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9.神竜伝説の始まり

反対

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 後に『竜の災厄』と呼ばれた騎竜軍団侵攻は、ひとまず終息しました。
 騎竜軍団は、ヴォルコニア皇太子ミューク=ヴォルコニアが預かり、帰国の途に。『ドラゴン・マスター』ダインは逮捕・拘禁されたのです。

 私達も、サーモンド王国王城へ帰りました。
 
 先ずは大歓迎! 
 何せ城壁から、銀色に輝く翼で天駈ける私の姿が丸見えだった事もあり、
 「『光神竜姫』様!ありがとうございました!!」
と大合唱! 
 本当に凄かったです。

 でも、事後処理は大紛糾しました。

 ダインは戦争犯罪人です。
 「サーモンド王国で身柄を拘束し、裁判の上処刑すべし」
 ロディマス王太子が、私の誓願を伝えたところ、やっぱり納得してもらえなかったんです。

 「すまない、リスティア嬢。今少し時間をくれないか?」
 「本来は、できない口出しです。かえってご迷惑おかけして、本当にごめんなさい」

 やっぱり、いらぬ口出しだったのでしょうか?
 ひたすら謝る私を、ロディマス様は笑い飛ばしました。

 「救国の英雄の、ささやかな希望。いらぬ口出し、ですませたくはないよ。なぁ、ルーク」
 「いや、私もすまないとしか言えない立場だ」

 ルーク様も苦笑いです。

 私達は、ミューク皇太子とも密かに会いました。
 「うん。サーモンドの立場としたら、そう言うだろうね。だから、ダインの身柄の引き渡しを要求されたら、我が国としては拒めない。即日引き渡すよ」
 「ヴォルコニアの方は? 意見とか?」
 「竜帝国だから、竜の姫の言葉は絶対だよ?君はもう、女神に等しいんだ」

 うわぁ、考えたくないなぁ?

 「だから、公式訪問してほしいんだ、リスティア嬢」

 は? ミューク皇太子様? さらっと何言いました?
 「あぁ、前向きに検討する」
 は? ルーク様? 何故お返事されるのです?


 ミューク皇太子と別れて、今後の事前案を考えます。
 「それはそうと、さっきの公式訪問? 本当に?」
 「あぁ、最悪でも、リンドガイア個別でヴォルコニアと交流を深めたい。ベストは四国同盟。幸い、君は、女神らしいからね」

 ちょ? ルーク様?

 「話は変わるけど、あの後の『使徒モルド』の足取りが掴めていない。ダインと暗黒竜が合流した後、まるで投げ出したかのように、姿を消した。これだけ用意周到に準備をしたのにも関わらず」
 「目的は達成したのかもしれません。戦乱を起こす事、邪魔者の私達を倒す事」

 中途半端ではあるのですが、戦争になりました。また、レベッカ達を倒しています。
 う~ん、弱いなぁ?

 あまり気にしなかったのは、ダインの処遇について、頭がいっぱいだったわけで…。


 「『光神竜姫』…、竜語魔法をも唱える『白き聖女』…、くくく、けけけけけけけけけけ!本当にこちらの予想の上を行く!!  困ったものです。どうしたものかな? 」
 「これ以上の邪魔は! 何が何でも殺すべきです」
 「どうやってです? 毒も魔法も効きそうにありませんが?」
 「しかし…」
 「レベッカが後を託せる…、『ディロスガイア』をも…、そうですね。この選択肢、どう選びますか?一つ面白そうな手が。くくく、 私は闇に紛れます。あなたは好きに動きなさい」


 サーモンド王国王城。
 ダイン処刑派が主流の中、ロディマス王太子が私の提案を薦めようと説得中。

 「異例な提案なのは承知している。唯リスティア嬢の頼みを無下に断るのもどうかと思う」
 「殿下、リスティア嬢は何をさせたいのか? 何をもって世界に貢献させたいのか。直接語る場ができれば、と思うのですが?」
 「彼女をここへ、この場へと言いたいのか? サーモンド大公?」

  処刑派の一人、王国軍司令官アレス=サーモンド大公が、私と直接話をしたいんだそうです。何てコッタイ?

 それはそうと、ヴォルコニアとの終戦・国境制定、各種条約の締結、交流については、それほど紛糾しなかったそうです。長い戦に、流石に厭戦気分が高まっていたみたいで。

 なので、ダインの身柄は棚上げし、終戦協定と各種条約の締結が行われました。
 で、両国の要望もあり、ルーク様と私も、調印式に参加したのです。

 「ミリュー公爵令嬢のおかげで、和平の運びとなりました。サーモンド王国を代表し感謝します」
  ロディマス王太子に、深々と頭を下げられました。何か恐縮です。

 「ヴォルコニア竜帝国も同じく。貴女は我が国でも『聖女』、いや女神にも等しい存在です」
 ミューク皇太子? 女神にも等しい存在って?
 
 「ルーク様? 隠れて笑いましたね?」
 肩震えてます。なので、ちょっと睨みます。
 「いや? そんな事ないよ、リスティア」
 「むぅ、いつもいつも笑顔で誤魔化されませんからね?」

 「仲よろしいのですね、うらやましい。ルーク王太子の婚約者でなければ、我が国から縁談が殺到するでしょうね」

 ふぇ? 縁談?
 「ええ、彼女が私との婚約を受け入れてくれた事、本当に感謝です」
 ちょ? ルーク様? 
 うわぁ、赤くなりますから、止めてください!

 先伸ばしになっていた三国交流会。四国にしようという話になりました。ミューク皇太子と数名が参加します。うん、開催できて、本当に良かった。

 さあて、サーモンド大公と直談判です。
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