛び立っていった。
「ちょっと!!私の服はどうするのよ!?待ちなさ~~~~~い!!!」
花梨の叫び声だけが夕方の公園に虚しくこだました。
完
「またね~!!」
中学校の帰り道、花園花梨は手を振りながら友達に別れの挨拶をした。
いつもの様にひとり、ポニーテールを揺らしながら自宅へ向かう路地を歩いて行く。
登下校時に必ず前を通る公園に差し掛かった時、花梨は柵越しに砂場に妙なものが落ちているのに気付いた。
「あれは何かしら…!?」
好奇心に負け、公園に入り砂場へと足を運ぶ…近づくとそれは掌に載りそうなほど小さな馬のぬいぐるみであった…いや、額から角と背中から羽根が生えているのでこれはユニコーンだ。
花梨はそのぬいぐるみを手に取った。
「…ここは…地獄か…?俺はもう駄目だ…」
「きゃっ…!!何…!?」
やたらと渋い声で呻くそのユニコーンのぬいぐるみ…しかし普通のぬいぐるみがしゃべるはずも無く、花梨はとても驚きユニコーンを放り出してしまった。
「み…みずをくれ…」
「ミミズ!?私、ミミズなんか触れないよ…」
「中々やるな…何か飲ませてくれ…ウォータープリーズ…」
「ああ~水が飲みたいのね!?ちょっと待って!!」
ピント外れなやり取りの末、花梨はカバンにぶら下げていたペットボトルホルダーからペットボトルを取り出すとキャップを外しユニコーンの口にあてがった。
「…ありがとう…ぶふぉっ!?何だこれは!?」
「アゴダシソーダだよ、トビウオの出汁が効いていておいしいでしょう?」
自販機に必ず一つはあるハズレ飲料…何故か花梨はそういう物を好んで買っていた。
「ゼイ…ゼイ…味はとんでもなかったが取り敢えず水分は補給できたぜ…礼を言う」
「どういたしまして~」
胸の前で手を合わせ満面の笑みを浮かべる花梨。
ユニコーンは何とか立ち上がり花梨を見上げ、話しかけてきた。
「俺の名はジョージ…アンタは?」
「あっ…はい、私は花梨…花園花梨です」
「そうか…花梨には俺の姿が見えて声も聞こえるんだな?これは素質ありと見た…」
「えっ?それはどういう事?」
ジョージの言っている事がさっぱり分からない花梨…するとジョージはドヤ顔でこう言った。
「花梨…君には魔法処女、『マジカルヴァージン』になる素質があるんだよ!!」
「ええっ!?魔法少女!?」
「いや違う…魔法処女だ…ちょっと違うから気を付けな…これテストに出すから」
魔法処女…?魔法少女ではないの…?そんな疑問が花梨の口をつく。
「聞きなれないよな確かに…まあ百聞は一見に如かずだ…取り敢えずこれを持ってみてくれ」
花梨の目の前に光が瞬き、やがて収まると一本のマジカルステッキが現れ空中に浮かんでいた…思わずそれを手に取ってしまう。
「さあそれを天にかざして『マジカルヴァージンコンバージョン』と叫ぶんだ!!」
「…そうすれば魔法が使える…?」
花梨の様子が少しおかしい…何かに魅入られた様な虚ろな目だ。
「ああ約束しよう…さあ!!」
じっと手に握られたマジカルステッキを見つめていた花梨だが、やがて意を決して手を上に伸ばす。
「『マジカルヴァージンコンバージョン』!!」
呪文を唱えると花梨の身体が眩い光に包まれた…その光の中で彼女の服は飛び散り、その代わり布地のやたらに少ないビキニ水着の様なコスチュームが身体を包んでいた…というか全然包まさっていないのだが…。
「きゃ~~~~っ!!!何この恥ずかしい格好!!?」
咄嗟にしゃがみ込み身体を腕で抱きしめる様に隠す。
花梨の身体は同級生に比べて若干発育が遅れていたのだ。
「おおっ…!!これは中々犯罪的な…じゃなかった神々しい姿だ!!」
目を爛々と輝かせるジョージ…するとどうだろう、花梨の身体から虹色に輝く光が滲み出したかと思うと、その光はジョージの方に移っていき、やがてすべてがジョージに吸収されてしまったではないか。
花梨の手からはマジカルステッキも消えていた…しかしコスチュームはそのままだった。
「なっ…何が起こったんですか…?」
何が何やら全く分からず呆然とする花梨…その疑問にキメ顔のジョージがこう答えた。
「『マジカルヴァージン』は魔法を使った事が無い少女にのみなる事を許される存在だ…だから変身魔法を使った途端に少女はその資格を失うのさ…言うなれば魔法の処女を失ったと言う事…」
「えっ…!?」
「要するに花梨はもう『マジカルヴァージン』にはなれない…一回こっきりの変身だって事…」
「何よそれ!!魔法を使えるようになるって言ったのに!!」
「使えたろう…?一回だけ変身できたじゃないか…そうだろう?」
「………」
憤慨する花梨を一蹴するジョージ。
「だが悪く思わないでくれよ?俺は少女が『マジカルヴァージン』に変身した時に発生する『ヴァージンエナジー』を吸収し続けなければ死んでしまうんだ…お陰でもう少しだけ生きていられるよ…」
悪びれもせず堂々と言い放つジョージ。
「じゃあ俺は次のカワイ子ちゃんの元へ行くぜ!!じゃあな花梨ちゃん!!」
そう言い捨て、ジョージは何処ともなく飛び立っていった。
「ちょっと!!私の服はどうするのよ!?待ちなさ~~~~~い!!!」
花梨の叫び声だけが夕方の公園に虚しくこだました。
完
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
予言姫は最後に微笑む
あんど もあ
ファンタジー
ラズロ伯爵家の娘リリアは、幼い頃に伯爵家の危機を次々と予言し『ラズロの予言姫』と呼ばれているが、実は一度殺されて死に戻りをしていた。
二度目の人生では無事に家の危機を避けて、リリアも16歳。今宵はデビュタントなのだが、そこには……。
あなた方はよく「平民のくせに」とおっしゃいますが…誰がいつ平民だと言ったのですか?
水姫
ファンタジー
頭の足りない王子とその婚約者はよく「これだから平民は…」「平民のくせに…」とおっしゃられるのですが…
私が平民だとどこで知ったのですか?
ちゃんと忠告をしましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。
アゼット様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。
義務ですもの。
あんど もあ
ファンタジー
貴族令嬢の義務として親の決めた相手に嫁いだが、夫には愛する人がいた。夫にないがしろにされても、妻として母として嫁としての義務を果たして誠実に生きたヒロインの掴んだ、ちょっと歪んだ幸せとは。
お姉さまに挑むなんて、あなた正気でいらっしゃるの?
中崎実
ファンタジー
若き伯爵家当主リオネーラには、異母妹が二人いる。
殊にかわいがっている末妹で気鋭の若手画家・リファと、市中で生きるしっかり者のサーラだ。
入り婿だったのに母を裏切って庶子を作った父や、母の死後に父の正妻に収まった継母とは仲良くする気もないが、妹たちとはうまくやっている。
そんな日々の中、暗愚な父が連れてきた自称「婚約者」が突然、『婚約破棄』を申し出てきたが……
※第2章の投稿開始後にタイトル変更の予定です
※カクヨムにも同タイトル作品を掲載しています(アルファポリスでの公開は数時間~半日ほど早めです)
《完結》悪役聖女
ヴァンドール
ファンタジー
聖女になり、王妃となるため十年間も教育を受けて来たのに蓋を開ければ妹が聖女の力を持っていて私はには聖女の力が無かった。そのため祖国を追放されて隣国へと旅立ったがそこで……
婚約破棄から50年後
あんど もあ
ファンタジー
王立学園の卒業パーティーで、王子が婚約者に婚約破棄を宣言した。王子は真に愛する女性と結ばれ、めでたしめでたし。
そして50年後、王子の孫の王子は、婚約破棄された女性の孫と婚約する事に。そこで明かされた婚約破棄の真実とは。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる