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35. 櫻井慎吾の焦り〜②
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祐美ちゃん。
亀沢は、前原の事をそう呼んでた。
配達で親しいのか?
あの会話からだと、前原さんだけじゃない。彼女の父親とも親し気に話していた。
つまり、家族ぐるみで仲が良い?
実は親戚?いや、そんな筈ない。
中学校区は違うから、高校入学後からしか会って無い筈。数ヶ月でここまで親しくなってるっていうのか?
様々な疑念、そして焦り。
でも、あの亀沢が二股かける?あり得ない。確かに彼とは殆ど関わりがないが、それでも亀沢の不誠実な態度等見た事も聞いた事も無い。
困惑だけが、頭の中をぐるぐるして。
結局、その日はラーメンを食べる事が出来なかった。
翌、月曜日。
日直だった俺は、皆より早く来て日誌や生活記録帳を戸畑先生の所へ取りに来ていた。
「おはようございます、先生」
「おはようございます。今日も1日、元気に頑張ろうね」
とりあえず空元気。
モノを受け取ると教室へ戻る。
と、前原さんが登校していた。
「あ、おはよう、前原さん」
「おはようございます。櫻井君」
気まずいのは俺だけ…だよな。
とりあえず教室後ろの棚に、皆の生活記録帳を置いて、と。
「ね、櫻井君」
「うん?何、前原さん」
「昨日、昼前、ウチに来なかった?」
「え?」
「あの後ろ姿、櫻井君だと思ったのだけど」
「あ、その」
フフ。クスクス。
「もしかして、亀沢君の事、誤解してる?」
図星⁉︎ え?誤解⁉︎
「とっても親し気に見えたのかな?」
珍しい、悪戯っぽい笑み。
そこへ、何人かが教室へ入ってきて。
「「おっはよー!」」
「おはよー」
笑顔で返した前原さんは、こっちを向くと
『あ・と・で・ね』
口パクで、そう言った。
放課後。
日誌の取りまとめをしながら。
「に、2年前から?」
「まぁ、正確には1年10ヶ月ね。配送バイトとラーメン屋の看板娘。客としてもバイト帰りに来てるし、親しくなるには充分過ぎる時間だと思うわよ」
「だから、祐美ちゃん、と」
「今、お店でしか呼んで貰えてないけどね。私としては、学校でも呼んで欲しかったんだけど」
「成る程。委員長として、ちょいとした用事振ってんのも」
「頼み易い親しさがあるの、私にとっては。亀沢君は、うまくそれを感じさせずに対応してくれてる。ぼっちの自分を護りたいと思ってたのかしらね。でも、それが、今は意味合いが変わってしまった」
「金井の存在?」
「そ。文香が亀沢君にとって特別な存在になってしまったから」
「その、前原は亀沢の事…」
「うん。好き…だった。告るつもりでいた。もう、どうしようもないけどね。だから、櫻井君の告白を今は受け入れられない。亀沢君の事、好きになるのに2年近くかかってるのよ。同じ時間とは言わないけど、櫻井君の事、私は学級委員としてしか知らないもの」
亀沢が好きだから、俺がフラれた訳じゃなかったんだ。少し、ホッとした。
「だから『友達から始める』と」
「一目惚れって、納得出来なくて。私の何を知ってるの?見た目だけで口説かれたの?少なくとも櫻井君はそれだけじゃない、とは思ってるけどね。中学の時も、お店にいる時も、それはそれは告られたの。ゲームでもしてるの?そう思ってしまう位に。私の外見、男子にとっては、とても興味ある容姿みたいだけどね」
「まぁ、確かに」
「そういうの、全く気にしてなさそうだったのが亀沢君だったのよね。まぁ、彼は自分が女子と付き合える男だと更々思ってなかったみたいだけど。文香を泊めた時でさえ、そんな意識だったみたいよ。今のラブラブ振りが嘘みたい」
そんな風に感情的なキミも嘘みたいだと思う。
「わかった。これから俺という人間を色々曝け出すよ。色んな俺を見て欲しいし、わかって欲しい。そしてゆくゆくは…、そのつもりで前原さんに接するよ」
正直に、この想いをぶつけて行く。
そう思い、俺は日誌を持って職員室へ向かった。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
「ゴメンね、櫻井君。今、貴方に言った事は決して嘘じゃ無いけど…、でも、まだ、私の中の、亀沢君への想いを、消すつもりも無いの」
亀沢は、前原の事をそう呼んでた。
配達で親しいのか?
