40 / 44
第40話 ドラゴンイーター
しおりを挟む
悪夢だ…一匹でも苦戦したあの漆黒の未知の化け物がざっと数十匹、上空を埋め尽くす様に漂っている。
依然と同じくすぐには襲ってくる気配はないが、そうなるのも時間の問題だろう…戦いは避けられない。
一方、奴らを迎え撃つこちらの戦力はと言うと…。
リュウイチとドラミは今のところ無傷に近い状態だ…魔力はそこそこ消費しているがまだ戦えると思う。
だが俺は右腕を失ったうえに体中に深手を負っている…おまけに今しがた魔力も枯渇した所だ…正直立ち上がるのもしんどい。
『…昼寝はこいつらを片付けた後でだな…』
俺はよろよろと身体を起こた…しかし全身のあちこちから激痛が伝わってきて身体が固まる。
まずいな…これでは空を飛ぶ事も駆け回る事も出来やしない…これではただの足手まといだ。
しかし俺の前にライラとメグが現れ戦闘態勢を取って身構えた。
『お前たち…どうして?』
「何だか分からないがアレともう一戦構えるんだろう? あんたは大きな仕事を終えたんだ、あとはアタイたちに任せておきな!!」
『ライラ…巻き込んでしまって済まない…』
「気にすんな、乗りかかった船だ…最後まで付き合おうじゃないか!!」
ライラたちの助太刀はとてもありがたい。
だがせめてもう一頭、ドラゴンがいてくれたなら…今となってはドラゴを失ったのは大きな損失となってしまった。
ドラゴは『竜殺しの剣』の破壊の際に鱗一つ残さず消滅してしまった…奴とは最後まで分かり合う事は出来なかったが、最後の最後に力を貸してくれた事には感謝しかない…彼の時間稼ぎが無かったら俺達は全滅していたのだから。
「あれは…負の感情が集まった所に何処からともなく現れると言われる『命を喰らう者』…」
メグがうわ言の様に洩らした言葉を俺は聞き逃さなかった。
『メグ、あれが何だか知っているのか!?』
「ひゃい!?」
『教えてくれ!!あの化け物が何なのか!!』
相変わらず俺の姿に怯えているらしいがこの際構っていられない…今はどんなことでもいいからあの化け物の情報が欲しかったのだ。
「…あれは『命を喰らう者』…別名『竜を喰らう者』とも呼ばれる存在で、『地上に憎悪満ちる時、空の裏側より現れし黒き獣、全ての命を喰らうであろう…』…そういう言い伝えが記された古文書を以前どこかで読んだ事があるんです…人の記録が存在しない古から『命を喰らう者』はこの世界に幾度となくやって来た事があったらしく、当時の地上に住まう者が団結してあれを退けたと…」
別名『竜を喰らう者』か…以前に俺とドラゴはあの化け物の仲間に喰われかけた事があるのでその別名は実に的を得ている…要するに屈強な種族であるドラゴンより強いという意味でその二つ名が付いたのだろう。
俺達にとっては実に不愉快な話だが。
『そうか、あいつらはここ最近現れたものでは無いという事なんだな…しかしなんだってあんなものが存在するんだ? 普段は裏の世界とやらに住んでいるというのならわざわざこちらの世界に出て来ることは無いじゃないか…』
「私にそんなこと分かる訳ないじゃないですか…!! なんなら直接聞いてみたらどうです!?」
『それはそうだが…』
珍しくメグが感情的になっている…言ってる事はもっともだが、奴らと会話は成立するのだろうか? 見た所、知性を持ち合わせているとは到底思えないのだが…。
「どうしたのパパ? あの子達とお話したいの?」
ミコトが俺とメグのやり取りを聞いていたらしく、俺に話しかけてきた。
『ミコト、危ないから下がっていなさい…』
「あたし、分かるよ…あの子達の言ってる事が…」
『って…ええっ!?』
なんですと? ミコトにはあの化け物の言葉が分かるのか? まさかこれは『竜人』たるこの子に備わった能力なのか?
