出撃!特殊戦略潜水艦隊

ノデミチ

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驚異の潜水空母

17.

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「自由の女神、日本軍に砲撃される!」
「日本軍巨大潜水艦、ニューヨークを攻撃‼︎」
「太平洋艦隊、壊滅!」
「パナマ運河、空襲されて封鎖!」

 翌日の朝刊は、センセーショナルな見出のパレードだった。

 大統領報道官は、マスコミに囲まれて質問攻めに合うも、何一つ答えられなかったし、軍広報部も同様であった。

「兎に角、デマに惑わされず政府からの通達を守って下さい」
「ならば真実を語ってくれ!軍は太平洋沿岸の諸都市を守れるのか?」

 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

 日本でも緒戦の戦果を大々的な報じ、勝利を派手に祝った。だが、南雲機動部隊が真珠湾を攻撃して太平洋艦隊を殲滅した事は報じられても、特殊戦略潜水戦隊の事は何一つ報じられなかった。
 尤もイ- 501は写真を撮られており、アメリカの新聞にも1面トップで載っている為「日本の秘密兵器」と噂が広まりつつあった。

 トラック環礁。
 イ- 500及び501は弾丸や燃料の補給、イ- 400や401、402も補給を受けている。

 また晴嵐を1機失った400は、内地からの補充機及び補充兵を待つ事になっていた。

「艦長、迅鯨から連絡がありました。晴嵐及び補充兵2名が、本日16:00に到着するとの事」
 井上通信長が報告してくる。
「そうか。わかった」

 イ- 400は、それを待つ間再び訓練航海に出た。一つは402の練度上昇があったので、艦隊行動をとりつつ訓練に励んだのである。
 402は突貫工事もだが、400程熟練者や経験者が乗り組んでいる訳ではなく、設備的は勿論人的にも不具合が多かった。

「オイオイ、コイツは新兵の集まりなのかよ」

 猛特訓、そして実戦(と言っても敵艦にも敵飛行機にも出会わなかったが)を行って来た400に比べて、あまりにも練度が低すぎる402は足手纏いの感が出始めていて、400の乗員から邪魔者扱いされ始めてきた。

「真下艦長は厳しい方だと思っていたのですがね」
 流石に前原も苦言を呈し、南田も「トラックに帰ったら真下君と話をしてみよう」と言わざるを得なかった。

「見えました!晴嵐です」
 訓練中に合流時間となり、東水道入口にて訓練中と司令部に連絡していた事もあり、補充機が直接400へ向かって来ていた。
「収容準備、急げ」
 飛行整備兵がワラワラと出て来て着艦用クレーンの準備に入る。格納庫扉を2人掛で開けると晴嵐がゆっくりと降りて来た。
「うん、コイツは」
 補充機は危なげなく着水すると、400の横にピタリと止まってみせたのである。
「上手い!極めて良好‼︎」
 飛行長岸和田大尉も、豪快ではあるが締めるところは厳しく、あまり褒める事のない男なのだが今回は手放しで賞賛する。
 司令塔にいた南田や前原も破顔した。
「ほう、また腕の良いのが来ましたね」
「経験者を寄越せ、と喧しくいったからな」
 操縦席から降り立ちフロートから弦側へ、ヘルメットを脱いで敬礼する2人。
「操縦士古代飛行曹長及び偵察兵森飛行兵曹、イ- 400乗り組みを命ぜられました」
「着任を認める。見事な腕だが経験は」
「イ-23で水偵に乗っていました。インド洋で何度も索敵行動をしております」
「そいつは凄い。で、将棋は好きか?」
「ヘボですが、両名共に」

 無駄口ではあるが、これは飛行隊のコミュニケーションの一貫だ。南田は苦虫を噛み潰した様な表情を見せたが何も言わず、前原は笑った。

 晴嵐の格納が終わり、イ- 400は再び訓練に戻る。
 夏島の潜水艦投錨地に戻ったのは、日も暮れようとしている時であった。

「空母が、まだ2隻ですか」
「そうだ。ホーネットとサラトガがいる事がわかった。この2隻を沈める事が今回、君達特殊戦略潜水戦隊に課せられた任務だ。今回は5隻が全て単艦行動となる。アメリカ西海岸沿岸にも近付く事にもなる。哨戒機や駆逐艦に注意しつつ作戦行動をとって欲しい」

 第7潜水戦隊司令部から呼び出しがあり、南田と前原、そして402の真下中佐と先任たる航海長堀之内少佐が司令部へ赴く。
 500の柴司令に山崎艦長、小島先任、501の真田艦長と横川先任、401の有田司令に日高艦長、四谷先任が待っていた。

「遅れました」
「いや、急な呼び出しですまない」

 司令部の古湊少将や作戦参謀田中中佐も南田や真下達が遅れたとは思っていない。

「この2隻はレキシントンよりも新しく大型との事だ。沈めねば後々面倒な事になる。君達のお陰で太平洋艦隊は壊滅状態だ。その戦果を大々的に祝えないのは残念でならないが、秘匿艦隊の宿命と思って欲しい」

 戦隊は違っても潜水艦のあげた殊勲。
 潜水畑を歩んで来た古湊にとっても、喜ばしい快挙である。
 また、補助艦艇扱いで戦艦等の待ち伏せ攻撃を主任務と言われていた頃に比べれば、通商破壊に従事できる現状は潜水艦乗りにとって本懐であり、インド洋での暴れっぷりは「極東のUボート」とイギリスの頭を悩ませていた。

「頼んだぞ、諸君」
 
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