地面師の肖像

第四話 裏切りの調停者

黒崎は、裏社会の情報屋・田島雄一郎と接触する。

煙草の煙が渦巻く薄暗いバーで、田島は金と情報が支配する裏社会のルールを語る。

「この世界ではな、正義なんてものは幻想だ。あるのは、ただ、力だけだ…。」

黒崎は、田島に九条の情報を求める。

「九条の過去について…何か知っていることはないか？」

田島は、ニヤリと笑う。

「ああ、知っていることはある…だが、タダで教えるほど、俺は甘くねぇんだよ。」

彼は、警察内部の汚職情報と引き換えに、九条の過去を明かす取引を持ちかける。

「お前も、正義だけじゃ生きていけないだろ？時には、汚い真実に目を瞑ることも必要なんだ…。」

黒崎は、己の正義と捜査の成功との間で葛藤する。

汚職を見逃すことは、彼の信念に反する。

「だが…九条を捕まえるためには…。」

黒崎は、苦渋の決断を下し、取引に応じる。

田島は、ゆっくりと口を開く。

「九条はなぁ…昔、家族を騙されて…全てを失ったんだ…。」

黒崎は、田島の言葉に、かすかな予感を感じる。

「全てを失った…だと…？」