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晴雨
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『いただきます。』
「いただきます!」
できあがったごはんを
向かい合って食べる。
「ん!美味しい…」
『だろ?ポトフ、あったまるな~
これ星斗が皮を剥いて
切ったじゃがいもとにんじんだ。』
コク、と頷き嬉しそうに微笑む星斗。
「栄醐と一緒に作って一緒に食べる。
なんて幸せなことなんだろう…。」
『星斗…。これからもいろいろ一緒にやろうな。』
「うん。ありがとう、栄醐。」
星斗は目を潤ませてまた
美味しい、と呟いた。
食事が終わり星斗が
後片付けをしている間
栄醐はソファで微睡む。
その時スマホが音をたてた。
『星斗!知らない番号から電話だ!
寛かも!出るよ。』
星斗は慌てて手を拭いて
栄醐のそばに駆けてきた。
『もしもし。……………。
もしもし!………………。寛、か?』
栄醐は通話をハンズフリーにする。
[…………たす、け…て…。]
「寛!」
[せい、と…ごめ、ん。
俺…。おれ…。やっぱ、り…
だま、され…て…………。]
『おい!お前どこにいるんだ?
大丈夫なのか?おい!』
[た…ぶん…虎家のじ、む、しょ………。
なぐ、られて………。]
『このまま、通話状態にして
おくんだぞ。助けてやるからな。
がんばれ!』
「寛っ!」
[充電が、も、つか、な…]
栄醐は家電で
天士へと電話をかけた。
『もしもし。天士?
例の子から電話が今かかってきて
虎家の事務所で
捕まってしまったみたいだ…。
うん、今はまだ繋がってる。
ただ充電があまりないらしい。
……………うん。うん…。
え?警察が?………うん、そうか…。
よろしく頼む。うん。』
「寛!寛…大丈夫?がんばって!」
[………せ、いと。ほん、とに
ご、め…な。お、れ…。
知らな、かっ…たんだ。
ご、め…ん………。]
「もう、そんなことは
いい、から。ねぇ、大丈夫?」
[お、れ…はつよ、いか、ら
だいじょ…………]
「寛?寛!寛!
…ぁぁあ!どうしよう!
栄醐!切れた!」
わぁぁ!と叫んで栄醐に
しがみつく星斗。
『星斗。大丈夫。今
警察が踏み込むところらしい。
天士が行ってくれてるから。
なんとかしてくれる。』
「天士さんっ…おね、がい………。
寛を助けて…。」
祈るように頽れる星斗。
栄醐は星斗を抱き込んで
ソファに座り星斗ごと
タオルケットにくるまった。
ぎゅっとタオルケットを握る
星斗の手を栄醐は優しく包む。
『大丈夫。大丈夫…。』
どれぐらいの時間そうしていただろう。
スマホが震えた。
『っ、天士!』
栄醐は画面に浮かび上がった
名前にドキリとしながら慌てて出る。
『もしもしっ。ああ。
………………うん。…うん。
そうか。………。天士ありがとう。
……………うん。よろしく頼む。』
「栄醐っ!どうなったの?寛は?」
『星斗。寛は保護された。
今、病院で傷の手当てをしている。
かなり殴られてて重症らしいが
命に別状はない。
虎家と周辺人物全部
一網打尽に逮捕したそうだ。
これで安心だよ。星斗。
寛も書類送検はされるかもしれないが
天士が尽力してくれるって。』
「ほ…んとに?………。ぁぁあ…
ほんとによかった…。栄醐っ!」
涙と冷や汗でぐしゃぐしゃの
星斗の顔を拭い抱きしめて
背中をあやすように撫でる。
『また天士が報告をくれるから。
とりあえずシャワーするか?
