銀の聖女と呼ばれた公爵令嬢が獣人に転生!今度も銀の聖女と呼ばれてしまいますが、私は只の冒険者です‼︎

ノデミチ

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獣人王国ゲゥドーン

17. これが神の奇跡なんだよ

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「さ、最高教会を攻めるとは罰当たりめ!主は血反吐を吐き、地獄の苦しみを味わって死ぬのだ」
「言いたい事はそれだけか?」

 腰を抜かして立てなくなっているゼネデギルア王国教会本部~最高教会の総司教が喚いている。

「『銀の聖女』につまらぬ嫉妬をし、挙句に奸計をもって彼女を貶め、処刑するとはな」
「ま、ま、待て。我々は教会から出れば良かったのだ。処刑に及んだはディル王子の、ギャアアア」

 人のせいにする。
 何処まで喚けば?煩くなったので、黙ってもらおうと剣先で軽く膝を小突いたのだが。

「ち、ち、血がぁあ!」
「それくらい治せるだろ?総司教猊下」
「た、た、助けてくれ!治療を‼︎」

 呆れてモノも言えない。
 総司教猊下ともあろう方が癒しヒールすら唱えられないとは?

「アンタ、どうやって総司教になったんだよ」

 そう言いながらも、ロランは応えを聞く気など毛頭無かった。耳障りな悲鳴を無くす為に、コイツの喉笛を剣で貫いたのだから。

「リーファ。復讐に動く俺を、君は『間違ってます』って止めるかな?」



 数日後。
 俺はリーファを、ウィルザード領の共同墓地に埋葬した。王子に婚約破棄され、最高教会より破門、処刑されたリーファをアディール公爵家は廃嫡した。にも関わらず公爵家は国家叛逆罪で取り潰され本家の者は全て処刑されたんだ。

 そして、最高教会を襲撃した俺もまた、国家叛逆罪だと王宮より発せられた。

「お館様」
「近衛騎団が此方へ向かって来ているとの事」
「よし。マイスダンガの丘で迎え撃つ」

 近衛騎団は2万の軍勢。対して我々は7千。
 だが、地の利は此方に有る。それに、門番立ちんぼだけの近衛騎団が、国境防衛や魔物討伐で鍛えに鍛えられたウィルザード伯騎士団に太刀打ち出来様筈がない。
 その意気込みでぶつかった『マイスダンガの戦い』は、狩りよりも容易く勝利出来た…。



 3ヶ月後。
 俺は新皇帝として即位し、ここにウィルザード帝国を建国する。リーファを処刑に追い込んだディル=ゼネデギルア王子は勿論、堕落しきったゼネデギルア王家を滅ぼし、実力主義の新帝国を打ち立てたのだ。

「この国の支配者になったよ、リーファ。今ならば君を妃にする事だって出来たものを」

 それは叶わぬ夢。
 皇統継続の為…、だけではないか。

 フィオナ=イングリス伯爵令嬢。

 私のリーファへの想いを知りつつ、それでも我が覇道を支えてくれた婚約者を皇妃に迎え、俺は帝国の発展に尽力した。

 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

「ようこそ、神の世界へ。ロラン=ウィルザード、君に選択肢をあげるよ。神として暮らすか、楽しいかもしれない2度目の生を生きるか。ね、どっちがいい?」
「楽しいかもしれない?」
「まぁ、何せやってみないとわかんない事もあってね。ほら、予定調和の人生なんてつまらないと思わないかい?」

 悪戯っぽい笑顔で問い掛けてくる少年。
 生命神フェーダって名乗っていたが…、フェーダって?

「あーっ、うん、失望させたかな。こんな感じだけどこれでも生命神なんだよ」
 何やら愉しげに笑う少年。
「で、どうする?」
「勿論、2度目の生で。まさか苦行三昧って事はなかろ?」
「あっははは。お望みならそれも有りだけどね。とは言え、順風満帆なだけってのも面白くはないだろ?」
「いや、他人の人生を面白くする必要なんかないだろが!」
「ま、そう言わず。山有り谷有りが生なんだって」

 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

「で、気が付いたら狼族獣人なワケ」
「私に合わせたの?それとも、私が彼に合うことにされたの?」

 どちらにしろ、フェーダ神のお節介。
 実は生命神ではなく悪戯神なんじゃないの?

「それは自由神ベリアガルドの領分だね」
 そう言いながら悪戯っぽく笑うフェーダ神しか思い浮かばないわ。

「まさか300年も経ってるなんて」

 そこ、306年だから。

「でも、また君と会えた。それに、今度は愛し合うのに何の支障も無いんだ」

 寧ろ同族獣人。番になるべき相手とさえ思えて。

 身体を拭いた後、互いの尻尾にブラッシング。
 獣人の、本当に心許す相手にしかさせない行為。
 勿論サラとはよくするけど、異性にさせたの初めてだから。

 こうして話し込み、触れ合っていると、彼がロランだって分かる。感じる。

「でも、ロンって呼べよ。流石に獣人がロランを名乗るのは色々面倒くさい事になりそうだし」

 ウィルザード帝国では、代々の皇帝しか名乗っていない。基本ミドルネームを通称として、即位或いは立太子の儀を経てロラン◯世って話になる。

「そうだね、ろ…ン」
「オイオイ。それと、そのレン?ロラン11世だっけ?会ってみたくなったな」

 ちょい複雑。
 レン様は、あの頃のロランと瓜二つって言える程始祖皇帝にそっくりなんだよ。

 後日、レン様と会ったロンは、
「俺って、かなりイケメンだったんだなぁ」
「何それ?」
「あの皇太子と、あの頃の俺は瓜二つなんだろ?うん、フィオナ以外にもモテたかもな」

 ウソばっかり。

 皇帝夫妻の仲睦まじさは、帝国で知らぬ者はいないって言える位。伝記は勿論、皇家裏話でも『馬鹿ップル』って記載されてるって。

「は?マジで?つーか、何だよ、その『皇家裏話』って」
「ロラン2世陛下の暴露本。余りにも神格化された始祖皇帝のありのままを語りたいって」
「アイツ、俺の死後、そんな事してたのかよ」

 しかもこの本、代々皇帝が『先代は◯◯だった』と言う続刊が出てる。ロランの子孫って、こんな軽さがあるんだよね。

「どういう事?」

 クスクス。
 水浴してスッキリしたところで、私はロンに抱かれて…、優しいキス。

「もう遠慮しねぇぞ」
「…うん」

 300年越しの夢が叶った。
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