地面師の肖像

第九話 偽りの仮面

九条の前に、謎の老人が現れる。

老人は、別人になりすましていた九条の父親だった。

「京介…久しぶりだな…」

父親は、かつての詐欺事件で全てを失い、絶望の淵から這い上がろうとしていた。

息子である九条を陰ながら見守っていたのだ。

「父さん…どうして…？」

九条は、驚きと戸惑いを隠せない。

彼は、長い間、憎しみを心の支えにして生きてきた。

しかし、目の前にいる父親の姿は、彼の憎しみを揺るがすには十分だった。

父親は、九条に自らの正体を明かし、謝罪する。

「京介…お前を、こんな風にしたのは、私だ…許してくれ…。」

九条は、父親の言葉に、激しい怒りと、かすかな愛情を感じ取る。

「なぜ…あなたは生きていた…？」

父親は、九条に、復讐を止めるよう説得する。

「憎しみは、何も生まない…京介、お願いだ…もう、やめろ…私と一緒に、やり直そう…。」

しかし、九条の心には、未だ深い憎しみが渦巻いていた。

「父さん…俺は…まだ、あいつらを許せない…！特に…高田を…！あいつは…俺から全てを奪った…！」

九条の瞳には、憎しみの炎が燃え盛っていた。