『確かに奴らは常にうめき声の様な音を発しながら空を漂っている…あの音にも意味があるのか?』
「うん、さっきから『滅びよ…』だとか、『憎悪に囚われし愚かな生命よ…』、『我は世界の均衡を保つ者…』って言ってるよ」
『何だって!? こんな侵略まがいの事をしておきながらどの口が言うんだ!!』
「パパ…怖い…」
『ああ…ごめんな、お前に言ったんじゃないんだよ…』
ミコトを怯えさせてしまったが、俺の疑問は当然と思っている…別の世界から来てこちらの生命を脅かしておきながら随分と尊大な物言いだな。
『世界の均衡を保つ者』だって? 何様だ!!
こちとら俺達ドラゴンが『世界を保つ者』として世界を管理しているというのに。
「『強大な力を持った者はおごり高ぶり、やがて世界を破滅に導く…我々はそれを良しとしない』…だって…『我らは常に力ある者が力無き者を蹂躙していないかを監視している…』とも言っているわ…」
ミコトは通訳の様に俺と『世界の均衡を保つ者』の間に立っている…一抹の不安はあるが、少し対話を試みてみるか…。
『ここドラゴニアは俺達が住まう世界だ…あんた達には手を出してもらいたくないのだが…』
ミコトが頷き空に漂う『世界の均衡を保つ者』に向かって両手を広げる…そうして何やら聞き慣れない謎の言語を早口で呟き出したのだ…まるで呪文の詠唱の様に。
この呼びかけは『世界の均衡を保つ者』単体にではなくすべての個体に向けられている。
やがて奴らの返答が帰って来たらしく、ミコトがこちらの言葉で翻訳してくれた。
「『世界はそこに住まう者たちだけのものでは無い…一つの世界のほころびは別の世界のほころびを生む…』」
『何を言っている? 一つの世界? 別の世界? ドラゴニア以外にも別に世界があるのか?』
奴の言い分だと、SFや創作で言うところの『並行世界』的なものか、全く別の世界が複数存在しているのではと推測できる。
自分で聞いておきながら何だが、奴の返答を待たずとも答えは『YES』である事は明白。
何故断言できるか…それは俺が『転生者』であるからに他ならない。
『転生者』である俺には前世の世界で人間だった時の記憶が薄っすらだがある…しかしそれは完全に独立したものであり、人間界…便宜上そう呼ぶが、その人間界に生きていた時はここドラゴニアの存在は当然知らない訳だし、逆もそうだ。
生粋のドラゴニアの住人に俺のいた人間界の話しをしても信じてもらえないだろう。
ある意味世界を俯瞰で見る事が出来る者のみがその存在を認識できるわけだ…だからこの質問は俺の認識を確定させるため敢えてしたともいえる。
「…返事がないわ…答える気が無いみたい…」
だろうな…恐らくこれは大っぴらになってはいけない事実なのだろう…要するに奴らはうっかり口を滑らしてしまった訳だ…あんな恐ろしい成りをしておきながら意外と迂闊なのだな。
『そうかい…だがな、仮にお前らがいくつも存在する世界の均衡を保つ特別な存在なのだと仮定して言うが、他の世界の存続の為にこの世界が一方的に蹂躙されるのをこの世界の者が黙って受け入れると思うのか?
応えは決まっている…徹底的に抗わせてもらおうじゃないか』
『世界の均衡を保つ者』のやっている事はそのまま前世でのいじめ体質や、この世界における種族差別となんら変わらない。
自分らに不利益を与える者、不都合な者、不愉快な存在を全面排除しようとする排他的思考だ。
俺はそんな事は絶対に認めない。
しかしミコトがいま俺が言った事を伝えた直後、『世界の均衡を保つ者』たちに動きがあった…とうとう俺達に向かって進撃を開始したのだ。
大方、俺が世界の均衡を破る危険分子とでも判断されたのだろう…遅かれ早かれこうなっていたんだ、今更驚きはしない。
『みんな来るぞ!! 気を付けろ!!』
『ああ!!』
『はい!!』
先陣を切ってリュウイチとドラミが飛び立つ。
「『火炎放射』!!」
「『光円斬』!!」
二人は各々固有の攻撃魔法を繰り出し『世界の均衡を保つ者』の群れに向けて放つ…炎や電撃をくらい消滅する化け物たち。
だがやはり数が多すぎる…仲間が目の前で消滅しているのもお構いなしに別の個体がリュウイチたちに迫る。
あっという間に『世界の均衡を保つ者』たちに取り囲まれてしまったリュウイチとドラミ…魔法で必死に抵抗するも徐々に追い詰められていった。
『ああっ…!!』
『大丈夫かドラミ!?』
『うん…少し掠っただけ…』
化け物の牙に抉られ、ドラミの左肩から夥しい量の血液が滴る…あれはかすり傷なんて生易しいものでは無い。
『くそっ…!! ドラミに近付くな!!』
リュウイチがドラミを庇いながら必死に『火炎放射』で応戦するも、誰かを守りながらの戦闘は隙を生む事になる…リュウイチも奴らからの攻撃を次第に受け始めたのだ、身体に傷が増えていく。
『ぐううっ…あいつらが大変な時…俺は自分が情けない…』
俺はただ上空を見上げ兄弟たちの戦いを見守る事しか出来ない…なんともどかしい事か…いや、何も出来ない自分に腹立たしさすら覚えた。
「リュウイチおじさんとドラミおばさんが危ない!!『疾風斬』!!」
いつの間にかミコトが上空へと移動しており、風属性の切断系魔法を放っていたのだ。
超高速の鋭利な衝撃波がリュウイチたちを取り巻く『世界の均衡を保つ者』をズタズタに切り裂いていった。
『ありがとうミコトちゃん…!!』
何とかリュウイチたちも無事だった…しかし戦闘に参加してしまった以上、ミコトもターゲットと認識したらしく、一体がミコトに向かって突進して来たのだ。
『ミコト…!!』
すぐにでもミコトを庇いに前へと出ようとしたが身体が言う事を聞いてくれない…このままではミコトが…。
「『螺旋覇道撃《スパイラルストライク》!!』
間一髪、駆けつけたライラが突き出した剣先から放たれた渦を巻く衝撃波がドリルの様に怪物の身体を穿ち、内側から引き裂いた。
『ミコト!! 無茶をするな!!』
「…ごめんなさい…」
ミコトの攻撃でリュウイチたちが助かったのは事実…だが親としてここは娘を叱っておかなければならない…ミコトには命の奪い合いである実戦に生半可な覚悟で参加して欲しくなかったからだ。
一旦、体勢を立て直す為に俺達は一カ所に集まった…周囲を警戒できるように背中合わせになって。
以前の戦いで分かってはいたが、奴らは身体を完全に消滅させないと倒す事が出来ないのだ…神聖属性が付加されたものならばその限りではないのだが、今この場にそれの使い手は俺以外には居ない。
しかしその俺も今は完全に魔力が枯渇してしまって魔法が使用不能な状態に陥っている。
魔力は時間で少しづつ回復はするのだが、そんなのを悠長に待って居る時間は無い。
万事休す…俺達は更に不利な状況へと追い込まれてしまったのだ。
依然と同じくすぐには襲ってくる気配はないが、そうなるのも時間の問題だろう…戦いは避けられない。
一方、奴らを迎え撃つこちらの戦力はと言うと…。
リュウイチとドラミは今のところ無傷に近い状態だ…魔力はそこそこ消費しているがまだ戦えると思う。