あの会話からだと、前原さんだけじゃない。彼女の父親とも親し気に話していた。
つまり、家族ぐるみで仲が良い?
実は親戚?いや、そんな筈ない。
中学校区は違うから、高校入学後からしか会って無い筈。数ヶ月でここまで親しくなってるっていうのか?
様々な疑念、そして焦り。
でも、あの亀沢が二股かける?あり得ない。確かに彼とは殆ど関わりがないが、それでも亀沢の不誠実な態度等見た事も聞いた事も無い。
困惑だけが、頭の中をぐるぐるして。
結局、その日はラーメンを食べる事が出来なかった。
翌、月曜日。
日直だった俺は、皆より早く来て日誌や生活記録帳を戸畑先生の所へ取りに来ていた。
「おはようございます、先生」
「おはようございます。今日も1日、元気に頑張ろうね」
とりあえず空元気。
モノを受け取ると教室へ戻る。
と、前原さんが登校していた。
「あ、おはよう、前原さん」
「おはようございます。櫻井君」
気まずいのは俺だけ…だよな。
とりあえず教室後ろの棚に、皆の生活記録帳を置いて、と。
「ね、櫻井君」
「うん?何、前原さん」
「昨日、昼前、ウチに来なかった?」
「え?」
「あの後ろ姿、櫻井君だと思ったのだけど」
「あ、その」
フフ。クスクス。
「もしかして、亀沢君の事、誤解してる?」
図星⁉︎ え?誤解⁉︎
「とっても親し気に見えたのかな?」
珍しい、悪戯っぽい笑み。
そこへ、何人かが教室へ入ってきて。
「「おっはよー!」」
「おはよー」
笑顔で返した前原さんは、こっちを向くと
『あ・と・で・ね』
口パクで、そう言った。
放課後。
日誌の取りまとめをしながら。
「に、2年前から?」
「まぁ、正確には1年10ヶ月ね。配送バイトとラーメン屋の看板娘。客としてもバイト帰りに来てるし、親しくなるには充分過ぎる時間だと思うわよ」
「だから、祐美ちゃん、と」
「今、お店でしか呼んで貰えてないけどね。私としては、学校でも呼んで欲しかったんだけど」
「成る程。委員長として、ちょいとした用事振ってんのも」
「頼み易い親しさがあるの、私にとっては。亀沢君は、うまくそれを感じさせずに対応してくれてる。ぼっちの自分を護りたいと思ってたのかしらね。でも、それが、今は意味合いが変わってしまった」
「金井の存在?」
「そ。文香が亀沢君にとって特別な存在になってしまったから」
「その、前原は亀沢の事…」
「うん。好き…だった。告るつもりでいた。もう、どうしようもないけどね。だから、櫻井君の告白を今は受け入れられない。亀沢君の事、好きになるのに2年近くかかってるのよ。同じ時間とは言わないけど、櫻井君の事、私は学級委員としてしか知らないもの」
亀沢が好きだから、俺がフラれた訳じゃなかったんだ。少し、ホッとした。
「だから『友達から始める』と」
「一目惚れって、納得出来なくて。私の何を知ってるの?見た目だけで口説かれたの?少なくとも櫻井君はそれだけじゃない、とは思ってるけどね。中学の時も、お店にいる時も、それはそれは告られたの。ゲームでもしてるの?そう思ってしまう位に。私の外見、男子にとっては、とても興味ある容姿みたいだけどね」
「まぁ、確かに」
「そういうの、全く気にしてなさそうだったのが亀沢君だったのよね。まぁ、彼は自分が女子と付き合える男だと更々思ってなかったみたいだけど。文香を泊めた時でさえ、そんな意識だったみたいよ。今のラブラブ振りが嘘みたい」
そんな風に感情的なキミも嘘みたいだと思う。
「わかった。これから俺という人間を色々曝け出すよ。色んな俺を見て欲しいし、わかって欲しい。そしてゆくゆくは…、そのつもりで前原さんに接するよ」
正直に、この想いをぶつけて行く。
そう思い、俺は日誌を持って職員室へ向かった。
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「ゴメンね、櫻井君。今、貴方に言った事は決して嘘じゃ無いけど…、でも、まだ、私の中の、亀沢君への想いを、消すつもりも無いの」
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