48 / 130
夜から夜明けまで 第四十八話
しおりを挟む
その真白き美貌は漆黒の夜空を貫く月の輝きを放ち、夜の闇に浮かぶ。
剣の間合いではないが、元より魔道を扱うフェイフゥーの死体にとって距離は意味をなさない。
フェイフゥーの死体は、無数の黒い糸を夜の闇へ向かって放つ。
その様を見て、シックスフィンガーは黒い蜘蛛のようだと思った。
黒い糸はもちろん黒砂蟲でできており、金属の強度と絹糸のしなやかさを持つ。
シックスフィンガーは視界を一時失ったため、一拍遅れている。
けれど、身を守るつもりであれば十分な時間があったはずだ。
シックスフィンガーは、自分の身を守るという選択を行わなかった。
全身を襲う黒糸に、身を晒す。
先端がレイピアの刃のような鋭さを持つ黒糸がシックスフィンガーの身体に届くその瞬間、彼は水晶人形を自身の制御から解き放っていた。
人形は操りの糸から切り離され、内部に刻み込まれた魔法式によって自律的に動き出す。
人形は二本ある不可視の剣を、高速で回転させ透明のトルネードとなっていた。
触れるものを、粉微塵に切り刻む暴虐の旋風が、フェイフゥーの死体へ襲いかかる。
水晶人形の剣は、フェイフゥーの死体を挽き肉へと変えていた。
骨すら陶器をハンマーで微塵に砕くように、粉砕してゆく。
赤い血と肉が、夜の闇に撒き散らされる。
シックスフィンガーはその様を見届け、満足げに頷いたがその時には黒糸が彼の心臓を八方から貫いていた。
シックスフィンガーは死に飲み込まれつつも、自身が放った水晶人形が内部に刻み込まれた魔法式に基づいて次のアクションを取るの見て、満足げに微笑む。
透明の刃を持つ暴虐のトルネードは、今度はシックスフィンガーの死体へ襲いかかった。
夜空の上から、鴉がその様を見ている。
シックスフィンガーは自分の身体が、甦って動き出す前に破壊するつもりだ。
かつてフェイフゥーであった鴉は、その様を見届けようと少し高度を下げる。
その時鴉は、ほうと感嘆の鳴き声をあげた。
黒砂蟲でできた糸が、自律的な運動を行い黒い繭のようにシックスフィンガーの死体を包んだのだ。
つまり死体は何が起こるのかを予測して、黒砂蟲の糸に魔法式を刻んでいたらしい。
間違いなく、死体を操る何者かは進化していた。
最初にフェイフゥーと、出会った時よりも。
水晶人形の剣は、巨大な黒い繭にぶつかり火花をあげる。
闇の中に深紅の花が咲くように、何度か凄烈な火花があがった。
しかし少しづつ黒い糸は、水晶人形を絡めとってゆく。
ついには、透明の人形が動きをとめる。
鴉は、再び上昇した。
水晶人形を解呪し、支配下におくまでもうしばらく時間がかかるはずである。
鴉は、キエフの砦を目指し夜の闇へ消えた。
剣の間合いではないが、元より魔道を扱うフェイフゥーの死体にとって距離は意味をなさない。
フェイフゥーの死体は、無数の黒い糸を夜の闇へ向かって放つ。
その様を見て、シックスフィンガーは黒い蜘蛛のようだと思った。
黒い糸はもちろん黒砂蟲でできており、金属の強度と絹糸のしなやかさを持つ。
シックスフィンガーは視界を一時失ったため、一拍遅れている。
けれど、身を守るつもりであれば十分な時間があったはずだ。
シックスフィンガーは、自分の身を守るという選択を行わなかった。
全身を襲う黒糸に、身を晒す。
先端がレイピアの刃のような鋭さを持つ黒糸がシックスフィンガーの身体に届くその瞬間、彼は水晶人形を自身の制御から解き放っていた。
人形は操りの糸から切り離され、内部に刻み込まれた魔法式によって自律的に動き出す。
人形は二本ある不可視の剣を、高速で回転させ透明のトルネードとなっていた。
触れるものを、粉微塵に切り刻む暴虐の旋風が、フェイフゥーの死体へ襲いかかる。
水晶人形の剣は、フェイフゥーの死体を挽き肉へと変えていた。
骨すら陶器をハンマーで微塵に砕くように、粉砕してゆく。
赤い血と肉が、夜の闇に撒き散らされる。
シックスフィンガーはその様を見届け、満足げに頷いたがその時には黒糸が彼の心臓を八方から貫いていた。
シックスフィンガーは死に飲み込まれつつも、自身が放った水晶人形が内部に刻み込まれた魔法式に基づいて次のアクションを取るの見て、満足げに微笑む。
透明の刃を持つ暴虐のトルネードは、今度はシックスフィンガーの死体へ襲いかかった。
夜空の上から、鴉がその様を見ている。
シックスフィンガーは自分の身体が、甦って動き出す前に破壊するつもりだ。
かつてフェイフゥーであった鴉は、その様を見届けようと少し高度を下げる。
その時鴉は、ほうと感嘆の鳴き声をあげた。
黒砂蟲でできた糸が、自律的な運動を行い黒い繭のようにシックスフィンガーの死体を包んだのだ。
つまり死体は何が起こるのかを予測して、黒砂蟲の糸に魔法式を刻んでいたらしい。
間違いなく、死体を操る何者かは進化していた。
最初にフェイフゥーと、出会った時よりも。
水晶人形の剣は、巨大な黒い繭にぶつかり火花をあげる。
闇の中に深紅の花が咲くように、何度か凄烈な火花があがった。
しかし少しづつ黒い糸は、水晶人形を絡めとってゆく。
ついには、透明の人形が動きをとめる。
鴉は、再び上昇した。
水晶人形を解呪し、支配下におくまでもうしばらく時間がかかるはずである。
鴉は、キエフの砦を目指し夜の闇へ消えた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る
ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。
異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。
一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。
娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。
そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。
異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。
娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。
そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。
3人と1匹の冒険が、今始まる。
※小説家になろうでも投稿しています
※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!
よろしくお願いします!
爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。
秋田ノ介
ファンタジー
88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。
異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。
その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。
飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。
完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる