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第2話 ドラゴンですが何か?
しおりを挟む俺は藁を敷き詰められた寝床にいた。
卵から孵った時、俺の前にいた白ワンピの少女に抱きかかえられここまで運ばれたのだ。
彼女はどう見ても人間だった。
ドラゴンである俺とは逆で、角も無ければ尻尾も羽根も無い…至って普通の少女だ。
ただ気になるのは彼女の右足首に嵌められている足かせと鉄球だ。
これって…奴隷とかが脱走しないように付ける物だよな…。
しかしこの少女からは悲壮感や絶望感と言った負の感情は微塵も感じられず、先程からニコニコと俺を見つめている。
俺は傍らに置いてある水の入った桶を覗き込む…これは本来、飲み水を入れてあるものだ。
鏡が無い以上、水にでも映して自分の姿を確認するしかないからな。
水鏡に移った俺は紛れもなく、どう見ても、間違いなくドラゴンでした…本当にありがとうございます。
いや、別に礼など言いたくない…どちらかと言うと文句を言ってやりたい所だ、もちろん神様にな!!
そして俺の隣には既にもう一つベッドがあった。
当然いるのだ、俺以外のドラゴンの赤ん坊が…。
俺が生まれた時、少女は『二つ目の卵』と言った…そう、横のベッドに居るのは『一つ目の卵』から孵ったドラゴン…俺の兄か姉にあたる存在…。
そいつは俺とは違い真っ赤な体表をしていた。
外見は等身が低く目がギョロリと大きいが、紛れもなくドラゴンであると分かる。
ファンタジーだと『ドラゴンパピー』なんて呼ばれることもある赤ん坊のドラゴンだな。
う~ん兄弟をいつまでも赤ドラゴンと呼ぶのも気が引けるな…そうだ、取り敢えず俺が心の中でコイツを呼ぶときは『リュウイチ』としよう。
竜で一番目でリュウイチ…まんまだがこれで良い。
リュウイチにも少女が付き添っている。
その子は色白で耳が横に長く尖っていた…俗に言うエルフ族であると思う。
格好は俺の横に居る少女と大差なく白いワンピースに案の定、足かせと鉄球が繋がっている。
ピャアアアアッ………!!
ティアマトと呼ばれていた巨大なドラゴン…要するに俺やリュウイチの母親だが、また彼女の居る方から鳴き声が聞こえた。
あの鳴き声は産声だ、間違いない…俺が生まれた時に張り上げた鳴き声と同じだからな。
やがて褐色な肌のエキゾチックな少女に抱えられて連れて来られたのは黄色い表皮のドラゴンだった。
黄色ドラゴンはくるんとカールした長い睫毛があった、こいつ、雌だな…俺の直感が告げている… だが仮に俺が妹属性だったとしても流石にドラゴンには萌えないな。
三番目で雌だからこいつには『ドラミ』の名を与えよう…色も黄色いし丁度良いだろう。
ピャツ…ピャアアッ…!!
ちょっと可愛らしい産声だな…きっとこの子も雌だろう。
背の小さい少女…おそらく小人族に連れて来られたのは俺たちより一回り小さいピンク色のドラゴンだ。
見ろ、あの睫毛…やはり雌だった。
ドラミの横のベッドに寝かされた…四番目だからスーと名付けよう。
リュウとかドラとかは付けないのかって?いいゴロの名前が浮かばなかったんだよ。
ギャアアアアアッ……!!
うおっ!!びっくりした…何だあれ、完全に悲鳴だな。
五番目は身体中に苔が生えた様なグリーンのドラゴンだ。
産声から想像するに、かなりの大物ではと思ったのだがビンゴ!!俺達より二回りは大きいぞコイツ。
五番目だから『ドラゴ』…カッコイイ名前だろう?
あまりの大きさに侍女の少女が抱えきれなかったらしく、ドラゴの奴は自分の足で歩いて来やがった。
本当に生まれたてなのか?
そして目付きが悪い…俺たちを見下しているのか?
こいつにはいずれ兄の威厳って奴を見せ付けてやらねばならないな…別にこんな奴怖くないぜ?
この身体の震えはあれだ、武者震いって奴だ。
しっかしティアマト母さんは立て続けに五個の卵、五匹のドラゴンを産んだ訳か…。
それってドラゴンとしては多いの?少ないの?
それはそれとして俺たちはいつまでこの鳥のさえずりみたいな声なんだ?
ティアマト母さんが人語を話している以上は俺たちも話せるようにはなるんだろうけど…。
前世の人間であった頃の記憶が断片的だが残っているのは良いのか悪いのか…
まあこうなってしまった以上はジタバタしても仕方がない…。
ここは充実した人生ならぬ龍生を送らせてもらうとしますかね。
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