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前世が見せる夢
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彩明が目覚めて
2週間がたった。
まだ夢と現を行ったり来たり
していた彩明だったが
たくさん繋がれていた
点滴などが徐々に外れていき
右足のギブスを残すのみと
なるまで回復し
リハビリが始まっていた。
父、彩人の実家のほうから
弁護士だという人が来て
初めて父親が自殺だったことを
知らされ呆然とする彩明。
財産分与などの説明があったが
上の空で聞いていた。
とにかくにも彩人は彩明が
一生困らないぐらいの財産を
きちんと残してくれていた。
(ぼくは父親を殺そうとした。
その事実は変わらない…。)
彩明は眠れぬ日々を
過ごす中で少し眠ることができると
きまって夢を見ていた。
あたたかく微笑む男性が
自分を抱きしめて
愛してる、と、呟く。
時には顔中にキスの雨をふらせながら、
時には優しく涙を拭きながら
時には欲情した顔で
時には満面の笑顔で
時には涙を頬に伝わせ
時には蒼白な顔で…
自分を見ている。
そして夢の中ではわかっているのに
目覚めるとまったく
その顔を思い出せない。
(誰なんだろう…。
すごくあたたかくて切なくて…
幸せな気持ちになる。)
『…シュンだよ。』
自分の中から声がする。
彩明は一瞬
目をぎゅっと瞑った。
「………………アキ。
…やっぱりまだ、いたんだね。」
『彩明ごめん。
お前のお父さんの最期を
伝えたくて留まってしまった。
そしたら…前世を見たんだ。
彩明が寝ている間
ずっとボクは前世を体感してた。』
「じゃあ…あの人は。」
『うん。前世での恋人。』
「恋人?」
『うん。』
「ほんとのことなの?
前世なんて…信じられない。」
『ホントのことだよ!……………と、思う。』
「…アキ。話して聞かせて?」
『うん。ボクたちの前世の
あやあきと彼は
同じ日に生まれたんだよ…』
アキはすべてを話して聞かせる。
彩明はただただ
涙を流していた。
(そんなに愛し合える人が
いた前世の自分が羨ましい
とも思った。
本当にその恋人も今のこの世
同じ時代に
生まれ変わっているだろうか…。)
『…彩明。ボクはあの人を。
シュンを探したい。』
「探すってどうやって!?
それにアキが見た前世が
本当かどうかなんてわかんない!
本当だとしても
彼が今世また生まれてるとは
限らないよ…」
『約束したもん。
絶対に生まれてくれてる。
彩明、探して…お願い。
お願いだよ…。』
「探す、ったって…」
『おね…が…い……………』
「アキ?アキ!」
アキは出てこなくなってしまった。
2週間がたった。
まだ夢と現を行ったり来たり
していた彩明だったが
たくさん繋がれていた
点滴などが徐々に外れていき
右足のギブスを残すのみと
なるまで回復し
リハビリが始まっていた。
父、彩人の実家のほうから
弁護士だという人が来て
初めて父親が自殺だったことを
知らされ呆然とする彩明。
財産分与などの説明があったが
上の空で聞いていた。
とにかくにも彩人は彩明が
一生困らないぐらいの財産を
きちんと残してくれていた。
(ぼくは父親を殺そうとした。
その事実は変わらない…。)
彩明は眠れぬ日々を
過ごす中で少し眠ることができると
きまって夢を見ていた。
あたたかく微笑む男性が
自分を抱きしめて
愛してる、と、呟く。
時には顔中にキスの雨をふらせながら、
時には優しく涙を拭きながら
時には欲情した顔で
時には満面の笑顔で
時には涙を頬に伝わせ
時には蒼白な顔で…
自分を見ている。
そして夢の中ではわかっているのに
目覚めるとまったく
その顔を思い出せない。
(誰なんだろう…。
すごくあたたかくて切なくて…
幸せな気持ちになる。)
『…シュンだよ。』
自分の中から声がする。
彩明は一瞬
目をぎゅっと瞑った。
「………………アキ。
…やっぱりまだ、いたんだね。」
『彩明ごめん。
お前のお父さんの最期を
伝えたくて留まってしまった。
そしたら…前世を見たんだ。
彩明が寝ている間
ずっとボクは前世を体感してた。』
「じゃあ…あの人は。」
『うん。前世での恋人。』
「恋人?」
『うん。』
「ほんとのことなの?
前世なんて…信じられない。」
『ホントのことだよ!……………と、思う。』
「…アキ。話して聞かせて?」
『うん。ボクたちの前世の
あやあきと彼は
同じ日に生まれたんだよ…』
アキはすべてを話して聞かせる。
彩明はただただ
涙を流していた。
(そんなに愛し合える人が
いた前世の自分が羨ましい
とも思った。
本当にその恋人も今のこの世
同じ時代に
生まれ変わっているだろうか…。)
『…彩明。ボクはあの人を。
シュンを探したい。』
「探すってどうやって!?
それにアキが見た前世が
本当かどうかなんてわかんない!
本当だとしても
彼が今世また生まれてるとは
限らないよ…」
『約束したもん。
絶対に生まれてくれてる。
彩明、探して…お願い。
お願いだよ…。』
「探す、ったって…」
『おね…が…い……………』
「アキ?アキ!」
アキは出てこなくなってしまった。
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