俺がママになるんだよ!!~母親のJK時代にタイムリープした少年の話~

美作美琴

文字の大きさ
4 / 29

第4話 頼れる(?)協力者

しおりを挟む
 さて、まずはどう話しを切り出したものか。

 俺にとっては昨日の晩、目の前に居る紺野美沙の約17年後、未来の彼女に会った。
 その時彼女は言った、俺の母、真紀が赤い宝石を持っていなかったかと。
 指輪とも言っていたな、もしかしたら具体的に宝玉の現物を見ていないのかもしれない。
 ただ俺はその質問には答えなかった。
 何故なら母が赤い宝玉を俺に託した時に言った、宝玉の事は他言無用と。
 ならばその言葉を信じて隠し通すと決めた。
 よし、それならこの宝玉の事だけを伏せてそれ以外を美沙に話すとしよう。
 
 美沙さんは既にカーペットに座り込んでいた。
 この様子を見るだけで美沙さんがこの部屋に頻繁に通っていることが分かる。
 母と親友と言うのは間違いなさそうだ。
 俺も美沙さんと正対する様に座った。

「あの、紺野さん」

「なぁに? その余所余所しい呼び方、いつも通り美沙って呼んでよ」

「じゃあ美沙さん、これから俺はあなたに驚くべきことをお話しします、聞いてもらえますか?」

「ちょっと、どうしたの? 俺とか言っちゃって、本当に大丈夫!?」

 驚くと同時に俺の両肩に捕まり心配そうな眼差しを向けて来る美沙さん。

「遠回しに言っても仕方ないんで直球で言います、俺は早乙女真紀ではないんです……」

「……それはどういう事?」

「実は俺は有紀といって真紀の息子なんです」

「息……子? ええっ!?」

 これ以上なく目を見開く美沙さん、俺の肩に置く手が震えている。

「どうしてこんな事になったのか俺にも分かりません、目を覚ましたらいきなり学校の教室に居て、もう何が何やら……」

「そう……それで学校での真紀の様子がおかしかったのね……」

 少し落ち着いた様子で俺の姿を頭のてっぺんから足の先まで何度も見直す美沙さん。

「じゃあ今のあなたは男の子なのね、身体はどうなっているの?」

「はい、どうやらこの身体は母の物らしいです、完全に女性でしたし」

「ふぅん……えい!!」

「あっ!! 何をするんですか!?」

 いきなり美沙さんが俺の胸を鷲掴みにした。

「ちょっ……止めてください……」

 くすぐったいような切ないような初めての感覚に身もだえる俺。

「フム、どうやら本物の様ね、大きさも張りも弾力も真紀の物だわ」

「……何でそんなこと知ってるんです!?」

「それは……まぁ……ねぇ?」

 俺から目を逸らしながら歯切れの悪い返事をする。
 ねぇ? と言われても俺には理解不能だ。
 俺と入れ替わる前の母と美沙さんは一体どういう関係だったんだ?
 
「あの……俺の言う事信じてもらえますか?」

 俺は真剣な眼差しで美沙さんを見つめる。
 親しい間柄なら尚の事、何かの冗談に聞こえるだろうし、若しくは精神に異常を来たしたかと思われかねない。
 自分から話しておきながら何だが、俺が美沙さんの立場なら絶対に信じない。
 突然こんなこんな出鱈目な話しをされても困惑するだけだ。

「信じるわ、あなたの目からは人を揶揄ってやろうとか騙してやろうとかっていう意思は感じられないもの……私が何年あなたの親友をやってると思っているの?」

「いえ、俺は知らないですけど……」

「あっ、そうだったわね、今は中身が違うんだっけ?」

「ぷっ……」

 俺は思わず吹き出してしまう。

「ぷふっ……あはははははっ!!」

 それに釣られ美沙さんも笑い始め、二人して笑いあったのだった。
 しかしこんなにもスムーズに話しが進むとは思いもよらなかったな。
 もっと一悶着あると思っていたのに。
 美沙さんを疑ってかかったのも取り越し苦労に終わりそうだ。

「美佐よ、今からは私を呼び捨てにして頂戴、私もあなたの事は二人っきりの時は有紀、普段は真紀って呼ぶから……いつまでになるか分からなくても有紀が真紀として生活していくというならその方が周りに怪しまれないからね」

「はい、そうですね」

「だから~~~その丁寧語も禁止、私と真紀はそんな他人行儀な話し方はしないわ、これからは女言葉を意識して使ってね」

「わかりまし……分かったわ」

「そうそう、その調子よ」

 何だろう、俺の事なのに完全に美沙に仕切られている気がする。
 もしかして美沙って世話焼きな性格なのか?

「それはそうと真紀に息子がいるって事は将来は真紀は結婚してあなたを産んだって事なのよね?」

「う~~~ん、どうだろう……どうかしら」

「えっ? 何なのよ? はっきりしないわね」

「……実は、俺……私の父が誰なのか分かっていないんだ……のよ」

 女言葉は言い馴れないせいかとても話しづらい。

「いいわ、二人切りの時は男言葉でも、でも人前では気を付けてね」

「うん」

 やっぱり向こうも聞きづらいんだな、でも言葉遣いを切り替えるようにしていてボロが出てしまっては元も子もない、これからは少しづつ慣れて行こう。

「父親が分からないなんて妙な話ね、あなたのお母さんは、本物の真紀は何て言ってたの?」

「いえ、今言ったこと以外には何も……」

 困ったことに本当に何も分かっていない、当事者の母が断片的に記憶喪失なのだから。
 俺が生まれる前の事であるし、その辺の事情を知っている人間が誰もいないのだ。
 でも待てよ? 今気が付いたが俺がいま置かれている状況ってもしかしたら物凄いチャンスなのでは?

「ああっ!!」

「どうしたのよ? 急に大声出して」

 叫びながら急に立ち上がった俺を見上げ美沙は首を傾げる。

「いま俺がいるこの時代って母にとっての過去ですよね? しかも俺がまだ生まれていない時代だ……なら母さんはこれから俺の父に当たる人物と遭遇するはずだ、何せ俺自身が母さんなんだから」

 この事に気付けるなんて俺って冴えてる? 天才?

「そう言う事になるわね、でもどうしてそんな事を調べるの?」

「遺言なんですよ母の、真紀の……俺の父さんを探せって!!」

「なるほどね、分かったわ私も協力する」

「本当!?」

「真紀のハートを射止めた男がどんな顔をしているか……親友の私には見届ける必要があるもの」

 あれ? 美沙は引きつった笑みを浮かべているが目は全く笑っていない。
 俺の父への嫉妬なのか憎悪なのか……やはり女友達同志には複雑な感情が芽生えるものなのだろうか。
 しかしまさかこんな形で千載一遇の好機が巡って来るとは……いつ元に戻れるか分からず悶々と過ごすよりは目的があった方が気も楽と言うものだ。

「そうと決まれば早速計画を練らなければね」

「そうだね、さて何から手を付けようかな」

「決まっているわ、まずはあなたに女の子が、女子高生がどういう生き物か体感してもらわないとね」

「えっ?」

 何を言い出すんだこの人は?

「有紀は全く自覚無い様だけどそのままじゃ真紀を知る人には違和感バリバリよ? まずは床に座るのに胡坐をかくのは禁止」

「あっ……」

 ついいつもの癖で俺は胡坐をかいて座っていた。
 当然プリーツスカートがだらしなく広がっている。

「ちょっと有紀、ここで着替えてみてよ」

「えっ? そんな、恥ずかしいよ」

 人前で、しかも女の子の前でいきなり着替えろと言われて出来るわけがない。

「いいからやる!!」

「はい……」

 美沙の迫力に押され渋々着替える事に。

「あれ? これどうなってるの?」

 セーラー服の脱ぎ方が分からない……上着を上に抜こうにも胴の部分がきつくて脱ぐことが出来ない。
 それならとスカートを脱ごうとしたがこれもウエストがきつく腰を抜く事が出来なかった。

