15 / 55
首席トリオの快進撃!
15. ミルキィの懺悔
しおりを挟む
学院に帰ってきた私を待っていたのは、心配したクラス全員と担任。少し呆れるティオーリア学院長。
私が基本、素材集めに勤しんでたって言ったので、心配顔は怒り顔に変化して…。
「あ、あの?ね、みんな?」
「…ミルキィ⁉︎」
コレは、少しホンネも言わないとヤバい?
「では、魔界へは行っていないのですか?」
ティオーリア学院長。その笑みコワイデス。
「あの、えーと、…その」
「行きましたか?」
「…ハイ」
虚実織り交ぜつつ、私は魔界まで足を伸ばした事を話す。
「父には魔族の旧い友人がいました。その魔族は『穏健派』って言うか、前魔対戦の時も『無関心』を決め込んでて。父は私が産まれた時には亡くなってたんだけど、その魔族はお墓参りに来てくれて、それで知り合ったんです」
「その魔族に会いに魔界へ?よく魔界へ行けたね。境界線を越える事はかなり難しい筈」
「『訪ねる時が有れば使え』って転移石を1組貰いました」
あらかじめ決められた地点へ転移する事が出来る魔力を込めた結晶石。国宝級とも言える魔導具だけど、コレを使った事にすれば私が境界線を越えた事が誰にでも納得出来る。
「成る程。その魔族が登録地点を作り魔力を込めた訳ね。で、その魔族は何て?」
「それが、会えませんでした」
実際には、彼女の莫大な魔法を、その生成魔法陣を欲しての襲撃だったんだろう。ただ、鏡の伝言は『穏健派』への粛正も仄めかしていた。
「大魔王は、魔界を…また魔対戦への準備の為の挙国体制にしたいらしいって。私宛の伝言、有ったんです」
私の魔力のみに反応する魔法伝言鏡。
見た目は只の手鏡で、魔族達の監視確認の目を逃れたらしい事を説明した。
「そう。『穏健派』処か『無関心派』まで粛正対象となると、その大魔王の地上界侵略の意気込みを感じるわね。では、その伝言を受け取って直ぐに魔界から帰ったのね?」
「長居する意味ないから…」
「この1週間の内のどれくらいが魔界?」
「えーと、数時間?あの、行きはともかく、帰りは故郷の村に近いトコだったし。アソコからは王都まで結構あるし」
「従魔を使って飛べたわよね。どれくらいかかるのかしら?」
だから、学院長。その笑みコワイ。
「…2日かな」
「うん、どう考えても4日程余計にかかってる気がするわね、ミルキィ。その間は?」
えと?学院長だけじゃなくて、みんなの目もコワイ。
クラリス?
涙目で睨むの、凄いコワイよ。
「故郷近くって素材の宝庫なんです」
てへペロ…、じゃダメか?
「ミルキィ?」
うわぁ。クラス全員が声を揃えてる!
…私は床に座らされて、クラス全員のお説教を数時間聞いた。
その、ごめんねー、みんな。
ちなみに、タラちゃんは、この間学院庭の街路樹で日向ぼっこしてたらしい。
…そこは一緒にお説教喰らうべきでしょー?
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
「挙国一致体制。確かに大魔王の強い意思を感じさせる」
ミルキィから魔界の状況を聞いた私は、直ぐに王宮へ連絡した。
国王陛下や宰相、近衛騎士団長に魔導師団長も直ぐに集まってくれ、私は応接室でミルキィより聞いた話をそのまま陛下達に伝えた。
「では、直ぐにも魔族の侵攻があるのでは」
「いえ。そうはならないと」
「ほう。ティオーリア、その根拠は?」
「大魔王レベッカへの疑念です」
これは、ミルキィの疑念の受け売り。
でも、私も納得できたのだ。
「レベッカが偽物?」
「ホンモノならば、穏健派への粛正等やらない。レベッカのカリスマ性ならば必要無い。ミルキィに伝言した魔族の言葉だそうです」
勇者伝説にも出て来るレベッカの、魔力もだけどカリスマ性が抜きん出ている事は、伝承に言われるだけの事もある筈と思われる。
「魔界を統一したからこそ大魔王を名乗っているとは思うのですが、それにしては伝説にもあるカリスマ性をあまり感じられないのです。また魔人族かと思える程の親人族性をみせていたレベッカが地上界侵攻や人族殲滅を言い出す心境の変化の原因。それがないらしくって」
「どう言う事だ?」
「レベッカが豹変する様な出来事が魔界で有った等聞いた事がないと。メッセージはその事を言及していたとミルキィが」
「フム。ミルキィの父の友人たるその魔族には、レベッカが心変わりするだけの事がなかったと見えた訳だ。となると大魔王だからといって、魔界全土に大号令をかけられるかは」
「怪しいでしょう。ならばこその粛正なのでは」
だとすると話が少し変わる。
より実力のある高位魔族は、あまり群れたがらないし、魔王の命令だからって従う訳でも無い。
無理にでも従わせるのは、やはり実力。
屈服させられるだけの実力がいる。
「粛正…、それに周りを従わせる為の方便としてレベッカの名を使った。成る程。なら魔族も決して一枚岩じゃないな。それにしても、コレだけの事がわかるとはね。童女が魔界に行った成果としては計り知れない功績だよ」
私が基本、素材集めに勤しんでたって言ったので、心配顔は怒り顔に変化して…。
「あ、あの?ね、みんな?」
「…ミルキィ⁉︎」
コレは、少しホンネも言わないとヤバい?
「では、魔界へは行っていないのですか?」
ティオーリア学院長。その笑みコワイデス。
「あの、えーと、…その」
「行きましたか?」
「…ハイ」
虚実織り交ぜつつ、私は魔界まで足を伸ばした事を話す。
「父には魔族の旧い友人がいました。その魔族は『穏健派』って言うか、前魔対戦の時も『無関心』を決め込んでて。父は私が産まれた時には亡くなってたんだけど、その魔族はお墓参りに来てくれて、それで知り合ったんです」
「その魔族に会いに魔界へ?よく魔界へ行けたね。境界線を越える事はかなり難しい筈」
「『訪ねる時が有れば使え』って転移石を1組貰いました」
あらかじめ決められた地点へ転移する事が出来る魔力を込めた結晶石。国宝級とも言える魔導具だけど、コレを使った事にすれば私が境界線を越えた事が誰にでも納得出来る。
「成る程。その魔族が登録地点を作り魔力を込めた訳ね。で、その魔族は何て?」
「それが、会えませんでした」
実際には、彼女の莫大な魔法を、その生成魔法陣を欲しての襲撃だったんだろう。ただ、鏡の伝言は『穏健派』への粛正も仄めかしていた。
「大魔王は、魔界を…また魔対戦への準備の為の挙国体制にしたいらしいって。私宛の伝言、有ったんです」
私の魔力のみに反応する魔法伝言鏡。
見た目は只の手鏡で、魔族達の監視確認の目を逃れたらしい事を説明した。
「そう。『穏健派』処か『無関心派』まで粛正対象となると、その大魔王の地上界侵略の意気込みを感じるわね。では、その伝言を受け取って直ぐに魔界から帰ったのね?」
「長居する意味ないから…」
「この1週間の内のどれくらいが魔界?」
「えーと、数時間?あの、行きはともかく、帰りは故郷の村に近いトコだったし。アソコからは王都まで結構あるし」
「従魔を使って飛べたわよね。どれくらいかかるのかしら?」
だから、学院長。その笑みコワイ。
「…2日かな」
「うん、どう考えても4日程余計にかかってる気がするわね、ミルキィ。その間は?」
えと?学院長だけじゃなくて、みんなの目もコワイ。
クラリス?
涙目で睨むの、凄いコワイよ。
「故郷近くって素材の宝庫なんです」
てへペロ…、じゃダメか?
「ミルキィ?」
うわぁ。クラス全員が声を揃えてる!
…私は床に座らされて、クラス全員のお説教を数時間聞いた。
その、ごめんねー、みんな。
ちなみに、タラちゃんは、この間学院庭の街路樹で日向ぼっこしてたらしい。
…そこは一緒にお説教喰らうべきでしょー?
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
「挙国一致体制。確かに大魔王の強い意思を感じさせる」
ミルキィから魔界の状況を聞いた私は、直ぐに王宮へ連絡した。
国王陛下や宰相、近衛騎士団長に魔導師団長も直ぐに集まってくれ、私は応接室でミルキィより聞いた話をそのまま陛下達に伝えた。
「では、直ぐにも魔族の侵攻があるのでは」
「いえ。そうはならないと」
「ほう。ティオーリア、その根拠は?」
「大魔王レベッカへの疑念です」
これは、ミルキィの疑念の受け売り。
でも、私も納得できたのだ。
「レベッカが偽物?」
「ホンモノならば、穏健派への粛正等やらない。レベッカのカリスマ性ならば必要無い。ミルキィに伝言した魔族の言葉だそうです」
勇者伝説にも出て来るレベッカの、魔力もだけどカリスマ性が抜きん出ている事は、伝承に言われるだけの事もある筈と思われる。
「魔界を統一したからこそ大魔王を名乗っているとは思うのですが、それにしては伝説にもあるカリスマ性をあまり感じられないのです。また魔人族かと思える程の親人族性をみせていたレベッカが地上界侵攻や人族殲滅を言い出す心境の変化の原因。それがないらしくって」
「どう言う事だ?」
「レベッカが豹変する様な出来事が魔界で有った等聞いた事がないと。メッセージはその事を言及していたとミルキィが」
「フム。ミルキィの父の友人たるその魔族には、レベッカが心変わりするだけの事がなかったと見えた訳だ。となると大魔王だからといって、魔界全土に大号令をかけられるかは」
「怪しいでしょう。ならばこその粛正なのでは」
だとすると話が少し変わる。
より実力のある高位魔族は、あまり群れたがらないし、魔王の命令だからって従う訳でも無い。
無理にでも従わせるのは、やはり実力。
屈服させられるだけの実力がいる。
「粛正…、それに周りを従わせる為の方便としてレベッカの名を使った。成る程。なら魔族も決して一枚岩じゃないな。それにしても、コレだけの事がわかるとはね。童女が魔界に行った成果としては計り知れない功績だよ」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
15
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる