てんどらっ!!~気が付いたらドラゴンに転生していたので優しい世界を作ります~

美作美琴

文字の大きさ
14 / 44

第14話 ドラゴンは勉強が出来ない

しおりを挟む
 「先手必勝!!『水刃斬ハイドロカッター』!!」

 戦闘開始と同時に俺は高速で突き進む水の刃をライデンに向けて放つ。

『『電磁障壁エレクトロンフィールド』…』
 
 ライデンが身体から放出した電流を身体の全周囲に展開、俺の『水刃斬ハイドロカッター』は簡単に防がれてしまった。

『何だ?そんなものか?』

「うるさい!!これならどうだ!!」

 俺は上空に飛び上がり、上空から『水刃斬ハイドロカッター』を両手で交互に連続発射した…しかし一発目同様、全て『電磁障壁エレクトロンフィールド』に掻き消されてしまった。
 いや掻き消したと言うより分解してしまったと言うのが正しいか。
 奴の周りには水滴一つ残っていないのだから。

 前世の学校の科学の授業で水は電流を流すと水素と酸素に分解されると習った。
 …って事は俺がいくらライデンに水の魔法を放っても全て分解されてしまうのでは?
 相性が悪すぎる…これって対戦相手として詰んでるんじゃないのか…俺。
 こんな事になるのが分かっていたらもっとドラミと対戦して対雷属性の経験を積んでおくんだった…今となっては後の祭りアフターカーニバルだが…。

『もう終わりか?ならばこちらから行くぞ、『追尾式雷光球ホーミングサンダースフィア』』

 ライデンが魔法を唱えると、彼の身体から滲み出た電気が複数の光の球となり宙に漂う…それはフワフワとゆっくりこちらへ向かって来たではないか。

「そんなもの!!」

 俺も『水刃斬ハイドロカッター』で応戦、いくつかの雷光球を撃ち落としたが、個体により速度の差があるようで目の前の物を撃ち落としている内に既に高速で俺の背後に回り込んでいた雷光球を背中から喰らってしまった。

「ぐああああっ…!!」

 全身を駆け巡る猛烈な痺れ…目の前に文字通り星が飛んでいる。
 ジュウゥゥ…と音を立て俺の背中の表皮が焼け、焦げ臭い煙が辺りに漂う。
 力尽き地面に落下するも、何とか体勢を立て直し脚から着地する事が出来た。

『なんと情けない…もう少し見どころのある奴かと思うたが儂の買い被りであったか…』

「言ってくれるね…俺はまだ本気を見せちゃいないんだぜ?」

 嘘である…俺にはもうろくな攻撃手段がない…しかしここで弱みを見せる事は相手を調子づかせることになりかねない…だからハッタリでもいいから虚勢をはる必要がある。
 それにしても厄介なのはあの『電磁障壁エレクトロンフィールド』というバリアだな…あれは遠距離攻撃魔法どころか接近戦すら許してくれない。
 そして極めつけに『追尾式雷光球ホーミングサンダースフィア』という自動追尾型の遠隔攻撃魔法…。
 おかげでライデンの奴は攻守において身体を動かす必要すらないのだからな…
 まるで『生ける要塞』だ。
 だが何も出来ないからとにらめっこを続ける気は毛頭ない…ここはなりふり構わず攻撃に転じるしかない。
 俺は手近にあったそれなりの大きさの大岩を担ぎ上げライデンに向かって放り投げた。

「喰らえーーーーー!!」

『なんと…!!』

 ライデンも面食らったらしい…ドラゴン同士の戦いでこんな原始的な攻撃をしてきた奴は俺以外に居まい。

『『電磁障壁エレクトロンフィールド』!!』

 ライデンも咄嗟にバリアを展開、大岩を砕くことに成功するも大き目の破片のいくつかがバリアを通り抜け顔に喰らってしまう。

『ぐああああっ…!!小童め~~~!!ふざけおって!』

 顔を押さえてのたうち回るライデン…ほう、完全無欠のバリアだと思われた『電磁障壁エレクトロンフィールド』だったが、魔法や水などの無形のもの、質量があまりないものには部類の防御力を誇るが、ある程度質量のある物理攻撃なら通過する事が出来るのか。
 確かに電気の網の様な見た目で隙間があり均一に防御している様には見えないよな…。
 
「はっ!?」

 ここで俺の頭の中に例の閃きが起った…この閃きが起ったと言う事は新しい能力に目覚めた証拠だ。

(『浮遊式水泡フローティングアクアバブル』?)

 新たに覚えた魔法は空中に魔力の籠った水の泡を俺の思うがままに設置するもののようだ。
 防御に使えそうだが、今の俺には攻撃魔法が欲しい所なんだがな~。
 だが何事も工夫次第でどうとでもなる…ここは俺の小賢しい頭の使いどころだ。

『こうなればもう手加減せぬ!!一気にカタを付けさせてもらおう!!』

 あれ、ライデンさん…何をそんなに怒っている訳? 
 どうやら俺はライデンの逆鱗に触れてしまったらしい…確か逆鱗て触れてはいけない龍の鱗の事だったな、まさに今の俺達にはぴったりの表現だ。

『『追尾式雷光球ホーミングサンダースフィア』!!』

 またそれを出して来たな?
 今や俺にはそれに対抗する手段があるんだぜ…見よ!!

「『浮遊式水泡フローティングアクアバブル』!!」

 空中に風船の様に漂う水泡が複数現れた…『追尾式雷光球ホーミングサンダースフィア』はその水泡を敵と認識して次々とぶつかり相殺されていく。

『なんと…小童よ、手の内を隠していたな?』

「へへっ…当然だ!!まだまだこんなもんじゃないぜ!!」

 嘘です…今覚えたばかりです…だがこう言っておけばライデンも迂闊に手を出しにくくなるだろう。
 しかしそれは俺も同じなのであった、さてこれからどうしよう…水魔法は全てバリアで文字通り分解されてしまうしな…分解…そう分解…分解!?
 そうか!!これはイケるかもしれない!!
 俺は今思い付いた方法を実行に移す為行動に出ることにした。

「『浮遊式水泡フローティングアクアバブル』!!」

 再び水泡を召喚…しかし今度はかなり大きめなのを三つ。
 その内の一つを掴みライデンに向かって押し出した。

『お前も既に知っておろう…水属性魔法は儂には効かぬぞ?』

「うん、知ってるよ…」

 案の定、水泡は『電磁障壁エレクトロンフィールド』によって分解されてしまった…しかし俺は構わず次々と水泡を奴に向かって放り続ける…勿論全て同じ結果だ。

『何のつもりかは知らぬが徒労に終わったな…次はこちらの番…うぬ?何だ?』

「掛かったな…さっきの水泡はただの泡じゃなかったんだよ、
泡に『温度操作サーマルコントロール』の魔法を付加してあったんだよ!!」

 『温度操作サーマルコントロール』の効果によってライデンの足元が見る見る凍っていく…奴の脚にも氷が張り始め身体を登っていったのだ。

『おのれーーー!!計ったな!?』

「ほらほら、すぐにそこを退かないとカッチカチに凍っちまうぜ~~~!!」

 ライデンは必死にその場を離れようとするが、とても動きが緩慢だった。
 これは寒さで身体が強張っているばかりではない、身体の老化から来るものだ。
 奴の行動はどれもこれもその場に陣取ったまま行えるものだったが、それは裏を返せば身体を動かす事が出来ないことをカムフラージュするための行動だったのだ。
 遂にライデンの全身を氷が覆ってまった…奴はピクリとも動かない。

「やったか!?」

 これで終わったのなら御の字なのだが、思わず俺、今なにげに禁句を口走ってたよね?

『貴様~~~~…許さんぞ~~~…』

 あーーーっ!!やっぱりーーーー!!

 ライデンの頭部の氷だけが崩れ落ち、口先だけが露出した。

『こうなったらもう我が身がどうなっても構わん…最大出力で『雷鳴波《サンダーブレス》』を放つのみ…!!』

「何!?あんた、俺を道ずれに自滅する気か!?自暴自棄になるのはやめろ!!」

 ライデンの胸の辺りが光り輝いている…それはどんどん喉を伝って上に昇っていき、遂には口のところまで到達した。
 
『知った事か、既に儂の寿命は尽き掛けておるのだ…この一撃は広範囲を電撃で薙ぎ払う…今からではもう回避は不可能…』

 開口した口の中の光が更に大きくなる…俺が勝手に電磁砲と呼んでいた攻撃はこうやって放っていたのか…。
 
「やめろって!!そんな事をしてもあんたは俺を倒す事は出来ない!!犬死するぞ!!」

『言うに事欠いて儂を犬呼ばわりするか!!もうまかり成らーーーーーん!!』

「止めろって言ってるだろう!!もう勝負は着いてる!!」

 発射を止めさせるため『水刃斬ハイドロカッター』を顔に向かって放ったがライデンは一向に止める気配はない。
 遂にライデンは『雷鳴波《サンダーブレス》』の発射体勢に入った。