冷や汗で冷たくなってる。
星斗も…俺も。』
「栄醐…。まだ寛には
会えないよね…」
『そうだな…今すぐは無理そうだ。
天士がちゃんとしてくれる。』
「うん。………。栄醐震えて、る…。
シャワー行こう。」
ふたりはシャワールームで
熱い湯に打たれながら抱き合った。
「栄醐…。今日は僕が
髪を洗ってあげる。」
そう言うと星斗は栄醐を
椅子に座らせた。
シャンプーを泡立て洗ってゆく。
「栄醐の髪は栄醐とおんなじで
すごくしっかりとしてる…。
憧れる…。黒い髪。
僕はなんか色素が薄くて…」
『俺のほうこそ星斗みたいな
さらさらの茶色の髪に
すごく憧れがあるよ。……ふふ。
人間ってないものねだりなんだな。
さ、俺も洗ってやる。座って…』
シャワーから出て髪を乾かしあって
ふたりはやっとベッドで一息ついた。
「寛…大丈夫かな…。」
『うん…。ケガ、心配だな。
………星斗はもう…許して、る?』
「………。うん。寛も
騙されてたんだし…。
悪いのはアイツだ。」
『そうだね…。星斗おいで。』
栄醐はかけていた毛布を
あげて星斗を中に入れて包んだ。
「え…ご………。キス、して。」
『ん。……ぅっ…。せぃとぉ…っん…』
深く舌を絡ませてくる星斗。
舌をじゅっ、と吸われ栄醐は
身震いした。
「は…んっ…ん、んむぅ…。
栄醐…。栄醐…。」
『…っん…星斗。今日は
疲れただろう…。眠ろうか。』
「栄醐…。眠るまで抱いてて…」
「もちろん。」
やがてスースーと寝息をたて始めた
星斗の寝顔を見て安堵した
栄醐は目をつむった。
朝目覚めると腕の中に
星斗がいないのに気づき
焦って起き上がる栄醐。
キッチンからいい香りがする。
急いでキッチンに向かうと元気な
星斗の声。
「あ、栄醐おはよ!
昨日のポトフあっためたよ。
食べるでしょ?」
『星斗…。ああ。食べる。』
んふふ、と笑いテーブルに
運んでくる星斗にみとれる栄醐。
『星斗めちゃめちゃ可愛いなぁ…。
エプロン買わなきゃな!
あ、裸にエプロンとかやって!』
「んなっ!ちょっと栄醐!
なななな、に言ってんの!もう…」
頬を赤らめてガチャンと皿を置く
星斗に笑いかけ栄醐は
幸せを噛みしめた。
「いただきます!」
できあがったごはんを
向かい合って食べる。
「ん!美味しい…」
『だろ?ポトフ、あったまるな~
これ星斗が皮を剥いて
切ったじゃがいもとにんじんだ。』
コク、と頷き嬉しそうに微笑む星斗。
「栄醐と一緒に作って一緒に食べる。
なんて幸せなことなんだろう…。」
『星斗…。これからもいろいろ一緒にやろうな。』
「うん。ありがとう、栄醐。」
星斗は目を潤ませてまた
美味しい、と呟いた。
食事が終わり星斗が
後片付けをしている間
栄醐はソファで微睡む。
その時スマホが音をたてた。
『星斗!知らない番号から電話だ!
寛かも!出るよ。』
星斗は慌てて手を拭いて
栄醐のそばに駆けてきた。
『もしもし。……………。
もしもし!………………。寛、か?』
栄醐は通話をハンズフリーにする。
[…………たす、け…て…。]
「寛!」
[せい、と…ごめ、ん。
俺…。おれ…。やっぱ、り…
だま、され…て…………。]
『おい!お前どこにいるんだ?
大丈夫なのか?おい!』
[た…ぶん…虎家のじ、む、しょ………。
なぐ、られて………。]
『このまま、通話状態にして
おくんだぞ。助けてやるからな。
がんばれ!』
「寛っ!」
[充電が、も、つか、な…]
栄醐は家電で
天士へと電話をかけた。
『もしもし。天士?
例の子から電話が今かかってきて
虎家の事務所で
捕まってしまったみたいだ…。
うん、今はまだ繋がってる。
ただ充電があまりないらしい。
……………うん。うん…。
え?警察が?………うん、そうか…。
よろしく頼む。うん。』
「寛!寛…大丈夫?がんばって!」
[………せ、いと。ほん、とに
ご、め…な。お、れ…。
知らな、かっ…たんだ。
ご、め…ん………。]
「もう、そんなことは
いい、から。ねぇ、大丈夫?」
[お、れ…はつよ、いか、ら
だいじょ…………]
「寛?寛!寛!
…ぁぁあ!どうしよう!
栄醐!切れた!」
わぁぁ!と叫んで栄醐に
しがみつく星斗。
『星斗。大丈夫。今
警察が踏み込むところらしい。
天士が行ってくれてるから。
なんとかしてくれる。』
「天士さんっ…おね、がい………。
寛を助けて…。」
祈るように頽れる星斗。
栄醐は星斗を抱き込んで
ソファに座り星斗ごと
タオルケットにくるまった。
ぎゅっとタオルケットを握る
星斗の手を栄醐は優しく包む。
『大丈夫。大丈夫…。』
どれぐらいの時間そうしていただろう。
スマホが震えた。
『っ、天士!』
栄醐は画面に浮かび上がった
名前にドキリとしながら慌てて出る。
『もしもしっ。ああ。
………………うん。…うん。
そうか。………。天士ありがとう。
……………うん。よろしく頼む。』
「栄醐っ!どうなったの?寛は?」
『星斗。寛は保護された。
今、病院で傷の手当てをしている。
かなり殴られてて重症らしいが
命に別状はない。
虎家と周辺人物全部
一網打尽に逮捕したそうだ。
これで安心だよ。星斗。
寛も書類送検はされるかもしれないが
天士が尽力してくれるって。』
「ほ…んとに?………。ぁぁあ…
ほんとによかった…。栄醐っ!」
涙と冷や汗でぐしゃぐしゃの
星斗の顔を拭い抱きしめて
背中をあやすように撫でる。
『また天士が報告をくれるから。
とりあえずシャワーするか?
冷や汗で冷たくなってる。
星斗も…俺も。』
「栄醐…。まだ寛には
会えないよね…」
『そうだな…今すぐは無理そうだ。
天士がちゃんとしてくれる。』
「うん。………。栄醐震えて、る…。
シャワー行こう。」
ふたりはシャワールームで
熱い湯に打たれながら抱き合った。
「栄醐…。今日は僕が
髪を洗ってあげる。」
そう言うと星斗は栄醐を
椅子に座らせた。
シャンプーを泡立て洗ってゆく。
「栄醐の髪は栄醐とおんなじで
すごくしっかりとしてる…。
憧れる…。黒い髪。
僕はなんか色素が薄くて…」
『俺のほうこそ星斗みたいな
さらさらの茶色の髪に
すごく憧れがあるよ。……ふふ。
人間ってないものねだりなんだな。
さ、俺も洗ってやる。座って…』
シャワーから出て髪を乾かしあって
ふたりはやっとベッドで一息ついた。
「寛…大丈夫かな…。」
『うん…。ケガ、心配だな。
………星斗はもう…許して、る?』
「………。うん。寛も
騙されてたんだし…。
悪いのはアイツだ。」
『そうだね…。星斗おいで。』
栄醐はかけていた毛布を
あげて星斗を中に入れて包んだ。
「え…ご………。キス、して。」
『ん。……ぅっ…。せぃとぉ…っん…』
深く舌を絡ませてくる星斗。
舌をじゅっ、と吸われ栄醐は
身震いした。
「は…んっ…ん、んむぅ…。
栄醐…。栄醐…。」
『…っん…星斗。今日は
疲れただろう…。眠ろうか。』
「栄醐…。眠るまで抱いてて…」
「もちろん。」
やがてスースーと寝息をたて始めた
星斗の寝顔を見て安堵した
栄醐は目をつむった。
朝目覚めると腕の中に
星斗がいないのに気づき
焦って起き上がる栄醐。
キッチンからいい香りがする。
急いでキッチンに向かうと元気な
星斗の声。
「あ、栄醐おはよ!
昨日のポトフあっためたよ。
食べるでしょ?」
『星斗…。ああ。食べる。』
んふふ、と笑いテーブルに
運んでくる星斗にみとれる栄醐。
『星斗めちゃめちゃ可愛いなぁ…。
エプロン買わなきゃな!
あ、裸にエプロンとかやって!』
「んなっ!ちょっと栄醐!
なななな、に言ってんの!もう…」
頬を赤らめてガチャンと皿を置く
星斗に笑いかけ栄醐は
幸せを噛みしめた。
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