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{第百二十二話} Zモード
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警備兵をロッカーの中へ押し込み、扉を静かに閉じると、誰かがこちらへ歩いてくる足音は聞こえる。
足音は1人ではなく、数人いる事が用意に感じられた。
とりあえずこの場をいち早く離れるのが先決だが、3本ある廊下すべてから足音がしている。
この状況での逃げ道は目の前にある扉の向こうだけであるため、急いで部屋の中に飛び込んだ。
飛び込んだ部屋はとても広く、テニスコート程あるが照明が一切ついておらず、この部屋は窓の向こうで光っている月明かりのみが照らしていた。
部屋を見回していると、窓際の月明かりが照らされる中、椅子に座って夜空を見ながら紅茶を飲んでいるブラッドとその執事がいた。
ブラッドはさておき、執事は黒髪ショートで中性的な顔立ちと声から性別が分からないが、女性だろう。
「どうやらここは彼の部屋だったようですね」
ブラッドは手に持っていたティーカップとソーサーを机の上に静かに置くと、こちらを見て口を開く。
「やはり来たね、昌くん!あの試合の決着を付けよう!」
「昌、これは罠でです。彼はここで時間を稼いで仲間を呼び寄せるつもりよ」
「ここは逃げましょう」
こちらの警戒を察したのか、今度は執事が口を開く。
「お待ちください!通報すれば通報すればたちまち人が駆け付けます」
「試合に応じれば、通報はしない。戦え、前回の様な失敗は二度と起こさない」
武器を構えたブラッドからは以前にもまして、強いオーラを感じた。
「応じなきゃ突き出されるってことね」
「まさか、彼はマスターと決着を付けたいがために、京一様の居場所を我々に教えたのでしょうか」
「昌くん、君とは決着を付けたかった。伯父に会いたいのだろう?試合さえすれば、あとは好きにすればいい。そこから先に僕は干渉しない。どうする?」
しばらくの沈黙の末、昌は答えた。
「いいだろう」
選択肢があるようで、無いこの質問に対する答えは一つしかない。
昌のその返答に、ブラッドは笑みを浮かべていた。
昌と同い年が一人で使用するにはとても広すぎるこの部屋でなら、試合を始めても差し支えないだろう。
そんな部屋の中心は一段下がっており、戦闘をする為のスペースらしく昌とブラッドは部屋の真ん中へ。
「レディ!」
ブラッドの執事の合図で2人は戦闘態勢に入る。
開始の合図は無く、睨み会った2人のタイミングで始まった。
最初に仕掛けたのはブラッドの方で、切りかかれた昌は片方を剣で防ぎ、間髪無く来たもう片方は急いで出した盾で受け止めた。
「相変わらず、すごい速さね」
「いえ、前回に比べて増しています」
ネラの言う通り、ブラッドの攻撃や防御はもちろんのことすべての動きのスピードが格段に速くなっており、そんなブラッドの動きに防げたのは最初の方のみで昌は次第に追い詰められ、最終的に後方へ飛ばされてしまった。
「今使っている剣は前回使っていた物とは違い、僕のオーラに耐えられる物だ。大会の時の様に、剣が完全にむしばまれた事で、オーラがアーマーに移って破壊する事はない。つまりこの試合、僕が勝つ!」
ブラッドが前回のブラッドとは全く違い、前回の様にはいかない事を理解した昌は初手から赤い鎧を装着した。
「早い気がするがこれを使うしかない。Zモード起動」
「使用ユーザーのZモード起動要請を確認しました。Zモードを起動します」
昌の声に反応したGOSが光、インカムを通して音声が流れた。
赤い鎧に覆われた昌は確かにスピードとパワーは増した上に、前回以上にZモードによる強化倍率は増えたが、それをオーラを使いこなすブラッドのスピードとパワーは上回っている。
前回の大会では剣を主体にした戦闘スタイルだったブラッドだが、今回はそこへ蹴りや殴りと言った剣に頼らない攻撃もしてくるため、隙が更に減り、攻撃パターンが大量に増えている。
「うそでしょ、剣を変えただけでこんなにも変わるの!?」
「まさか、これほどとは」
一段上がり、透明な壁によって守られた場所で見ているネラとネイでさえ驚きを隠せない。
「お前はZモードを上回るのか!」
一番驚いていたのは等の本人である昌であった。
それも無理はない、昌にとって最大の切り札であった「Zモード」を更に上回り、圧倒しているのだから。
スピードが上回っているため、避けきれない。
受け止めるがパワーも強く、受け止めきれず、押し負ける。
「Zアーマーの耐久値が残り50%以下になりました」
インカムからZモードによって昌を覆っている赤い鎧の耐久が下がっているという警告が流れる。
昌は警告を聞いて、改めて自身のZアーマーえを見ると、ヒビが入っていた。
ブラッドは隙の無い連続攻撃を繰り返し、Zアーマーに入ったヒビが広がっていく。
「Zアーマーの耐久値が残り25%以下になりました。設定された音声を再生します」
再生された音声はおじさんの物だった。
「ここまで追い詰められるのは想定内だった。そんな追い詰められた昌に俺からのアドバイスだ何故負けるかを考えるな、考えるのは「どうしたら勝てるか」だ。簡単な事だぜ?例えば、パワーで負けるなら、相手のパワーを上回れば勝てるし、スピードで負けるなら、それを上回ればいい。最後になるが「この状況から逆転して勝ったらカッコよくね?」以上!」
「フッ」
ブラッドの剣を盾で受け止めるが、じりじりと押されているなか、昌は笑った。
(追い詰められた時こそ、ふてぶてしく笑え。そしてさっきまで圧倒されていたのが、手を抜いていたかの様に装え。余裕で勝てるオレはカッコイイ!実際に余裕で無くとも、余裕を装えば本当に余裕になる)
昌はブラッドの力を利用し、後方に飛んで逃げると、剣をブラッドに向かって構え、地面を思いきり蹴って切りかかる。
「ッ!今更無駄だ。君の動きは完全に見切った」
これには流石のブラッドも避けるのがワンテンポ遅れ、ギリギリの所でかわした。
「さっきまでのオレは本気を出していない」
今度は昌がブラッドへ向かって連続へ切りかかる。
切りかかる回数が増えるにつれてスピードがどんどん上がっていく。
最初は避けたり受け止めたりしたが、だんだん早くなる剣速に圧倒され、剣先が肩や腰に当たる。
「スピードが増している!」
剣先はついにブラッドの頬をかすめた。
「クッ!」
ブラッドは蹴りを繰り出すが、昌は盾で受け止め、後方へ飛びのいて威力を逃がす。
「オレは負けない」「僕は負けない」
2人の間には適度な距離感が生まれ、2人はお互いに相手に向かって斬撃を放つ。
ブラッドの放った2本の縦の斬撃と昌の放った1本の横の斬撃が2人の丁度真ん中辺りでぶつかり衝撃が全体に広がる。
足音は1人ではなく、数人いる事が用意に感じられた。
とりあえずこの場をいち早く離れるのが先決だが、3本ある廊下すべてから足音がしている。
この状況での逃げ道は目の前にある扉の向こうだけであるため、急いで部屋の中に飛び込んだ。
飛び込んだ部屋はとても広く、テニスコート程あるが照明が一切ついておらず、この部屋は窓の向こうで光っている月明かりのみが照らしていた。
部屋を見回していると、窓際の月明かりが照らされる中、椅子に座って夜空を見ながら紅茶を飲んでいるブラッドとその執事がいた。
ブラッドはさておき、執事は黒髪ショートで中性的な顔立ちと声から性別が分からないが、女性だろう。
「どうやらここは彼の部屋だったようですね」
ブラッドは手に持っていたティーカップとソーサーを机の上に静かに置くと、こちらを見て口を開く。
「やはり来たね、昌くん!あの試合の決着を付けよう!」
「昌、これは罠でです。彼はここで時間を稼いで仲間を呼び寄せるつもりよ」
「ここは逃げましょう」
こちらの警戒を察したのか、今度は執事が口を開く。
「お待ちください!通報すれば通報すればたちまち人が駆け付けます」
「試合に応じれば、通報はしない。戦え、前回の様な失敗は二度と起こさない」
武器を構えたブラッドからは以前にもまして、強いオーラを感じた。
「応じなきゃ突き出されるってことね」
「まさか、彼はマスターと決着を付けたいがために、京一様の居場所を我々に教えたのでしょうか」
「昌くん、君とは決着を付けたかった。伯父に会いたいのだろう?試合さえすれば、あとは好きにすればいい。そこから先に僕は干渉しない。どうする?」
しばらくの沈黙の末、昌は答えた。
「いいだろう」
選択肢があるようで、無いこの質問に対する答えは一つしかない。
昌のその返答に、ブラッドは笑みを浮かべていた。
昌と同い年が一人で使用するにはとても広すぎるこの部屋でなら、試合を始めても差し支えないだろう。
そんな部屋の中心は一段下がっており、戦闘をする為のスペースらしく昌とブラッドは部屋の真ん中へ。
「レディ!」
ブラッドの執事の合図で2人は戦闘態勢に入る。
開始の合図は無く、睨み会った2人のタイミングで始まった。
最初に仕掛けたのはブラッドの方で、切りかかれた昌は片方を剣で防ぎ、間髪無く来たもう片方は急いで出した盾で受け止めた。
「相変わらず、すごい速さね」
「いえ、前回に比べて増しています」
ネラの言う通り、ブラッドの攻撃や防御はもちろんのことすべての動きのスピードが格段に速くなっており、そんなブラッドの動きに防げたのは最初の方のみで昌は次第に追い詰められ、最終的に後方へ飛ばされてしまった。
「今使っている剣は前回使っていた物とは違い、僕のオーラに耐えられる物だ。大会の時の様に、剣が完全にむしばまれた事で、オーラがアーマーに移って破壊する事はない。つまりこの試合、僕が勝つ!」
ブラッドが前回のブラッドとは全く違い、前回の様にはいかない事を理解した昌は初手から赤い鎧を装着した。
「早い気がするがこれを使うしかない。Zモード起動」
「使用ユーザーのZモード起動要請を確認しました。Zモードを起動します」
昌の声に反応したGOSが光、インカムを通して音声が流れた。
赤い鎧に覆われた昌は確かにスピードとパワーは増した上に、前回以上にZモードによる強化倍率は増えたが、それをオーラを使いこなすブラッドのスピードとパワーは上回っている。
前回の大会では剣を主体にした戦闘スタイルだったブラッドだが、今回はそこへ蹴りや殴りと言った剣に頼らない攻撃もしてくるため、隙が更に減り、攻撃パターンが大量に増えている。
「うそでしょ、剣を変えただけでこんなにも変わるの!?」
「まさか、これほどとは」
一段上がり、透明な壁によって守られた場所で見ているネラとネイでさえ驚きを隠せない。
「お前はZモードを上回るのか!」
一番驚いていたのは等の本人である昌であった。
それも無理はない、昌にとって最大の切り札であった「Zモード」を更に上回り、圧倒しているのだから。
スピードが上回っているため、避けきれない。
受け止めるがパワーも強く、受け止めきれず、押し負ける。
「Zアーマーの耐久値が残り50%以下になりました」
インカムからZモードによって昌を覆っている赤い鎧の耐久が下がっているという警告が流れる。
昌は警告を聞いて、改めて自身のZアーマーえを見ると、ヒビが入っていた。
ブラッドは隙の無い連続攻撃を繰り返し、Zアーマーに入ったヒビが広がっていく。
「Zアーマーの耐久値が残り25%以下になりました。設定された音声を再生します」
再生された音声はおじさんの物だった。
「ここまで追い詰められるのは想定内だった。そんな追い詰められた昌に俺からのアドバイスだ何故負けるかを考えるな、考えるのは「どうしたら勝てるか」だ。簡単な事だぜ?例えば、パワーで負けるなら、相手のパワーを上回れば勝てるし、スピードで負けるなら、それを上回ればいい。最後になるが「この状況から逆転して勝ったらカッコよくね?」以上!」
「フッ」
ブラッドの剣を盾で受け止めるが、じりじりと押されているなか、昌は笑った。
(追い詰められた時こそ、ふてぶてしく笑え。そしてさっきまで圧倒されていたのが、手を抜いていたかの様に装え。余裕で勝てるオレはカッコイイ!実際に余裕で無くとも、余裕を装えば本当に余裕になる)
昌はブラッドの力を利用し、後方に飛んで逃げると、剣をブラッドに向かって構え、地面を思いきり蹴って切りかかる。
「ッ!今更無駄だ。君の動きは完全に見切った」
これには流石のブラッドも避けるのがワンテンポ遅れ、ギリギリの所でかわした。
「さっきまでのオレは本気を出していない」
今度は昌がブラッドへ向かって連続へ切りかかる。
切りかかる回数が増えるにつれてスピードがどんどん上がっていく。
最初は避けたり受け止めたりしたが、だんだん早くなる剣速に圧倒され、剣先が肩や腰に当たる。
「スピードが増している!」
剣先はついにブラッドの頬をかすめた。
「クッ!」
ブラッドは蹴りを繰り出すが、昌は盾で受け止め、後方へ飛びのいて威力を逃がす。
「オレは負けない」「僕は負けない」
2人の間には適度な距離感が生まれ、2人はお互いに相手に向かって斬撃を放つ。
ブラッドの放った2本の縦の斬撃と昌の放った1本の横の斬撃が2人の丁度真ん中辺りでぶつかり衝撃が全体に広がる。
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