『喰らえぃ!!』

 『雷鳴波《サンダーブレス》』を発射した途端、ライデンの口元で大爆発が起こった…その爆発は連鎖を起こし次々と複数回の爆発が発生…
 俺は爆風の煽りを受けて吹き飛ばされ、森の木に背中からぶつかり止まった。

「あいたたた…だから止めろって言ったんだ…」

 俺は背中の痛みに耐えながら岩場まで歩いて戻った…足元にはライデンが倒れている。

『…一体…何が起こった…?』

 弱々しく首をもたげ、見えない目で俺の方を向きライデンが尋ねる。

「俺がアンタに向かってデカイ泡を投げつけただろう?あれは『温度操作サーマルコントロール』の魔法をあんたに掛ける為だけにやったんじゃないんだよ…
本当の目的は泡を、水をあんたに電気で分解させることにあったんだ…」

『何…?』

「水は電気によって水素と酸素に分解されるんだよ、だからあんたに分解された水泡はあんたの周りに大量の水素と酸素を充満させていた…あんたが何かしらの魔法を使って引火し爆発するのを狙ってね…だけどまさかあんな強力な魔法を使うとは思ってなかったからな~ここまで大惨事にするつもりはなかったんだ…済まない」


『…何を…言っている…?理解できない…』

「悪いな…これ以上の説明は難しいんだよ」

 戸惑うライデン…それはそうだろうな、ファンタジー世界に住人に科学を理解しろというのは無理な話だ。

『成程…儂が知り得ない未知の知識を用いた戦略を弄したのだな…完敗だ…
これ程の知恵を使いこなすお前になら儂は負けても本望だ…』

「ライデン…」

『『世界を保つものワールドキーパー』の使命はとても重い…世界に、そこに生きる者全ての命に責任を持たなければならないのだ…生半可な覚悟の半端ものには任せられない…だから儂は貴様を試したのだ…』

「そうだったのか…」

 ライデンはライデンで自分の中の矜持を貫き通したんだな…命を懸けて。

『儂を倒したのだ、約束通りこの地は貴様に託す…後は頼んだぞリュウジ…』

 そう言い残しライデンの身体はバラバラに砕け散ってしまった…彼の身体は既に限界だったのだ。

「ああ…任せてくれ…ここだけじゃなく俺はドラゴニア全体を住みよい世界にしてやるぜ!!あの世から見ていてくれライデン!!」

 俺は新たにライデンの遺志をも受け継ぎ、自分の信念を貫くべく更に決心を固めたのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

社会の底辺に落ちたオレが、国王に転生した異世界で、経済の知識を活かして富国強兵する、冒険コメディ

のらねこま(駒田 朗)
ファンタジー
 リーマンショックで会社が倒産し、コンビニのバイトでなんとか今まで生きながらえてきた俺。いつものように眠りについた俺が目覚めた場所は異世界だった。俺は中世時代の若き国王アルフレッドとして目が覚めたのだ。ここは斜陽国家のアルカナ王国。産業は衰退し、国家財政は火の車。国外では敵対国家による侵略の危機にさらされ、国内では政権転覆を企む貴族から命を狙われる。  目覚めてすぐに俺の目の前に現れたのは、金髪美少女の妹姫キャサリン。天使のような姿に反して、実はとんでもなく騒がしいS属性の妹だった。やがて脳筋女戦士のレイラ、エルフ、すけべなドワーフも登場。そんな連中とバカ騒ぎしつつも、俺は魔法を習得し、内政を立て直し、徐々に無双国家への道を突き進むのだった。

相続した畑で拾ったエルフがいつの間にか嫁になっていた件 ~魔法で快適!田舎で農業スローライフ~

ちくでん
ファンタジー
山科啓介28歳。祖父の畑を相続した彼は、脱サラして農業者になるためにとある田舎町にやってきた。 休耕地を畑に戻そうとして草刈りをしていたところで発見したのは、倒れた美少女エルフ。 啓介はそのエルフを家に連れ帰ったのだった。 異世界からこちらの世界に迷い込んだエルフの魔法使いと初心者農業者の主人公は、畑をおこして田舎に馴染んでいく。 これは生活を共にする二人が、やがて好き合うことになり、付き合ったり結婚したり作物を育てたり、日々を生活していくお話です。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

処理中です...