果てしなき宇宙の片隅で 序章 サラマンダー

緋熊熊五郎

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1-1 アラーム

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1-1 アラーム

緑なす美しい草原、
そよ風が花々をそっと揺らし、芳しい香りを、
そして軽やかな明るい歌声を運んでくる。
可愛らしいその声の持ち主は、
俺を見てにっと笑い、反対方向に駆けていく…
「待ってくれ、俺を置いて行かないでくれ、連れて行ってくれ、頼む! セイレーン!」
----------

漆黒の闇の中、ただただ、警告アラームだけが繰り返し鳴り響いている。身体が重くて、まだ動けない。やっとの思いで中腕を伸ばして、時計を光らせると、まだ25年しか経っていない。

「夢か… やけにリアルな…」

ちっ、俺は舌打ちして(実際には顎を鳴らして)、まだ動けないのでエミリーを呼んだ。エミリーはコールドスリープポッド(冷凍睡眠槽)から、軽々と俺を持ち上げて運び、コックピット(操縦席)に愛おしげにそっと置いた。

すぐに操縦席が反応し、さまざまな機器も呼応して息を吹き返し始める。全面スクリーンがオンになり、俺は自分が、宇宙にむき出しになっているような錯覚に陥る。

スクリーンには、無数の残骸が漂っている。この四次元連続体の物理法則に縛られないように、艦隊ごと亜空間フィールドで包んで、打ち出されたはずなのに、いつの間にかフィールドが分解してしまったようだ。

ようやく上腕が動かせるようになる。

「ひどいありさまね」

こんな時なのにエミリーは、俺の横顔を見ながら屈託なく笑う(これも実際には顎を鳴らして)。

そんなことにお構いなく、俺はセンサー群を調べる。あ~、半数以上の艦艇がやられちまったよ。

あの四肢のケダモノどもの仕業か。聞くところによると手足が四本しかないだけではない。緑ではなく、赤い血が流れているという。寿命が僅か百年にも満たないというのに、宇宙に進出してきて、俺たちの植民星の資源を奪おうとしている。

その時、スクリーンにフラグメントな金属物体が映し出された。あのケダモノの船ではない。あのケダモノのものならシンプルな流線形をしているはずだ。大気の濃い、重力井戸の底に住んでいるからだ。
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