25 / 98
実行
しおりを挟む
(彩明…。)
鬼からの行為のあと
アキはノートを読んだ。
(彩明。つらいところを
引き受けるために
ボクはうまれたんだ。
ボクの存在意義なんだ。
だからボクがやる。
それでボクの役目は
終わるだろう。
それでいい。
それでいいんだよ…)
アキはすでに
覚悟を決めていた。
(今は彩明に
話を合わせおいて
その時がきたら
完全に乗っ取って
ボクが実行する。
これで彩明の傷は
少ないはずだ。
だから、ごめん。
彩明…。)
ノートに返事を書く。
彩明…。わかったよ。
ボクが連れ出して
彩明と交代する。
その記念日に実行しよう。
ボクはその日に
消えるはず。
それでいいんだ。
ボクは彩明を助けるために
生まれたんだから。
彩明。幸せになってね。
朝、目覚めた彩明が
ノートを読む。
(アキ…ありがとう。
いっそのこと…
これでアキがいなくなれば
僕は普通に戻れる、なんて
酷いこと思ってしまって
ごめん。)
彩明は涙が止まらない。
1ヶ月間、ふたりは
計画を練り、明穂の口調や
いろんな情報を共有して
ノートの交換を繰り返し
いよいよ実行の日が来た。
いつになくあきを
優しく抱いたあと微睡む
彩人に話しかけるアキ。
「アヤトさん…
夢見ヶ丘公園に
連れていってくださらない?
…とても久しぶりでしょう?
今日は結婚記念日だから…」
「あき…明穂。
そうだな…
久しぶりに行こう。」
嬉しそうに
目を細める彩人。
アキに明穂の
お気に入りだった
ワンピースを着せ
横抱きにお姫様抱っこをし
地下の駐車場へ行く。
明穂を助手席に乗せ
キスをする。
アキは思わず涙を流した。
(こんなにも…こんなにも
明穂を愛している彩人。
なぜこんなことに
なってしまったのだろう…)
「なぜ泣いている?」
「…アヤトさん。
嬉しいのです。」
「…。行くぞ?」
「はい。」
彩人は運転席に座り
車を発車させた。
1時間くらい車を走らせると
くねくねとした山道に
はいった。
開け放した窓からは
潮の香りがしてくる。
崖の下は海。
(いよいよ時が来た…。)
彩明が内側から
叫んでる。
{アキ!!僕が!
僕がやるから!}
(彩明…。…ごめん。
ボクが最後までやる。
ごめんね。)
{アキ!!アキ!
アキ、アキ!!ア…………}
彩明の声を
遮断してアキは
シートベルトをはずし
運転している彩人の
手をそっと包む。
「明穂?」
「アヤトさん。
キスしていいですか?」
アキは彩人にキスをする。
「んっ…ん、んぅ…。
運転中だ…明穂。」
アキは離れて彩人の
髪に触れ微笑む。
彩人もアキに微笑み返す。
その時だった。
彩人は自ら海のほうへ
急ハンドルを切った。
車はガードレールを超え
海へと落ちていく。
「アヤトさんっ!!!!!」
「………あ…………やあ、き」
「!」
彩人は間違いなく
そう呟いた。
車が海に落ちる瞬間
彩人はアキ(彩明)を
腕の中にしっかりと
抱きしめ、できる限り
衝撃から守った。
それから開けていた
窓からアキ(彩明)を
押し出す。
車と共に海に
沈んでいく彩人は
微笑んでいるように見えた。
アキは気を失う寸前
このことを彩明に
伝えるべきか、悩んだ。
答えは出ることなく
意識を手放した。
遠くで救急車や
警察車両のサイレンが響く。
鬼からの行為のあと
アキはノートを読んだ。
(彩明。つらいところを
引き受けるために
ボクはうまれたんだ。
ボクの存在意義なんだ。
だからボクがやる。
それでボクの役目は
終わるだろう。
それでいい。
それでいいんだよ…)
アキはすでに
覚悟を決めていた。
(今は彩明に
話を合わせおいて
その時がきたら
完全に乗っ取って
ボクが実行する。
これで彩明の傷は
少ないはずだ。
だから、ごめん。
彩明…。)
ノートに返事を書く。
彩明…。わかったよ。
ボクが連れ出して
彩明と交代する。
その記念日に実行しよう。
ボクはその日に
消えるはず。
それでいいんだ。
ボクは彩明を助けるために
生まれたんだから。
彩明。幸せになってね。
朝、目覚めた彩明が
ノートを読む。
(アキ…ありがとう。
いっそのこと…
これでアキがいなくなれば
僕は普通に戻れる、なんて
酷いこと思ってしまって
ごめん。)
彩明は涙が止まらない。
1ヶ月間、ふたりは
計画を練り、明穂の口調や
いろんな情報を共有して
ノートの交換を繰り返し
いよいよ実行の日が来た。
いつになくあきを
優しく抱いたあと微睡む
彩人に話しかけるアキ。
「アヤトさん…
夢見ヶ丘公園に
連れていってくださらない?
…とても久しぶりでしょう?
今日は結婚記念日だから…」
「あき…明穂。
そうだな…
久しぶりに行こう。」
嬉しそうに
目を細める彩人。
アキに明穂の
お気に入りだった
ワンピースを着せ
横抱きにお姫様抱っこをし
地下の駐車場へ行く。
明穂を助手席に乗せ
キスをする。
アキは思わず涙を流した。
(こんなにも…こんなにも
明穂を愛している彩人。
なぜこんなことに
なってしまったのだろう…)
「なぜ泣いている?」
「…アヤトさん。
嬉しいのです。」
「…。行くぞ?」
「はい。」
彩人は運転席に座り
車を発車させた。
1時間くらい車を走らせると
くねくねとした山道に
はいった。
開け放した窓からは
潮の香りがしてくる。
崖の下は海。
(いよいよ時が来た…。)
彩明が内側から
叫んでる。
{アキ!!僕が!
僕がやるから!}
(彩明…。…ごめん。
ボクが最後までやる。
ごめんね。)
{アキ!!アキ!
アキ、アキ!!ア…………}
彩明の声を
遮断してアキは
シートベルトをはずし
運転している彩人の
手をそっと包む。
「明穂?」
「アヤトさん。
キスしていいですか?」
アキは彩人にキスをする。
「んっ…ん、んぅ…。
運転中だ…明穂。」
アキは離れて彩人の
髪に触れ微笑む。
彩人もアキに微笑み返す。
その時だった。
彩人は自ら海のほうへ
急ハンドルを切った。
車はガードレールを超え
海へと落ちていく。
「アヤトさんっ!!!!!」
「………あ…………やあ、き」
「!」
彩人は間違いなく
そう呟いた。
車が海に落ちる瞬間
彩人はアキ(彩明)を
腕の中にしっかりと
抱きしめ、できる限り
衝撃から守った。
それから開けていた
窓からアキ(彩明)を
押し出す。
車と共に海に
沈んでいく彩人は
微笑んでいるように見えた。
アキは気を失う寸前
このことを彩明に
伝えるべきか、悩んだ。
答えは出ることなく
意識を手放した。
遠くで救急車や
警察車両のサイレンが響く。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
14
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる