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夏期休暇頑張る
46. 製薬錬成、その結果…
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「これが、ミルキィの作り上げた『自白剤』か」
「ええ。無味無臭で無色透明。まるで魔力水です。本当に見事な出来栄えと言えましょう」
素材集めも結構難儀と聞いてはいたが…。
そう言えば、従魔が増えたと言っていたな。しかもランクSの。それに最高導師級の魔法使いとしての腕も持つ事が確認出来ていたな。
錬金術師ミルキィ。
「ティオーリア学院長。学院生の協力に感謝するよ」
「もったいないお言葉です、陛下」
王宮応接室。
此処にいるのは国王たる余と宰相、それにティオーリア。
初年度学院生という童女に、王宮の、いや大人の恥部とも呼べる事項を晒してまで頼んだモノ。
強力自白剤。
本来なら、素材からの抽出過程で甘い匂いが出来てしまう筈。それに色も。確か淡い紫色となってしまう為、混ぜ難い代物だと聞いていた。
だが、ミルキィが納品したこれは?
念の為、王宮鑑定士に見てもらった処、やはり効能1.3倍はある強力な物だとの事。その上で無味無臭に仕上げるとは?
「辺境伯の地でも野外に出かけては色々と錬成していた様ですね。職レベルもまた上がった様ですので」
学院長の元へは、ミルキィが夏期休暇中どの様に過ごしているか辺境伯家を通じて報告があったようだ。
「休暇中の学院生の状況を確認しているのかね、ティオーリア」
「彼女には申し訳ないのですがね。大賢者ティアナの記憶・知識に間違いが無ければ、解析消去の才を持つ者は1人しかいないので」
そう。
国王たる余の懸念もそこにある。
記録では解析消去の力を持つ者は古今1人しか確認されていない。だからミルキィが2人目というだけならば、何の問題もないのだが。
即位したとされる大魔王レベッカ。
前大魔王の娘で最高導師の力を持つ魔族。彼女の才こそが、その解析消去だと。
「ミルキィの氏素性はハッキリしています。両親の名や種族、それに誕生時の記録も辺鄙とは言え村に残っていました。彼女が人族生まれの魔人族MIXである事は間違いありません」
「そうだな。王宮鑑定士の診た彼女も魔人族MIXに間違いなく、職も『錬金術師』だった」
「ティオーリア、レベッカが魔人族へ転生したと言う記録は」
「有りません。確かに親人族派として名高く、勇者を陰ながら助けたとも言われてはいますが、前大魔王が斃されたのを見届けて、何処かへ去って行ったとしか母も覚えていないそうで」
大賢者ティアナが今、存命な訳ではない。
が、彼女はその膨大な知識と記憶を役立てられる様、自身の記憶をとある水晶柱に封じ込めた。学院長室の奥、ティオーリアしか入れない秘密の部屋に端座されていると。
「だが転生したとして、元の職レベルや才を持ち合わせているものなのか?持つものとして、新たな職を授かるものなのか?記録や伝承にきく転生と違う気もするのだ」
宰相の懸念も当然だろう。
前例が無さ過ぎるのだ。
「そもそも転生者が数居る訳でもないですし。ですが、元の職と才のままだというのが通例です。また転生者がMIXとなる事も聞いた事がありません」
「まぁ良い。あまり動くと彼女への詮索、気付かれるやもしれぬ。今、最悪の事態は彼女がこの国から離れる事じゃ」
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
私は再び王宮へ呼ばれた。
「よく来てくれた、ミルキィ。其方のお陰で王宮にて暗躍していた者を悉く逮捕拘禁する事が出来た。陛下含め、此処にいる王国中枢全てが其方に感謝したい」
「勿体ないお言葉です。私は王宮の求めに対し相応の薬を錬成したに過ぎません。どの様な薬であろうと、使う者の使い方で役に立つ事も無駄になる事もあると学院で学びました」
「そうじゃな。その意味では真に其方の錬成した薬は使い勝手が良かった。ならばこそ余も誓おう。あの様な薬を多用する事なく、また作らせる事も無き様にせねばな」
陛下は私の想いも汲んで下されたよー。
事情が事情だから、使われた事が発覚しない様にかなりの微調整かけて錬成した『自白剤』。その意味では大傑作とも言える代物が出来た。
だからと言って無闇に使いたがるのでは臣下を全く信用できない暗愚な王に成り下がってしまう。納品は1つの賭けでもあったんだー。
「年端も行かぬ其方に大人の恥部を晒す事、その片棒を担がせた事は余の不徳の致す限りじゃ。許せ」
私は黙って頷く。
「ミルキィ。此度、魔族の手先尖兵たる者は少なくなかったのだ。それも中枢にな」
「騎士団は事務方に」
「魔導師団も同様」
「宰相府の事務方もだ。これ程我が国の内情が魔族に筒抜けであったとは、この国の灯火は吹き消されかけておったも同然。まさに存亡の危機にいたと言っても過言では無い」
それは子供ながらでもわかる。
此処は何せ勇者アレクが打ち立てた国。
王族は、勇者直系の子孫だもん。魔族が恐れるのは勇者の血筋だから、王族王宮の動向、大魔王は注視すると思うよー。
「ならばこそ余は其方に最大限の感謝をしたいのだ、錬金術師ミルキィ」
「ええ。無味無臭で無色透明。まるで魔力水です。本当に見事な出来栄えと言えましょう」
素材集めも結構難儀と聞いてはいたが…。
そう言えば、従魔が増えたと言っていたな。しかもランクSの。それに最高導師級の魔法使いとしての腕も持つ事が確認出来ていたな。
錬金術師ミルキィ。
「ティオーリア学院長。学院生の協力に感謝するよ」
「もったいないお言葉です、陛下」
王宮応接室。
此処にいるのは国王たる余と宰相、それにティオーリア。
初年度学院生という童女に、王宮の、いや大人の恥部とも呼べる事項を晒してまで頼んだモノ。
強力自白剤。
本来なら、素材からの抽出過程で甘い匂いが出来てしまう筈。それに色も。確か淡い紫色となってしまう為、混ぜ難い代物だと聞いていた。
だが、ミルキィが納品したこれは?
念の為、王宮鑑定士に見てもらった処、やはり効能1.3倍はある強力な物だとの事。その上で無味無臭に仕上げるとは?
「辺境伯の地でも野外に出かけては色々と錬成していた様ですね。職レベルもまた上がった様ですので」
学院長の元へは、ミルキィが夏期休暇中どの様に過ごしているか辺境伯家を通じて報告があったようだ。
「休暇中の学院生の状況を確認しているのかね、ティオーリア」
「彼女には申し訳ないのですがね。大賢者ティアナの記憶・知識に間違いが無ければ、解析消去の才を持つ者は1人しかいないので」
そう。
国王たる余の懸念もそこにある。
記録では解析消去の力を持つ者は古今1人しか確認されていない。だからミルキィが2人目というだけならば、何の問題もないのだが。
即位したとされる大魔王レベッカ。
前大魔王の娘で最高導師の力を持つ魔族。彼女の才こそが、その解析消去だと。
「ミルキィの氏素性はハッキリしています。両親の名や種族、それに誕生時の記録も辺鄙とは言え村に残っていました。彼女が人族生まれの魔人族MIXである事は間違いありません」
「そうだな。王宮鑑定士の診た彼女も魔人族MIXに間違いなく、職も『錬金術師』だった」
「ティオーリア、レベッカが魔人族へ転生したと言う記録は」
「有りません。確かに親人族派として名高く、勇者を陰ながら助けたとも言われてはいますが、前大魔王が斃されたのを見届けて、何処かへ去って行ったとしか母も覚えていないそうで」
大賢者ティアナが今、存命な訳ではない。
が、彼女はその膨大な知識と記憶を役立てられる様、自身の記憶をとある水晶柱に封じ込めた。学院長室の奥、ティオーリアしか入れない秘密の部屋に端座されていると。
「だが転生したとして、元の職レベルや才を持ち合わせているものなのか?持つものとして、新たな職を授かるものなのか?記録や伝承にきく転生と違う気もするのだ」
宰相の懸念も当然だろう。
前例が無さ過ぎるのだ。
「そもそも転生者が数居る訳でもないですし。ですが、元の職と才のままだというのが通例です。また転生者がMIXとなる事も聞いた事がありません」
「まぁ良い。あまり動くと彼女への詮索、気付かれるやもしれぬ。今、最悪の事態は彼女がこの国から離れる事じゃ」
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私は再び王宮へ呼ばれた。
「よく来てくれた、ミルキィ。其方のお陰で王宮にて暗躍していた者を悉く逮捕拘禁する事が出来た。陛下含め、此処にいる王国中枢全てが其方に感謝したい」
「勿体ないお言葉です。私は王宮の求めに対し相応の薬を錬成したに過ぎません。どの様な薬であろうと、使う者の使い方で役に立つ事も無駄になる事もあると学院で学びました」
「そうじゃな。その意味では真に其方の錬成した薬は使い勝手が良かった。ならばこそ余も誓おう。あの様な薬を多用する事なく、また作らせる事も無き様にせねばな」
陛下は私の想いも汲んで下されたよー。
事情が事情だから、使われた事が発覚しない様にかなりの微調整かけて錬成した『自白剤』。その意味では大傑作とも言える代物が出来た。
だからと言って無闇に使いたがるのでは臣下を全く信用できない暗愚な王に成り下がってしまう。納品は1つの賭けでもあったんだー。
「年端も行かぬ其方に大人の恥部を晒す事、その片棒を担がせた事は余の不徳の致す限りじゃ。許せ」
私は黙って頷く。
「ミルキィ。此度、魔族の手先尖兵たる者は少なくなかったのだ。それも中枢にな」
「騎士団は事務方に」
「魔導師団も同様」
「宰相府の事務方もだ。これ程我が国の内情が魔族に筒抜けであったとは、この国の灯火は吹き消されかけておったも同然。まさに存亡の危機にいたと言っても過言では無い」
それは子供ながらでもわかる。
此処は何せ勇者アレクが打ち立てた国。
王族は、勇者直系の子孫だもん。魔族が恐れるのは勇者の血筋だから、王族王宮の動向、大魔王は注視すると思うよー。
「ならばこそ余は其方に最大限の感謝をしたいのだ、錬金術師ミルキィ」
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