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第十二話
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漆黒の地下に広がる、銀色の星々。その煌めく銀河が広がる、地底の宇宙の中に浮かぶプラットホーム。メイ・ローランは金色の単眼に見下ろされながら、暗黒の天使のような少年にいった。
「わたしとあなたで、デジタル・ダイブをするっていってるの?」
ブラックソルは昏く輝く瞳を、メイに向けて答える。
「そのとおりだ」
「無理よ。シンクロが成功する可能性は、ほとんどないわ」
ブラックソルは獲物を追いつめる獣の笑みを見せ、言った。
「あんたとおれが、兄妹だったとしてもか?」
メイは息を呑んだ。
「どういう事?」
「おれの父親は、ジェイ・ローラン。あんたの父親と同じ男だ。おれは惑星マルスで、あんたの母親とは別の女を母親として生まれた。いや、おれたちは、というべきだろうな」
「おれたち?」
「ついてこいよ」
そういうと、ブラックソルは棺に向かってあるき出す。漆黒の棺に接続された端末が、聖壇に灯された火のように鈍い光を放っている。棺に接続されたケーブルは、棺を大地に繋ぎとめる為の根のようだ。
ブラックソルは、無造作に棺の蓋をあける。巨人達の黄金と青色の眼差しに、蒼ざめた肌の死体が晒された。それは眠れる天使のように美しい、全裸の少女の死体である。それは巨人達の眼差しの下で手折られた白い花のように、儚げに見えた。
「これは……」
メイは、絶句した。これはわたしの死体? といいそうになった為だ。眩惑が生じていた。自分の魂は肉体を遊離して漂っており、本当の自分は死体として棺の中に横たわっているような気がする。まるで、自分の死がリアルな現実のように、記憶の中に甦った。ここは、もしかすると、冥界?そして目の前の漆黒の少年は、冥界の使者?
ブラックソルの瞳は、手負いの獣のように狂おしげに輝いている。
「紹介しよう。あんたとおれの姉、リンダ・ローラン。改めて名乗らせてもらうと、おれはガイ・ローラン」
メイは、宙に浮いているような眩暈をこらえつつ、ブラックソルを見つめる。
「リンダとおれは双子として生まれた。リンダはおれの唯一の肉親であり、恋人であり、おれ自身の一部であり、おれはリンダの一部だ。おれはリンダを取り戻さねばならない」
メイは、ブラックソルの言葉を自分と双子の姉、メイとに置き換えてみる。ブラックソルのいうことは、痛い程よく判った。
「じゃあ、あなたは、ユグドラシルを作動させて、死人を生き返らせようとしているの?」
「そうだ。地球帝国はかつて部分的にユグドラシルを作動させ、エントロピーの逆転が発生する事を確認している。ここでは、生体の中の時間軸が逆転し、老いた者は若返り、死んだものが生き返る。むろん、帝国軍がそこまでの実験を成功させた訳ではない。しかし、おれとあんたが、完全にダイブに成功すれば、死者をこの世に呼び戻す事も可能だ」
メイは、横たわる死者と同じくらい蒼ざめた顔で言った。
「断ったらどうする気?」
「人格矯正システムを使うよ。しかし、シンクロ率が低下する恐れがあるのと、あんたの能力が著しく低下する危険性がある。それでもあんたが、拒否すればしかたないだろうな」
人格矯正システムはパーソナリティーとそれに付随した記憶を破壊し、ある一定のプログラムにそった人格を作り直す洗脳機械である。人格矯正システムを使用されるという事は、メイにとって死ぬことと、等しい。
「協力したらどうなるの?」
「あんたの世界に、帰ってもらう。相応の謝礼はするよ」
メイは、不安げにブラックソルを見つめる。
「考える時間を、頂戴」
ブラックソルは凶天使のように、笑った。
「二十四時間待とう。それ以上は、だめだ」
「わたしとあなたで、デジタル・ダイブをするっていってるの?」
ブラックソルは昏く輝く瞳を、メイに向けて答える。
「そのとおりだ」
「無理よ。シンクロが成功する可能性は、ほとんどないわ」
ブラックソルは獲物を追いつめる獣の笑みを見せ、言った。
「あんたとおれが、兄妹だったとしてもか?」
メイは息を呑んだ。
「どういう事?」
「おれの父親は、ジェイ・ローラン。あんたの父親と同じ男だ。おれは惑星マルスで、あんたの母親とは別の女を母親として生まれた。いや、おれたちは、というべきだろうな」
「おれたち?」
「ついてこいよ」
そういうと、ブラックソルは棺に向かってあるき出す。漆黒の棺に接続された端末が、聖壇に灯された火のように鈍い光を放っている。棺に接続されたケーブルは、棺を大地に繋ぎとめる為の根のようだ。
ブラックソルは、無造作に棺の蓋をあける。巨人達の黄金と青色の眼差しに、蒼ざめた肌の死体が晒された。それは眠れる天使のように美しい、全裸の少女の死体である。それは巨人達の眼差しの下で手折られた白い花のように、儚げに見えた。
「これは……」
メイは、絶句した。これはわたしの死体? といいそうになった為だ。眩惑が生じていた。自分の魂は肉体を遊離して漂っており、本当の自分は死体として棺の中に横たわっているような気がする。まるで、自分の死がリアルな現実のように、記憶の中に甦った。ここは、もしかすると、冥界?そして目の前の漆黒の少年は、冥界の使者?
ブラックソルの瞳は、手負いの獣のように狂おしげに輝いている。
「紹介しよう。あんたとおれの姉、リンダ・ローラン。改めて名乗らせてもらうと、おれはガイ・ローラン」
メイは、宙に浮いているような眩暈をこらえつつ、ブラックソルを見つめる。
「リンダとおれは双子として生まれた。リンダはおれの唯一の肉親であり、恋人であり、おれ自身の一部であり、おれはリンダの一部だ。おれはリンダを取り戻さねばならない」
メイは、ブラックソルの言葉を自分と双子の姉、メイとに置き換えてみる。ブラックソルのいうことは、痛い程よく判った。
「じゃあ、あなたは、ユグドラシルを作動させて、死人を生き返らせようとしているの?」
「そうだ。地球帝国はかつて部分的にユグドラシルを作動させ、エントロピーの逆転が発生する事を確認している。ここでは、生体の中の時間軸が逆転し、老いた者は若返り、死んだものが生き返る。むろん、帝国軍がそこまでの実験を成功させた訳ではない。しかし、おれとあんたが、完全にダイブに成功すれば、死者をこの世に呼び戻す事も可能だ」
メイは、横たわる死者と同じくらい蒼ざめた顔で言った。
「断ったらどうする気?」
「人格矯正システムを使うよ。しかし、シンクロ率が低下する恐れがあるのと、あんたの能力が著しく低下する危険性がある。それでもあんたが、拒否すればしかたないだろうな」
人格矯正システムはパーソナリティーとそれに付随した記憶を破壊し、ある一定のプログラムにそった人格を作り直す洗脳機械である。人格矯正システムを使用されるという事は、メイにとって死ぬことと、等しい。
「協力したらどうなるの?」
「あんたの世界に、帰ってもらう。相応の謝礼はするよ」
メイは、不安げにブラックソルを見つめる。
「考える時間を、頂戴」
ブラックソルは凶天使のように、笑った。
「二十四時間待とう。それ以上は、だめだ」
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