だが俺は右腕を失ったうえに体中に深手を負っている…おまけに今しがた魔力も枯渇した所だ…正直立ち上がるのもしんどい。
『…昼寝はこいつらを片付けた後でだな…』
俺はよろよろと身体を起こた…しかし全身のあちこちから激痛が伝わってきて身体が固まる。
まずいな…これでは空を飛ぶ事も駆け回る事も出来やしない…これではただの足手まといだ。
しかし俺の前にライラとメグが現れ戦闘態勢を取って身構えた。
『お前たち…どうして?』
「何だか分からないがアレともう一戦構えるんだろう? あんたは大きな仕事を終えたんだ、あとはアタイたちに任せておきな!!」
『ライラ…巻き込んでしまって済まない…』
「気にすんな、乗りかかった船だ…最後まで付き合おうじゃないか!!」
ライラたちの助太刀はとてもありがたい。
だがせめてもう一頭、ドラゴンがいてくれたなら…今となってはドラゴを失ったのは大きな損失となってしまった。
ドラゴは『竜殺しの剣』の破壊の際に鱗一つ残さず消滅してしまった…奴とは最後まで分かり合う事は出来なかったが、最後の最後に力を貸してくれた事には感謝しかない…彼の時間稼ぎが無かったら俺達は全滅していたのだから。
「あれは…負の感情が集まった所に何処からともなく現れると言われる『命を喰らう者』…」
メグがうわ言の様に洩らした言葉を俺は聞き逃さなかった。
『メグ、あれが何だか知っているのか!?』
「ひゃい!?」
『教えてくれ!!あの化け物が何なのか!!』
相変わらず俺の姿に怯えているらしいがこの際構っていられない…今はどんなことでもいいからあの化け物の情報が欲しかったのだ。
「…あれは『命を喰らう者』…別名『竜を喰らう者』とも呼ばれる存在で、『地上に憎悪満ちる時、空の裏側より現れし黒き獣、全ての命を喰らうであろう…』…そういう言い伝えが記された古文書を以前どこかで読んだ事があるんです…人の記録が存在しない古から『命を喰らう者』はこの世界に幾度となくやって来た事があったらしく、当時の地上に住まう者が団結してあれを退けたと…」
別名『竜を喰らう者』か…以前に俺とドラゴはあの化け物の仲間に喰われかけた事があるのでその別名は実に的を得ている…要するに屈強な種族であるドラゴンより強いという意味でその二つ名が付いたのだろう。
俺達にとっては実に不愉快な話だが。
『そうか、あいつらはここ最近現れたものでは無いという事なんだな…しかしなんだってあんなものが存在するんだ? 普段は裏の世界とやらに住んでいるというのならわざわざこちらの世界に出て来ることは無いじゃないか…』
「私にそんなこと分かる訳ないじゃないですか…!! なんなら直接聞いてみたらどうです!?」
『それはそうだが…』
珍しくメグが感情的になっている…言ってる事はもっともだが、奴らと会話は成立するのだろうか? 見た所、知性を持ち合わせているとは到底思えないのだが…。
「どうしたのパパ? あの子達とお話したいの?」
ミコトが俺とメグのやり取りを聞いていたらしく、俺に話しかけてきた。
『ミコト、危ないから下がっていなさい…』
「あたし、分かるよ…あの子達の言ってる事が…」
『って…ええっ!?』
なんですと? ミコトにはあの化け物の言葉が分かるのか? まさかこれは『竜人』たるこの子に備わった能力なのか?
『確かに奴らは常にうめき声の様な音を発しながら空を漂っている…あの音にも意味があるのか?』
「うん、さっきから『滅びよ…』だとか、『憎悪に囚われし愚かな生命よ…』、『我は世界の均衡を保つ者…』って言ってるよ」
『何だって!? こんな侵略まがいの事をしておきながらどの口が言うんだ!!』
「パパ…怖い…」
『ああ…ごめんな、お前に言ったんじゃないんだよ…』
ミコトを怯えさせてしまったが、俺の疑問は当然と思っている…別の世界から来てこちらの生命を脅かしておきながら随分と尊大な物言いだな。
『世界の均衡を保つ者』だって? 何様だ!!
こちとら俺達ドラゴンが『世界を保つ者』として世界を管理しているというのに。
「『強大な力を持った者はおごり高ぶり、やがて世界を破滅に導く…我々はそれを良しとしない』…だって…『我らは常に力ある者が力無き者を蹂躙していないかを監視している…』とも言っているわ…」
ミコトは通訳の様に俺と『世界の均衡を保つ者』の間に立っている…一抹の不安はあるが、少し対話を試みてみるか…。
『ここドラゴニアは俺達が住まう世界だ…あんた達には手を出してもらいたくないのだが…』
ミコトが頷き空に漂う『世界の均衡を保つ者』に向かって両手を広げる…そうして何やら聞き慣れない謎の言語を早口で呟き出したのだ…まるで呪文の詠唱の様に。
この呼びかけは『世界の均衡を保つ者』単体にではなくすべての個体に向けられている。
やがて奴らの返答が帰って来たらしく、ミコトがこちらの言葉で翻訳してくれた。
「『世界はそこに住まう者たちだけのものでは無い…一つの世界のほころびは別の世界のほころびを生む…』」
『何を言っている? 一つの世界? 別の世界? ドラゴニア以外にも別に世界があるのか?』
奴の言い分だと、SFや創作で言うところの『並行世界』的なものか、全く別の世界が複数存在しているのではと推測できる。
自分で聞いておきながら何だが、奴の返答を待たずとも答えは『YES』である事は明白。
何故断言できるか…それは俺が『転生者』であるからに他ならない。
『転生者』である俺には前世の世界で人間だった時の記憶が薄っすらだがある…しかしそれは完全に独立したものであり、人間界…便宜上そう呼ぶが、その人間界に生きていた時はここドラゴニアの存在は当然知らない訳だし、逆もそうだ。
生粋のドラゴニアの住人に俺のいた人間界の話しをしても信じてもらえないだろう。
ある意味世界を俯瞰で見る事が出来る者のみがその存在を認識できるわけだ…だからこの質問は俺の認識を確定させるため敢えてしたともいえる。
「…返事がないわ…答える気が無いみたい…」
だろうな…恐らくこれは大っぴらになってはいけない事実なのだろう…要するに奴らはうっかり口を滑らしてしまった訳だ…あんな恐ろしい成りをしておきながら意外と迂闊なのだな。
『そうかい…だがな、仮にお前らがいくつも存在する世界の均衡を保つ特別な存在なのだと仮定して言うが、他の世界の存続の為にこの世界が一方的に蹂躙されるのをこの世界の者が黙って受け入れると思うのか?
応えは決まっている…徹底的に抗わせてもらおうじゃないか』
『世界の均衡を保つ者』のやっている事はそのまま前世でのいじめ体質や、この世界における種族差別となんら変わらない。
自分らに不利益を与える者、不都合な者、不愉快な存在を全面排除しようとする排他的思考だ。
俺はそんな事は絶対に認めない。
しかしミコトがいま俺が言った事を伝えた直後、『世界の均衡を保つ者』たちに動きがあった…とうとう俺達に向かって進撃を開始したのだ。
大方、俺が世界の均衡を破る危険分子とでも判断されたのだろう…遅かれ早かれこうなっていたんだ、今更驚きはしない。
『みんな来るぞ!! 気を付けろ!!』
『ああ!!』
『はい!!』
先陣を切ってリュウイチとドラミが飛び立つ。
「『火炎放射』!!」
「『光円斬』!!」
二人は各々固有の攻撃魔法を繰り出し『世界の均衡を保つ者』の群れに向けて放つ…炎や電撃をくらい消滅する化け物たち。
だがやはり数が多すぎる…仲間が目の前で消滅しているのもお構いなしに別の個体がリュウイチたちに迫る。
あっという間に『世界の均衡を保つ者』たちに取り囲まれてしまったリュウイチとドラミ…魔法で必死に抵抗するも徐々に追い詰められていった。
『ああっ…!!』
『大丈夫かドラミ!?』
『うん…少し掠っただけ…』
化け物の牙に抉られ、ドラミの左肩から夥しい量の血液が滴る…あれはかすり傷なんて生易しいものでは無い。
『くそっ…!! ドラミに近付くな!!』
