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聖愚者の旅立ち 04-23
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「さすが、わたしの計算は完璧だね」
スクルドが、とても上機嫌な声を出す。
パルシファルは、見事に連邦艦隊とテラ艦隊の中間地点に出現していた。
「ああ、そうだな」
フランツが、投げやりな声で応える。
フランツの両手は、ヴァーチャルコンソールの上でツイストを踊っているように素速く動き続けていた。
ヴェルザンディが、声をあげる。
「本艦は、攻撃を受けています」
ああ? というようにフランツは一瞬目をあげたが、すぐに興味を失いコンソールに集中する。
「岩盤の表面に、ビーム砲を打ち込まれたんだろ。ほうっておくといいよ。岩盤を砕くには、エインヘリアルクラスを
持ってこないとだめだね」
相変わらず、フランツは投げやりな調子だ。
ロキが、困惑したような声をだす。
「フランツ君、確かに連邦艦隊の攻撃は無意味だが、こちらも攻撃する術がなさそうなんだが」
フランツが、一瞬だけロキを見るとすぐにコンソールへ視線を戻す。
「ああ、いいところに気がつきましたね」
むう、とロキは唸った。
「それで、これから我々はどうする? このまま連邦艦隊に突っ込むか」
フランツは少しだけ皮肉な笑みを、口元に浮かべた。
「まさかと思いますが、王陛下。あなた何の考えもなく、カイザー・ヒューゲルごと宇宙に飛び出したんですか」
ロキは、真面目に応える。
「もちろん、考えがある」
フランツは、ちょっと驚いたという顔をした。
「へえ、じゃあその考えを聞かせてくださいよ」
ロキは、落ち着いた声で堂々と応えた。
「フランツ博士がなにか考えるだろうというのが、おれの考えだ」
フランツは、乾いた笑い声をあげる。
「王陛下のあつい信頼を受けて、僕は光栄の極みですよ」
ほぼ棒読みの口調で、フランツは応えた。
そういっている間にも、独立した生き物のようにフランツの手は踊りづけている。
突然、フランツの周りにいくつものウインドウが起動し、なんらかのアプリケーションが起動を開始したらしいメッセージが流れだす。
フランツは、小さくガッツポーズを握った。
「では、これからパルシファルを包むカイザー・ヒューゲルを破壊します」
フランツの宣言に、ロキは驚いた顔をする。
「どうやるんだ、核ミサイルでも使うのか?」
フランツは、げんなりして応える。
「パルシファルごと自殺するのがお好みなら、そうしますよ」
フランツは、ヴェルザンディのほうを向くと指示をだす。
「エネルギーを超空間振動装置へまわしてくれ」
「ラジャーです、フランツ博士」
ヴェルザンディのまわりで、ウインドウが起動してゆく。
「スクルド、次元口をテラとの間に出現させる。潮汐力が、ロッシュ限界を超える次元口の大きさを計算してくれ」
スクルドは、にんまりと笑みを浮かべる。
「答え合わせなら、もうやってあるよ。博士の計算は、ばっちりだね」
「わかった、じゃあ超空間振動で空間を圧縮、テラと重力場を接続する。プログラム、エクスキュート」
ヴェルザンディが、頷いた。
「超空間振動プログラム、エクスキュート」
ずん、と振動がパルシファルの艦体を揺さぶった。
その後に続いて、地震のような振動がはじまる。
「おい、どういうことか説明してくれ」
ロキの言葉に、フランツは少し笑みを浮かべる。
「僕は、天才ということです」
「いや、それは知ってる」
ロキは、憮然とした顔になった。
フランツは、少し愉快そうに笑う。
「テラと本艦の間に空間の歪みをつくり出して、テラの引力をカイザー・ヒューゲルに作用させてます。テラの引力を使って、岩盤を砕きます」
「なるほどな」
ロキが頷くのをみて、フランツは驚きの声をあげた。
「今の説明で、判るんですか?」
ロキは、まじめな顔でもう一度頷いた。
「説明してもらったところで、パルシファルは理解を超えているということが判った」
「なるほど」
フランツは微笑みながら、頷く。
そうこうしているうちに、振動はさらに大きなものになっていく。
フランツの座るリニアシートも地震のただなかにあるように、ぐらぐらと揺れていた。
フランツは満足げに頷き、全天周スクリーンの天頂に目を向ける。
ブリッジは、岩盤が軋むごごっという音に満たされていた。
ヴェルザンディの声が、轟音を貫いて響く。
「カイザー・ヒューゲルが、ロッシュ限界を超えます」
フランツは、ぱちりと指を鳴らすと真上を指さす。
その瞬間、神話に語られる情景がごとく岩盤の空が砕け輝く星の海が姿を現しはじめた。
スクルドが、とても上機嫌な声を出す。
パルシファルは、見事に連邦艦隊とテラ艦隊の中間地点に出現していた。
「ああ、そうだな」
フランツが、投げやりな声で応える。
フランツの両手は、ヴァーチャルコンソールの上でツイストを踊っているように素速く動き続けていた。
ヴェルザンディが、声をあげる。
「本艦は、攻撃を受けています」
ああ? というようにフランツは一瞬目をあげたが、すぐに興味を失いコンソールに集中する。
「岩盤の表面に、ビーム砲を打ち込まれたんだろ。ほうっておくといいよ。岩盤を砕くには、エインヘリアルクラスを
持ってこないとだめだね」
相変わらず、フランツは投げやりな調子だ。
ロキが、困惑したような声をだす。
「フランツ君、確かに連邦艦隊の攻撃は無意味だが、こちらも攻撃する術がなさそうなんだが」
フランツが、一瞬だけロキを見るとすぐにコンソールへ視線を戻す。
「ああ、いいところに気がつきましたね」
むう、とロキは唸った。
「それで、これから我々はどうする? このまま連邦艦隊に突っ込むか」
フランツは少しだけ皮肉な笑みを、口元に浮かべた。
「まさかと思いますが、王陛下。あなた何の考えもなく、カイザー・ヒューゲルごと宇宙に飛び出したんですか」
ロキは、真面目に応える。
「もちろん、考えがある」
フランツは、ちょっと驚いたという顔をした。
「へえ、じゃあその考えを聞かせてくださいよ」
ロキは、落ち着いた声で堂々と応えた。
「フランツ博士がなにか考えるだろうというのが、おれの考えだ」
フランツは、乾いた笑い声をあげる。
「王陛下のあつい信頼を受けて、僕は光栄の極みですよ」
ほぼ棒読みの口調で、フランツは応えた。
そういっている間にも、独立した生き物のようにフランツの手は踊りづけている。
突然、フランツの周りにいくつものウインドウが起動し、なんらかのアプリケーションが起動を開始したらしいメッセージが流れだす。
フランツは、小さくガッツポーズを握った。
「では、これからパルシファルを包むカイザー・ヒューゲルを破壊します」
フランツの宣言に、ロキは驚いた顔をする。
「どうやるんだ、核ミサイルでも使うのか?」
フランツは、げんなりして応える。
「パルシファルごと自殺するのがお好みなら、そうしますよ」
フランツは、ヴェルザンディのほうを向くと指示をだす。
「エネルギーを超空間振動装置へまわしてくれ」
「ラジャーです、フランツ博士」
ヴェルザンディのまわりで、ウインドウが起動してゆく。
「スクルド、次元口をテラとの間に出現させる。潮汐力が、ロッシュ限界を超える次元口の大きさを計算してくれ」
スクルドは、にんまりと笑みを浮かべる。
「答え合わせなら、もうやってあるよ。博士の計算は、ばっちりだね」
「わかった、じゃあ超空間振動で空間を圧縮、テラと重力場を接続する。プログラム、エクスキュート」
ヴェルザンディが、頷いた。
「超空間振動プログラム、エクスキュート」
ずん、と振動がパルシファルの艦体を揺さぶった。
その後に続いて、地震のような振動がはじまる。
「おい、どういうことか説明してくれ」
ロキの言葉に、フランツは少し笑みを浮かべる。
「僕は、天才ということです」
「いや、それは知ってる」
ロキは、憮然とした顔になった。
フランツは、少し愉快そうに笑う。
「テラと本艦の間に空間の歪みをつくり出して、テラの引力をカイザー・ヒューゲルに作用させてます。テラの引力を使って、岩盤を砕きます」
「なるほどな」
ロキが頷くのをみて、フランツは驚きの声をあげた。
「今の説明で、判るんですか?」
ロキは、まじめな顔でもう一度頷いた。
「説明してもらったところで、パルシファルは理解を超えているということが判った」
「なるほど」
フランツは微笑みながら、頷く。
そうこうしているうちに、振動はさらに大きなものになっていく。
フランツの座るリニアシートも地震のただなかにあるように、ぐらぐらと揺れていた。
フランツは満足げに頷き、全天周スクリーンの天頂に目を向ける。
ブリッジは、岩盤が軋むごごっという音に満たされていた。
ヴェルザンディの声が、轟音を貫いて響く。
「カイザー・ヒューゲルが、ロッシュ限界を超えます」
フランツは、ぱちりと指を鳴らすと真上を指さす。
その瞬間、神話に語られる情景がごとく岩盤の空が砕け輝く星の海が姿を現しはじめた。
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