異世界で俺はチーター

田中 歩

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{第百十三話} 盗賊アリス

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朝起きると、ミイとネイの腕の中から脱出してネラと朝食を作り、寝起きの悪いネイとミイを起こしてあやしつつダイニングに連れて椅子に座らせて一緒に朝食を済ませた辺りで2人の調子がいつも通りになるので、大会を意識した特訓を始める。
昼食と休憩時間以外は一日中特訓が続き、終わるのは日が落ち始めた頃で夕食を食べるとゆっくり湯舟に浸かり、一日のつかれと汗を流すとあとはやることがない。
現世ではSNSを見ていたが、異世界に昌達が居る間は現世の時間が進まないため、再読み込みをかけても新しい投稿は一つも出てこない。
大手動画投稿サイトで動画を漁っていたが、これにも限りがあるので、大手通販サイトが運営するサービスの一つを使って映画やアニメを見ていたがこれもまた限界が来た結果、今は時間を持て余しているのですべて睡眠時間に回したため毎日10時間は寝ているが、とある偉い先生が「睡眠時間と寿命は比例する」といった趣旨の事を言っていたので、それをリスペクトしての事だ。
そん日々を数日過ごすと大会当日の朝になっていた。
いつも通りの朝を迎え、いつも通りの朝食を食べで大会の会場へと向かった。

会場の中に入ると、前回来た時とは違いとてもにぎわっており、2階の観戦エリアは埋まっていた。
人混みの中にはベックやタグの姿があり、VIP席と思われる場所にソアリンが座っている。
その様子を水晶によって壁に映し出してガウスとその部下の男が見ている。
「始まりますね。今度こそデータクリスタルが手に入ります」

しばらく周りの様子を伺っていると、会場内の照明が一斉に消え、会場の中心に立っている男にスポットライトが当たった。
「諸君、俺はこの大会の主催者「リツカ」だ」
名を名乗ったリツカが顔を上げると、昌達は見覚えのある顔に驚きを隠せなかった。
「あれ?エイム?」
「喫茶店のマスターの時と全く雰囲気が違いますね」
「伝説と呼ばれているリツカってエイムの事だったのね」
登場したエイム、リツカは黒く武の長いコートをいつものマスターの服である、ワイシャツに蝶ネクタイでベスト姿の上に着ている。
流石に下は腰に巻いたエプロンは外して黒いパンツ姿だった。
「この「ブラックコンベンション」は一方的な暴力の祭典、ルールなんで面倒なものはない。相手を倒せばその過程は関係ない。そして、今回の優勝者にはアネイアスへの特別出場枠が与える。この大会でお前達の実力を見せつけて相手をボコボコにしてやれ!」
その熱のこもったリツカの開会のあいさつに会場内の熱気は最高点に達した。
「いいですか、マスター。この中に死角がいます。最後まで気を抜かないように気を付けてください」
「あ、ああ」
「みんな怪しく見えるわね」
この大会の参加者及び観客は柄の悪い物ばかりで怪しい人間しかいない。
「よう!」
後ろから話しかけられ肩を叩かれた昌が振り返ると、情報屋が立っていた。
「おう、情報屋」
「お前達が出るなら俺も応援しなきゃな。ここの存在は前から知っていたが実際に来るのは初めてだからワクワクするな」
情報屋と話しをしていると、リツカがまた口を開いた。
「今回、お前らの対戦相手はこれだ!」
リツカが自分の後ろを指すと、トーナメント表が水晶を通して壁に映し出された。
「オレの対戦相手は誰だ?」
そこに示された昌の最初の相手は。
「お前が最初の相手か、ぶっ殺してやるぜ」
昌の元へ自らやって来て声をかけてきたその男こそ、一回戦目の相手だ。
男は横にも縦にも大きく、男が寝ている時は笛を使わないと起きないヤツと同じ様な体形をしている。

昌達はさっそく準備スペースに向かい、相手の情報を調べた。
「貰ったリストの情報によると、名前は「アリスティド」前回大会で殺害事件を起こした張本人で今は保釈金を払って仮出所中。今回の大会で優勝して景品のアネイアス出場権を売って保釈金のマイナスを埋めるつもりのようよ。戦いかたとしては一撃でも食らえば即死級の爆破魔法を連射してくるようね。アリスティドは相手の武器を使ってとどめを刺す事から「盗賊アリス」と呼ばれているらしいんだけと、本人はこの呼び名を嫌っているらしわ」
ネイはベックから貰ったタブレット端末に入った情報を読み上げた。
「典型的な猪突猛進タイプですが、気を抜くと危険です」
「わかっているさ」
昌は準備を終えると、アリスティドのまつ戦闘スペースに向かった。

「よく来たな。ママの所に泣きながら帰らなかっただけ褒めてやるよ」
戦闘スペースの中に入るとアリスティドが中心に立っており、顔を合わせるなり煽りを入れてきた。
「お前もなアリス」
ここですかさず昌も煽り返す。
「俺をその名で呼ぶな!」
効果は抜くんだ。
ここで審判から準備の合図が。
「レディ...」
両者距離をとり、武器を構えると審判の合図の元試合が始まった。
「バトルスタート!」
ネラの話では今回の大会から審判が置かれたらしいが、死者が出たのだから当たり前だろうし、まだこの大会が続いている事自体が驚きではある。

試合が始まって早々情報通り爆発魔法を連射してくる。
魔法の特性としては、手のひらから爆発魔法の載った球体を無数に放ち、球体が着弾したポイントを中心に爆発を起こすものらしく、着弾しない限りどこまでもまっすぐ飛んでいく。
一方昌は、せいぢょう力を上げる為に短剣を持ち、もう片方の手には防御力を高めた盾を持っている。
その為、爆発魔法をかわすのは容易だが、傍から見れば昌はただただ逃げている様にしか見えない。
アリスティドはそんな昌を追いかけながら魔法を連射している。
そんな様子を見ている観客はアリスティドを応援している。
見た目に似合わず、とても身軽の様だ。
かわし続けていると、スペースの外で見ていたネイが壁際に追い込まれた昌に声をかける。
「避けてばかりじゃダメよ!自分の戦闘スタイルを思い出して!」
「わかってるよ、まぁ見てなって」
昌は逃げの一手から動きを変えてアリスティドの近くに寄った。
「ん?追いかけっこはもうおしまいか?それじゃあ、このバトルも終わらせてやるぜ!」
アリスティドの放った爆発魔法を避けつつ昌は距離を詰めていく。
地面に辺り爆発し、舞い上がった黒煙の中から飛び出し、アリスティドの脇場に一撃与えた。
「やりやがったな!よくも俺の体に...クソガキィ!」
アリスティドが一撃食らった様子を見た観客席は彼に対するブーイングの嵐だ。
「もういっちょ!」
「バカめ!」
もう一度近づいてきた昌にアリスティドは先ほどから使っている爆発魔法が載った球体とは違う色の球体を昌に向かって投げると、球体は昌の近くで自然に激しい光と共に爆発し、爆破の衝撃を食らった昌は地面に倒れた。
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