「はぁ、やっぱりね……セーラー服はこうやって脱ぐのよ」

 美沙が俺に寄り添い背後から身体を密着させてくる。
 美沙の胸の膨らみが背中に当たり、女の子特有の甘酸っぱい匂いが俺の鼻孔をくすぐり、思わず赤面してしまった。

「ほら、左の脇にジッパーがあるでしょう? それを上に上げるの、スカートも左側にジッパーがあるからそれを下げる」

 美沙はセーラー服の構造を開設しながらいとも簡単に俺を脱がして半裸にしてしまった。

「成程!! ……って、うわあっ!!」

 当たり前だが俺はブラジャーとパンツの下着だけを身に着けた状態になっており、慌てて胸を隠ししゃがみ込む。

「そうそう、いい反応だわ初々しくて」

 美沙は顔を上気させうっとりとした恍惚の表情を浮かべた。

「決めたわ……丁度明日は土曜日だし明日からの二日間、あなたにはみっちりと女の子の何たるかを身体に叩き込んであげる!!」

「そんな!! 心の準備が!!」

「何を言ってるの!? あなたがこんな状態じゃああなたのお父さんも寄り付かないでしょう!? まずは女の子としての振る舞いを一刻も早く身に付けなければ!!」

「それはそうだけども……」

 身体を屈めたまま抗議しても全く様にならない。
 結局美沙に押し切られてしまった。

「明日は朝8時に迎えに来るから準備していてね、それじゃあ!!」

 美沙は疾風のように部屋から飛び出して行った。

「……本当に大丈夫だろうか」

 一抹の不安を抱えたまま俺は明日を迎える事となった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

底辺動画主、配信を切り忘れてスライムを育成していたらバズった

椎名 富比路
ファンタジー
ダンジョンが世界じゅうに存在する世界。ダンジョン配信業が世間でさかんに行われている。 底辺冒険者であり配信者のツヨシは、あるとき弱っていたスライムを持ち帰る。 ワラビと名付けられたスライムは、元気に成長した。 だがツヨシは、うっかり配信を切り忘れて眠りについてしまう。 翌朝目覚めると、めっちゃバズっていた。

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました

夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。 スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。 ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。 驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。 ※カクヨムで先行配信をしています。

帰還勇者の盲愛生活〜異世界で失った仲間たちが現代で蘇り、俺を甘やかしてくる~

キョウキョウ
ファンタジー
普通の会社員だった佐藤隼人(さとうはやと)は、ある日突然異世界に招かれる。 異世界で勇者として10年間を旅して過ごしながら魔王との戦いに決着をつけた隼人。 役目を終えて、彼は異世界に旅立った直後の現代に戻ってきた。 隼人の意識では10年間という月日が流れていたが、こちらでは一瞬の出来事だった。 戻ってきたと実感した直後、彼の体に激痛が走る。 異世界での経験と成長が現代の体に統合される過程で、隼人は1ヶ月間寝込むことに。 まるで生まれ変わるかのような激しい体の変化が続き、思うように動けなくなった。 ようやく落ち着いた頃には無断欠勤により会社をクビになり、それを知った恋人から別れを告げられる。 それでも隼人は現代に戻ってきて、生きられることに感謝する。 次の仕事を見つけて、新しい生活を始めようと前向きになった矢先、とある人物が部屋を訪ねてくる。 その人物とは、異世界で戦友だった者の名を口にする女子高生だった。 「ハヤト様。私たちの世界を救ってくれて、本当にありがとう。今度は、私たちがあなたのことを幸せにします!」 ※カクヨムにも掲載中です。

社会の底辺に落ちたオレが、国王に転生した異世界で、経済の知識を活かして富国強兵する、冒険コメディ

のらねこま(駒田 朗)
ファンタジー
 リーマンショックで会社が倒産し、コンビニのバイトでなんとか今まで生きながらえてきた俺。いつものように眠りについた俺が目覚めた場所は異世界だった。俺は中世時代の若き国王アルフレッドとして目が覚めたのだ。ここは斜陽国家のアルカナ王国。産業は衰退し、国家財政は火の車。国外では敵対国家による侵略の危機にさらされ、国内では政権転覆を企む貴族から命を狙われる。  目覚めてすぐに俺の目の前に現れたのは、金髪美少女の妹姫キャサリン。天使のような姿に反して、実はとんでもなく騒がしいS属性の妹だった。やがて脳筋女戦士のレイラ、エルフ、すけべなドワーフも登場。そんな連中とバカ騒ぎしつつも、俺は魔法を習得し、内政を立て直し、徐々に無双国家への道を突き進むのだった。

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

処理中です...