リュウイチがドラミを庇いながら必死に『火炎放射』で応戦するも、誰かを守りながらの戦闘は隙を生む事になる…リュウイチも奴らからの攻撃を次第に受け始めたのだ、身体に傷が増えていく。
『ぐううっ…あいつらが大変な時…俺は自分が情けない…』
俺はただ上空を見上げ兄弟たちの戦いを見守る事しか出来ない…なんともどかしい事か…いや、何も出来ない自分に腹立たしさすら覚えた。
「リュウイチおじさんとドラミおばさんが危ない!!『疾風斬』!!」
いつの間にかミコトが上空へと移動しており、風属性の切断系魔法を放っていたのだ。
超高速の鋭利な衝撃波がリュウイチたちを取り巻く『世界の均衡を保つ者』をズタズタに切り裂いていった。
『ありがとうミコトちゃん…!!』
何とかリュウイチたちも無事だった…しかし戦闘に参加してしまった以上、ミコトもターゲットと認識したらしく、一体がミコトに向かって突進して来たのだ。
『ミコト…!!』
すぐにでもミコトを庇いに前へと出ようとしたが身体が言う事を聞いてくれない…このままではミコトが…。
「『螺旋覇道撃《スパイラルストライク》!!』
間一髪、駆けつけたライラが突き出した剣先から放たれた渦を巻く衝撃波がドリルの様に怪物の身体を穿ち、内側から引き裂いた。
『ミコト!! 無茶をするな!!』
「…ごめんなさい…」
ミコトの攻撃でリュウイチたちが助かったのは事実…だが親としてここは娘を叱っておかなければならない…ミコトには命の奪い合いである実戦に生半可な覚悟で参加して欲しくなかったからだ。
一旦、体勢を立て直す為に俺達は一カ所に集まった…周囲を警戒できるように背中合わせになって。
以前の戦いで分かってはいたが、奴らは身体を完全に消滅させないと倒す事が出来ないのだ…神聖属性が付加されたものならばその限りではないのだが、今この場にそれの使い手は俺以外には居ない。
しかしその俺も今は完全に魔力が枯渇してしまって魔法が使用不能な状態に陥っている。
魔力は時間で少しづつ回復はするのだが、そんなのを悠長に待って居る時間は無い。
万事休す…俺達は更に不利な状況へと追い込まれてしまったのだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
社会の底辺に落ちたオレが、国王に転生した異世界で、経済の知識を活かして富国強兵する、冒険コメディ
のらねこま(駒田 朗)
ファンタジー
リーマンショックで会社が倒産し、コンビニのバイトでなんとか今まで生きながらえてきた俺。いつものように眠りについた俺が目覚めた場所は異世界だった。俺は中世時代の若き国王アルフレッドとして目が覚めたのだ。ここは斜陽国家のアルカナ王国。産業は衰退し、国家財政は火の車。国外では敵対国家による侵略の危機にさらされ、国内では政権転覆を企む貴族から命を狙われる。
目覚めてすぐに俺の目の前に現れたのは、金髪美少女の妹姫キャサリン。天使のような姿に反して、実はとんでもなく騒がしいS属性の妹だった。やがて脳筋女戦士のレイラ、エルフ、すけべなドワーフも登場。そんな連中とバカ騒ぎしつつも、俺は魔法を習得し、内政を立て直し、徐々に無双国家への道を突き進むのだった。
相続した畑で拾ったエルフがいつの間にか嫁になっていた件 ~魔法で快適!田舎で農業スローライフ~
ちくでん
ファンタジー
山科啓介28歳。祖父の畑を相続した彼は、脱サラして農業者になるためにとある田舎町にやってきた。
休耕地を畑に戻そうとして草刈りをしていたところで発見したのは、倒れた美少女エルフ。
啓介はそのエルフを家に連れ帰ったのだった。
異世界からこちらの世界に迷い込んだエルフの魔法使いと初心者農業者の主人公は、畑をおこして田舎に馴染んでいく。
これは生活を共にする二人が、やがて好き合うことになり、付き合ったり結婚したり作物を育てたり、日々を生活していくお話です。
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる