地面師の肖像

第六話 交錯する思惑

玲奈は、黒崎の指示通り、九条と接触する。

九条は、玲奈の純粋な心に触れ、彼女に詐欺の手ほどきを始める。

「騙すんじゃない…信じさせるんだ…。」

九条の言葉は、玲奈の心に深く突き刺さる。

玲奈は、九条の卓越した技術と、冷徹なまでの思考に魅入られる。

それは、悪に対する、危険なまでの魅力だった。

しかし同時に、彼の孤独と悲しみにも気づき始めていた。

「九条さん…あなたは…本当は、悲しい人なのね…。」

九条は、玲奈の言葉に、わずかに表情を和らげる。

「俺は…ただ、あいつらを許せないだけだ…。」

黒崎は、玲奈を通して九条の行動を監視するが、二人の間に芽生える奇妙な絆に、複雑な感情を抱く。

正義を貫くためには、玲奈を利用しなければならない。

しかし、彼女の純粋な心を踏みにつけることに、黒崎はためらいを感じていた。

「俺は…一体、何をしているんだ…？」

正義と悪、希望と絶望。様々な感情が、黒崎の心を揺さぶる。